夢の終わり 5-6
「ひ、否定。子供たちここにいる。今私と手を繋いでいる。いなくなっていない、わたしと共にいる」
認めるのはたしかに辛いことだ。
でも認めないと彼女は己の生すら拒絶する。
それでは誰も救われない。
マオさん自身も。
"マオさんの為に折れなかった依頼主"も。
「一週間と少し前に、教会と森を覆うほどの火事が あったはずだ。シャオランさんは子供たちを守るために井戸に飛び込み、子供たちは溺死体で発見されたはずだ!」
彼女がずっと目をそらしていた事実を突きつける。
マオさんは子供たちと繋いでいたはずの手を放して、自分の耳をふさいだ。
向き合わせないといけない。
寂しい思いをし続ける夢から目を覚まさなくてはいけない。
「マオさん!夢に逃げたって、覚めれば惨めになるだけだ!」
俺はマオさんが夢に救われていたことも知っている。
少なくとも夢を見ている間、彼女は幸せそうに笑っていた。
だがそれもほんの一夜の夢。
彼女が一人の時、どれほど寂しそうに夜を待っていたのかも知っていた。
『だったら目覚めなければいいのです!一人ぼっちの朝日よりも、私は子供たちといた夜の夢見ていたいのです!』
涙を溢して語気を強めた彼女の言葉は理解しきれなくても、どういう気持ちでいるかはわかる。
だから俺は伝えなければいけない。
たどたどしくても、彼女を想う誰かが待っていることも。




