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17 フォレスト神王国

 17 フォレスト神王国



 陽炎は新興国フォレスト神王国の初代国王となり、族長の娘、サラを妻とした。

 建国の日は忘れもしない大騒ぎであった。女神の民の誰もが歌い踊り、新国家の建設に胸を躍らした。

 陽炎は即位の儀式の折、宰相となった族長のグリーンから、王冠を被り、マントを羽織った。

 如何にも王様と言う感じである。冴えないオタクだった陽炎が今や、国王様である。

 大出世だ。あの秀吉以上の出世頭であった。陽炎は急ごしらえで、

 建造した王宮にて政務に追われる毎日だった。意外にも激務の連続であった。

 いざ建国となった時は、周辺の国々から認めてもらわなければならない。

 ならず者国家ではないことを内外にアピールしなければならないのだ。

 そして、何よりフォレスト族だけでは人口を維持できない問題が発生した。

 陽炎はフォレスト族を率い、武力を持って周辺の部族を糾合し、人口問題を解決した。

 しかし、無理やり糾合された部族からの反発は強かった。陽炎は問題解決を先送りした。

 陽炎が超人的な力を持っていても、統治能力は皆無に近かった。

 それでも陽炎のカリスマと、族長であり宰相でもあるグリーンの辣腕を持って何とか持っていた。

 陽炎は有能な人材を登用する為に古代中国で用いられていた制度である科挙制度を導入した。

 科挙制度とは過酷な試験によって優秀な人材を選抜する制度である。

 陽炎は科挙制度を導入し、見事に有能な人材を確保した。

 しかし、フォレスト族を優遇する試験官が多く、他の部族は官吏には採用できなかった。

 そのことで、他の部族の反発は強まり、各部族は一斉蜂起した。

 その数三万……対する鎮圧軍である政府軍に軍勢とは程遠い三百……。

 しかし、フォレスト族は一人一人が強大な力を持っているので対応できた。

 陽炎自ら政府軍を率い、反乱軍を相手取った。陽炎の天賦の才に掛かれば造作もない。

 その統率力は甚大……反乱軍は散り散りになり、再びフォレスト神王国に臣従した。

 だが、武力で持って押さえつけられている為、国への忠誠は皆無であった。

 その間、諸外国に目立った動きは見られなかった。陽炎は束の間の平和を享受した。

 ある日の夕刻。陽炎は宮殿で、大臣達の相手をし、今後の政策の見直しを図った。


「反乱軍を鎮圧したが、フォレスト族に心から臣従していないな」


 陽炎は溜息を吐きながら玉座に腰を下ろし、侍る大臣達に呟いた。

 大臣達は全員フォレスト族である。この新興国フォレスト神王国の貴族階級は全員フォレスト族だ。

 フォレスト族しか貴族に成れない身分制度が自然と出来上がった。

 差別を忌み嫌う陽炎はそのことに異議を唱えたが、

 元々、他の部族を蔑む気質を持つフォレスト族は自分たちこそ選ばれし民だと主張した。

 そしてフォレスト族に神輿として担がれている陽炎は最早、異議を唱える事はまかり通らない。

 陽炎はフォレスト族の他の部族に対する差別を見て見ぬふりに決め込んだ。

 だが、依然として様々な問題を抱えて折角、建国した王国を潰すわけにはいかない。

 御せずに転覆では話にならないのだ。その為の定例会議であった。

 その時であった。会議の場に物見の兵が、姿を現した。物見の兵は動揺している。

 その場にざわざわと異様な空気が巻き起こる。物見の兵は跪いて報告をする。


「報告! 東の大国クナ国が我が国に宣戦布告をし、我が領内に進攻を開始しました」


 物見の兵が、緊張して告げるとその場は騒然となった。

 陽炎の出身国であるクナ国が宣戦布告して領内に進攻……陽炎は背筋が凍るようだった。

 言わずと知れた東の大国だ。その国力はフォレスト神王国の十倍にも及んだ。


「物見の兵よ、して、クナ国の兵力は如何程か?」


 大騒ぎとなって慌てふためく大臣達を制し、陽炎は広間を静め、物見の兵に尋ねる。

 物見の兵は国王である陽炎に直接、声を掛けられ、緊張気味に身体を硬直させる。


「はッ! 敵兵力は五万程です。率いる大将軍は国王様の幼馴染と聞き及ぶ詩花!」


 物見の報告に陽炎は戦慄する。自分が国王として君臨している間に詩花も大きく成長したのだ。

 陽炎も人の事は言えたものではないが、あの若さで詩花は大将軍にまで上り詰めたのだ。

 幼馴染の成長に陽炎は感慨深げとなっていた。暫し、陽炎は放心し、詩花との思い出を脳裏に浮かべた。


「報告ご苦労! 皆の者! 私が自ら指揮を執り、この国の防衛に当たる!」


「「「おおッ!」」」


 陽炎は自ら防衛に当たると宣言をし、フォレスト神王国中から兵を募った。

 両軍はフォレスト山の真下に広がる平原に陣取り、睨み合う形となった。

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