交わる 4-1
依頼をこなして一週間とたった頃、ある変化が訪れた。
俺が教会でマオ・シャオマオの見張りを続けていた時の事だ。
彼女が一人で教会の復興に精を出していた際、崩れた教会の壁側から様子を見ていた時に、小さい木片やガラス片かなにかを踏んでしまって音を出してしまった。
神様の像を磨いていたシスターは、獣の耳を大きく跳ねさせて、こちらに気づく。
なるべく姿を現さないようにしていたのに、こんなミスで見つかるとは思わなくて少し恥ずかしい。
「初めまして。マオさん、ですよね?俺の言葉わかりますか?」
俺は愛想良く挨拶をしたものの、着けている仮面では愛想も何もないのを忘れていて、怯えさせたのか像の後ろに隠れてしまった。
彼女の観察を続けてからずっと、公用語で話しているところを見たことがなく、まだ彼女の言葉も理解していないので、俺は恐る恐る彼女に確認を取る。
「お前何者、ここ教会。しかしぼろぼろ、祈り捧げる危険」
シスターらしからぬトゲのある言葉だったが、彼女は俺にもわかる言葉を返してきた。
抑揚の付け方に違和感があり、変にトゲのある言葉と片言なのは彼女が公用語に不慣れであることを予測させた。
「言葉がわかるようで安心しました。えっと、驚かせるつもりはないんです。俺はアリウス・アルトリウスと言います」
俺は努めて穏やかな口調で名前を名乗る。
彼女は警戒は解いてないものの、恐る恐る像の後ろから出てきて、頭を下げた。




