尊ぶべき日に祝福を 3-8
しばらく歩いて、街につくと普段見ないほどの大勢の人々が大通りを闊歩しています。
どの建物の屋根も赤いレンガで、壁は白い漆喰で揃えられた美しい街並みを、気にも留める様子もありません。
街へ近づくたびに感じた賑わいの中に今飛び込み、人々の往来がまるで川のようでした。
時に激しく動いたと思えば、とたんに緩やかになる。
静かな教会とはまるで真逆でいつ来ても新鮮味を感じました。
まずは一番必要なお砂糖や蜂蜜などを買うためにお店に向かいます。
周りを探すと、香辛料や調味料を扱うお店がありました。
ドアにある窓越しに、カウンターにいる大柄で髭を蓄えた少し怖そうな店主様の姿が見えます。
中に入ると店主様以外誰も居らず、代わりに香辛料達の香りが出迎えてくれました。
「いらっしゃい」
低く、どこか機嫌悪そうにも見えた店主様に、私は柔らかく微笑んで頭を垂れます。
お店が薄暗く感じるのは濃い色の木板で造られた店だからでしょうか。
それでも怖いと感じないのはきっと、丁寧な文字や綺麗に瓶詰めされ、大切な調度品のように飾られた調味料達のお陰です。
「ご主人、わたし甘味料必要」
店主にそう聞くと熊のようにゆっくりと動いて、カウンターの奥の棚から"砂糖"とラベルのつけられた包みを出してくださいました。
値段を見ると、やはり調味料は値が高く感じます。
カウンターの隅に籠を置かせてもらい、表情には出さずに丁度必要なだけのお金を支払いました。
シャオランの値段交渉の言葉を思い出しますが、不慣れですしそもそも失礼に思ってしまって心の中でシャオランに謝罪を繰り返します。




