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うつろのゆめ  作者: 狛ノ上緒都
夢編:第八話「明けない夜」
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明けない夜 8-2



「俺は感謝やお礼が欲しくて手伝いにきている訳ではありません。神様が喜んでおられるならそれは何よりも尊いものだと思いませんか?」


アリウス様はちらりと、夕陽で神々しさを増す神の像を見ました。

私はロザリオを握りしめるように手を組み、静かに目を閉じます。


「肯定……、とても尊ぶべきもの。御神、とても喜ばれる」


「それで十分です」


「アリウス!」


アリウス様はそう言い残して、立ち去ろうとしました。

ですが私は言い残した事がありましたので慌てて呼び止めます。

アリウス様は私は声に立ち止まり、何も言わずに振り向きました。


「神の加護、あるよう願う。どうか善き日を」


私は微笑んで、ロザリオを軽く握ります。

アリウス様はそれを見て、気品あるお辞儀を残して帰って行きました。


その背中を見送って、私は教会に戻ります。

夕陽の天井で覆われ、瓦礫が少なくなり、少しだけ片付いた聖堂から家に入りました。


『ただいま』


暖かみのあったはずの私達の家は、"おかえり"の声がないせいか酷く冷たい空虚なものに思えます。

シャオラン達と会えるのは夜だけ。


昼は暖かな太陽やお洗濯やお掃除など、やることがありますから寂しさこそ感じにくいけれど、それでも家に一人でいるのは寂しくて、最近は必要な時以外帰ってこなくなりました。



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