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ここから  作者: きさら
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第10話 忘れられない一日

莉衣奈の両親は離婚してます。

妹とは11歳差です。

9月も半ばに差しかかった頃。


この日は朝から、母と妹が私の家に遊びに来ることになっていた。


……何の用事だったっけ?


正直、今となってはよく覚えていない。(笑)


ただ、この日が繋と母、そして妹の初対面だったことはよく覚えている。


私には姉と弟、妹がいる。


4人きょうだいの中で、私は2番目だ。


一番下の妹は、まだ小学生。


そんな妹が初めて繋を見た時だった。


「パパ?」


……えっ!?(笑)


思わず笑ってしまった。


というのも、実は私も初めて繋に会った時、父に似ていると思っていたからだ。


第一印象は怖い人。


でも、それと同時にどこか見覚えのあるような風貌だとも感じていた。


その理由が、父に似ていることだった。


まさか妹まで同じことを思うなんて!


ちなみに母は「似てない」と言っていた。


……えー、そうかなぁ?(笑)


私には結構似ているように見えるんだけど。


そんな母の繋に対する第一印象は、


「良い人そうじゃん」


だった。


少し前に繋と初めて会った姉は、威圧感があって怖いと言っていたのに。


同じ人を見ているはずなのに、家族それぞれで反応が違う。


なんだか面白かった。


そして、もう一つ驚いたことがあった。


妹が当たり前のように繋の膝に座っていたのだ。


……え?


初対面だよね?(笑)


しかも繋も、特に驚いた様子はなく自然に妹を膝に乗せている。


その姿は、まるで本当の親子みたいだった。


ついさっき初めて会った二人とは思えない。


妹も繋も、どうしてそんなに自然なの!?(笑)


でも、そんな二人を見ているとなんだか微笑ましかった。


人見知りな妹と繋の初対面からこんなふうに接している姿を見られるなんて、思ってもいなかった。



午後からは、繋と二人で出かけることになった。


まず向かったのはケーキ屋さん。


そこでパイナップルのタルトと梨のタルトを買った。


どちらも美味しそうで、ついつい2つ。


……ちょっと食べすぎかな?(笑)


でも、せっかくだし!


買ったケーキを持って、今度は海へ向かった。


海辺でちょっとしたピクニック。


大げさな準備をしたわけじゃない。


コンビニでコーヒー買って、海を眺めながらケーキを食べる。


ただそれだけ。


でもそんな時間がとても楽しかった。


いつもの家で食べるケーキも美味しいけれど、外で食べるとなんだか特別に感じる。


パイナップルのタルトも、梨のタルトも美味しかった。


好きな人と一緒に、好きなものを食べる。


それだけで幸せだった。


そして夜。


この日の楽しみはまだまだ終わらない。


期間限定で夜間営業をしている水族館へ行くことになっていたのだ。


昼間の水族館には行ったことがあっても、夜となるとまた違った雰囲気がある。


館内を見て回るのも楽しかったけれど、特に印象に残っているのはイルカショーだった。


夜のイルカショー。


その会場の後ろには海が広がっていた。


水面には光が反射して、キラキラと輝いている。


「綺麗……」


思わず見とれてしまった。


イルカたちの姿ももちろん素敵だったけれど、その向こうに見える海が本当に綺麗だった。


昼間とは違う夜ならではの景色。


水面に映る光が揺れるたび、なんだか幻想的に見えた。


繋と一緒にこんな景色を見られるなんて。


嬉しかった。


水族館では繋がぬいぐるみも買ってくれた。


ゴマフアザラシのぬいぐるみ。


丸くて愛らしいその子に、私は名前をつけた。


「ゴマちゃん」


……そのまんまじゃん!(笑)


でも、私にはぴったりの名前だった。


繋と一緒に行った水族館の思い出。


その日の記念になる、大切なぬいぐるみが増えた。


水族館を出た後は毎度恒例のラーメン屋さんへ(笑)


昼から出かけて、ケーキも食べて、水族館にも行って。


本当に盛りだくさんの一日だった。


でも、まだ最後のお楽しみが残っていた。


繋と一緒に、夜のタワーを見に行ったのだ。


暗い空に浮かび上がるイルミネーション。


綺麗だなぁと思って眺めていると、そこには大きなハートが映し出されていた。


……ハート!?


まさかのサプライズ?


違った(笑)


でも思わず嬉しくなってしまった。


付き合い始めてまだ間もない私たち。


そんな二人で見に来たタワーに、ハートが浮かんでいる。


なんだかちょっと運命みたいじゃない?


たまたまだって分かっている。


それでも。


こういう偶然ってなんだか嬉しい。


一緒にいる相手が繋だからこそ、余計に特別に感じるのかもしれない。


夜の空に輝くハートを見ながら、そんなことを思った。


振り返ってみると、本当に盛りだくさんの一日だった。


午前中は母と妹が遊びに来て、繋と初めて顔を合わせた。


妹が繋を見て「パパ?」と言ったこと。


初対面なのにまるで親子みたいに膝に座っていたこと。


思い出すだけで笑ってしまう。


午後は海を眺めながら、美味しいタルトを食べた。


夜には水族館へ行き、キラキラ輝く海を背景にしたイルカショーを見た。


ゴマちゃんという新しい思い出も増えた。


そして最後には、夜空に浮かぶハートのイルミネーション。


一日で、こんなにたくさんの思い出ができるなんて。


繋と付き合い始めてから、何気ない時間も特別に感じるようになった。


もちろん、どこかへ出かけるのは楽しい。


綺麗な景色を見たり、美味しいものを食べたり。


でも、きっと大切なのはそれだけじゃない。


その時間を、誰と過ごしたのか。


私にとっては、それが繋だった。


家族と過ごす時間も。


二人きりで出かける時間も。


少しずつ、私の日常の中に繋がいることが当たり前になっていく。


それがなんだか嬉しかった。


これから先も、こんなふうにたくさんの思い出を作っていけたらいいな。


そう思える一日だった。


――第10話 忘れられない一日 終

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