30 女神様
30 女神様
陽炎は真っ白い空間で目を覚ました。目覚めた瞬間に写ったのは氷巫女と同じ姿の女性だった。
その神々しい佇まいから、氷巫女ではないことは容易に想像できる。
もしや、と思った陽炎は女神様の復活を脳裏に過らせた。氷巫女は自分が消滅させた。
故に、女神様が復活したのではないかと頭の中で色々な憶測が廻った。
「貴女様は女神様ですな? この空間は一体……」
「陽炎……貴方のお蔭で私は復活することが出来ました。感謝します。
この空間は私が作り出した仮想空間……肉体が消滅し、魂だけになった貴方が唯一存在できる空間です。
氷巫女は貴方と共にコールドアースから消滅しました。貴方の魂だけを呼び戻したのです」
女神様は優しく語り掛けてきた。その甘美で柔和な声は聞く者を安心させるようだった。
やはり、氷巫女とは違う……自分には甘いが打算のある氷巫女とは違う。似て非なる全くの別人だ。
「女神様……何故、私の魂だけを呼び戻したのです?」
「それは復活に協力してくれた貴方に褒美を授ける為です」
「褒美ですか? 慎んで辞退させていただきます。私には心残りはありません」
陽炎は首を振って、丁重に褒美を辞退した。
やるべきことをやり遂げた自分には最早、褒美など不要だった。
「いえ、貴方にはコールドアースをこれからずっと見守っていただきたいのです。
私はこの空間から、見ているだけ……貴方は竜神として再び、コールドアースに君臨するのです。
炎竜でもある貴方にはきっとお似合いでしょう。再びコールドアースにお戻りください、竜神様」
女神様はクスッと笑って陽炎を送り出した。陽炎は戸惑いつつ、肉体が戻るのを実感した。
やれやれと言った様子で陽炎は困りながら新たなる使命に思いを馳せた。




