50/101
虚ろの夢 9-3
「マオさん、子供たちがそこにいるはずないんですよ」
アリウス様が不思議な事を仰るので、私は首を傾げました。
雲に隠れた月が顔を出して、周囲が明るくなります。
明るくなって、黒く焦げて葉の無くなった森と、焼け野原がはっきりと私の目に映りました。
「子供たちは火事で死んだはずです。シャオランさんだってここにいるはずがない。あなたは夢を見ているんだ」
その言葉は静かな声のはずなのに、その時ばかりは風の音も木々が揺れる音も、子供たちの声すら聞こえなくなって、目をそらしていたかった事実だけがはっきりと聞こえました。
ですが私は首をふって答えます。
そんな苦しい現実があっていいはずがない。
それが現実だったら、私はこれからどうやって生きていけば……。
「ひ、否定。子供たちここにいる。今私と手を繋いでいる。いなくなっていない、わたしと共にいる」
「一週間と少し前に、教会と森を覆うほどの火事があったはずだ。シャオランさんは子供たちを守るために井戸に飛び込み、子供たちは溺死体で発見されたはずだ!」
アリウス様の語気が荒くなり、子供たちは怯えておりました。
ですが私は怯える子供たちから手を放してしまって、耳を塞ぎます。
聞きたくない、聞けば私は一人になってしまいます。
夢なら夢だっていいのです、幸せな夜の夢さえ見ていれば、私は




