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夢の終わり 5-2
「俺は感謝やお礼が欲しくて手伝いにきている訳で はありません。神様が喜んでおられるならそれは何よりも尊いものだと思いませんか?」
俺ははちらりと、夕陽で神々しさを増す神の像に目を移した。
人の信仰心を逆手にとってしまうけれど、きっとこう言えば神を信仰する人にとって、俺は施しを与えた側ではなく神に尽くした側になる。
マオさんはロザリオを握りしめるように手を組み、静かに目を閉じた。
「肯定……、とても尊ぶべきもの。御神、とても喜ばれる」
「それで十分です」
信じる物を利用したようで心が痛いけれど、彼女も気負わなくていいし上手く断れたから、俺は身を翻して立ち去ろうとする。
だが帰る素振りを見せた俺をマオさんは引き止めた。
「神の加護、あるよう願う。どうか善き日を」
シスターらしく、マオさんは優しく微笑む。
俺はその言葉に何か言うでもなく、努めて丁寧に頭をさげて立ち去った。
また彼女の様子を伺うために、煤の匂いが薄く残る黒い森に入る。
身を潜めて、彼女を見張ると教会の中に入って行った。
少しの間様子を見ていると、小さな包みを持って出てくる。
昨日と同じ倒木に腰かけ、包みを開いた。
どうやらサンドイッチのようだ。




