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手紙 1-6
「でもアリ君、お父さんお母さんに色々吹き込まれてたよね。"初めて目を見せた相手と結婚しなくてはならない"なんて」
「あったわねーそんな話。正直弟じゃなかったら唾つけてたわ」
アイリス姉さんとマリ姉は子供騙しの嘘で盛り上がっていた。
今は気恥ずかしいから仮面をつけてるだけであって、呪いも結婚の話もこれっぽっちも信じてない。
女性二人の会話に心の中で水を刺しながら、俺は食事を続けた。
俺の目の話から、仮面の話。
そこからモデルの仕事向いてそうだなんてどんどん話が変わる。
女性の話は蝶のように移り気だ。
「あ、お仕事の話で思い出した。アリ君に依頼だって」
マリ姉は懐から一通の手紙を取り出して、俺に差し出した。
開封済みのようで、元々マリ姉宛てのようだ。
俺は食事の手を止め、中の便箋を取り出して読み始める。
「町で可愛い子が声かけてきて、お茶したときにアリ君のお仕事の話しちゃったの。それで頼って来たみたい」
「あんた男の趣味悪いんだから、あんまりほいほいついていくのやめなさいよ」
「もー、大丈夫だよぉ」
姉二人の話を無視しながら、俺は手紙を読み進めた。
内容はマリ姉への挨拶に始まり、見知らぬ俺に依頼をしてしまう謝罪。
そして、火事のあったあの教会にシスターがいたこと。
そのシスターの今の様子を探ってほしいという依頼だった。




