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27 反氷巫女連合(詩花)

 27 反氷巫女連合(詩花)



 東の大国にて、まだ二十代と言う若さで詩花は筆頭の大将軍の地位に上り詰めた。

 花のように可憐な姿からは想像もできない程、才気に溢れ強き女性であった。

 彼女の覇道は止まることを知らない。詩花は主であるクナ国王を取るに足らん人物だと評し、

 自分が大国を治めた方が、天下万民の為になると信じて疑わなかった。

 そう断じた詩花はクナ王国で自身の手足となる三十万の兵を動員して、挙兵。

 クーデターを企て、王都を殲滅し、クナ王国を神懸かり的な行軍速度で、新しき帝国を築いた。

 その帝国の名は『ブラックガーデン』コールドアース史上最大の帝国であった。

 そしてコールドアースに存在する全ての国を圧倒的武力によって制圧。

 唯一の大帝国の主となった。それでも彼女は満足しなかった。

 彼女のかつての想い人、世に名を知らしめる剣神である陽炎の事であった。

 詩花は自身のスキル『クローン生成』により、陽炎のクローンを生み出した。

 だが、所詮劣化コピーの紛い物……今代の剣神であり、列強に名を轟かせる器ではない。

 オリジナルの陽炎は依然としてこの世界の支配者である氷巫女が所有している。

 それをプライドの高い彼女は許せなかった。詩花は劣化コピーを作る程、陽炎に執着していた。

 ある日、詩花は王都にて従属させた国の代表達を集めて、檄を飛ばした。


「皆の者! 氷巫女は聖女でも無ければ女神でもない!

 氷巫女はイケメンコレクションと称し、我らの夫、息子、想い人を奪い去っていった。

 更に、選別の儀と称し、世界を崩壊させる計画を秘密裏に掴んでいる!

 これが世界を総べる者のする行いであろうはずはない!

 今こそ、氷巫女を打倒する時ではないか! 全ての国々の力を結集せよ!」


 詩花は右手を天に掲げて、檄を飛ばす。不思議と彼女の声は広間の隅々まで届いた。

 彼女のカリスマ性が成せる業である。国の代表者は全員、詩花の檄に賛同。


「「「おおッ! 我らは身命を賭して従いまする!」」」


 ここに反氷巫女連合を結成し、詩花は氷巫女を相手取る決心を固めた。

 彼女の傍らには陽炎の妻であるサラが控えていた。サラはフォレスト神王国滅亡の折、

 詩花に保護されて、剣の腕を磨いた。そして陽炎に思いを寄せる仲間として詩花と意気投合。

 更にその卓越した知略は並ぶ者はなく、詩花の側近として侍るまでになった。

 ちなみに彼女は将軍の地位を持っている。詩花は才能を開花させたサラを重用。


「反氷巫女連合の盟主は帝国の主である私が。

 そして、副将として主に軍を統率するのはここにいるサラとする」


 詩花の宣言の後に傍らに控えているサラが一歩前に歩み出る。

 剣神陽炎の妻であり、帝国『ブラックガーデン』の将軍。

 その佇まいは誰もがハッとして息を飲み、吸い込まれるような可憐さであった。

 それでいて確かな才覚を全身から溢れ出させている。サラは魔力を持たないが、

 その抜群の才覚はサラの遠い祖先……氷巫女の再臨を誰もが思い起こす。

 詩花はサラに剣術を教えた。来る日も来る日も剣術の修業でサラを扱いた。

 しかし、サラは厳しい修行からは逃げなかった。

 自らの息子を蔑ろにしても剣術を磨いているのを詩花は知っている。

 詩花はサラを最も信頼厚き側近としている。共に陽炎を奪還することを誓い合ったのだ。


「私がサラです。氷巫女を打倒する為に皆さんの力を貸してください。

 若輩者の私が軍を統率するのを快く思っていない方も多い事でしょう。

 ですが、私は既に剣神陽炎よりも遥かに強い。全てにおいてです。

 私はコールドアース最強……氷巫女の一党など、虫けらに過ぎません」


 長い深緑の髪を優しく触れ、まだ二十代である筈のサラの強気な物言いは広間中の者達を虜にした。

 詩花はサラの言葉に疑いは一切持っていない。確かにサラは剣神を上回る剣の才を持っている。

 超人的な才覚を持つ陽炎を凌ぐ力を持っていても不思議ではない。

 詩花は陽炎への想いを滾らせ、広間での会議を終わらせた。

 こうして、詩花の思惑通り、氷巫女を亡き者にし、陽炎を奪還する為に動いた。

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