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安らぎの夜 1-2
「大丈夫です、もう一人にはなりませんから」
依頼主様への不安や、この先の事の不安が消えたわけではありません。
それでもアリウス様の小さい子どもを諭すような優しい声音に、お砂糖一匙ほどですが不安が溶けていく気がしたのです。
私が頷くと、アリウス様は立ち上がりました。
「さて、俺の家に行きますが、遠くまで来てしまいましたしここから少し歩きます。大丈夫ですか?」
私はもう一度頷くと、アリウス様は"行きましょうか"と言って歩き始めました。
心細かったのでしょう。
私は品もなく、咄嗟にアリウス様が羽織る外套の裾を握りましたが、アリウス様は何も言いませんでした。
お互い何も話さずに、黒い森の中に入って行きます。
夢を見ていたままだったら、きっと私が辿ること無かった帰り道を、楽しかった行きとは違い帰りは不安で塗りつぶされたまま静かに歩きました。
黒い森を抜けて、見馴れた廃教会を通り過ぎます。
丘を下って、ようやく町の中に入ると行き交う人々や街灯、それにまだやっているお店でようやく息ができる気がして、アリウス様の服の裾も離しました。
ただ、やはり噂の影響か周りの人々は私を驚いたように見るとひそひそと何かを話始めます。
少しだけ心を傷めていると、急に視界が遮られました。




