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氷の貴公子(生徒会長)、貧乏令嬢の一挙一動に毎日心臓が爆発しそう。〜照れたら負けの【赤面決闘】を挑まれていますがもう限界です〜  作者: 杜英智
最後の赤面決闘編

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42/43

第42話 FINAL STEP

読みに来てくださってありがとうございます。


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。


それでは本編をどうぞ。

第42話 FINAL STEP


━━━━━━━━━━━━━━


Battle Start!!


セレナ   HP100


アルベルト HP100


━━━━━━━━━━━━━━


「エヴァンス嬢。」


「覚悟してもらおう。」


静かな声だった。


だが、その声には今までにない強さがあった。


今日のアルベルト様は本気ですわ。


こちらも覚悟を決めなくては。


私は胸を張り、一歩前へ出た。


「アルベルト様。」


「今日は少し近くで、お話ししたくなりました。」


渾身の上目遣い。


歴代最高クラスの近距離攻撃。


しかし。


アルベルトは、ほんの少しだけ微笑んだ。


「今日はずいぶん積極的だな。」


━━━━━━━━━━━━━━


アルベルト


HP100 ▶100


Perfect Guard


━━━━━━━━━━━━━━


まったく効きませんの!?


額に汗が伝う。


その時。


アルベルト様が、一歩踏み出した。


「次は私の番だ。」


周囲の歓声が遠ざかった。


アルベルト様は、私へ歩み寄った。


「……失礼する。」


そう言って、私の栗色の髪を一房だけ、そっと指先ですくい上げる。


えっ……。


距離が近い。


思わず息をのむ。


アルベルト様は、私の髪を見ながら、小さくつぶやいた。


「君は……。」


「いつ見ても、可愛いな。」


その声は、決闘のための挑発ではなかった。


そう言って、彼は私の髪へ口づけを落とした。


「!」


ドクンッ!


私の心臓が跳ね上がった。


周囲から悲鳴にも似た歓声が上がる。


「きゃあああああ!」


「髪にキスしたぞ!」


━━━━━━━━━━━━━━


セレナ


HP100 ▶60


Critical hit!


━━━━━━━━━━━━━━


なっ、何ですの今の攻撃はーーっ!!


40ダメージなんて!


は、反則級ですわーーっ!!


これ以上、アルベルト様の攻撃を受けるわけにはいきません。


そう思ったその時。


アイリスの言葉が頭によみがえった。


『素直な気持ちを伝えるのも、作戦の一つだと思います。』


私は顔を上げた。


もう。


作戦なんてなかった。


聞きたいことが、一つだけある。


「アルベルト様。」


私はまっすぐ彼を見つめる。


「私たちって……どういう関係なのでしょう?」


周囲が静まり返った。


アルベルト様は、何も答えなかった。


私は、急に恥ずかしくなってきた。


……私、何を聞いていますの?


こんな質問。


まるで――


私が、アルベルト様に何かを期待しているみたいではありませんか。


「……やっぱり」


私は少しだけ視線を落とした。


「決闘中に、こんなことを聞かれても困ってしまいますわよね」


自分でも、何を言っているのかわからなくなってくる。


けれど。


一度、口にしてしまった言葉は止まらなかった。


「先日、アルベルト様が我が家に来てくださったでしょう?」


「その時、父と母にも聞かれましたの」


「アルベルト様とは、どういうご関係なのか、と」


私は苦笑した。


「私も最初は、決闘相手と答えましたわ」


「けれど……」


「どうしても、しっくりこなくて」


アルベルト様は、黙ったまま私を見ていた。


「最初の頃は……ただ、怖い方だと思っていました」


「グランベルカードを持つ、学院最強の敵」


「簡単には勝てない相手だと」


「けれど。」


今は違う。


私は、目の前のアルベルト様を見る。


「一緒に過ごした時間の中で」


「優しいところも」


「不器用なところも」


「私のことを、ちゃんと見てくださっていることも」


ひとつずつ思い浮かべる。


「今は、たくさん知っています」


「だから……」


胸の奥が、少しだけ苦しくなる。


「もう、ただの決闘相手だとは思えなくて」


「………」


アルベルト様は、何も言わない。


その沈黙が怖くなって。


私は、思わず言葉を重ねた。


「それなのに……」


「私は、アルベルト様を避けるようなことをしてしまいました」


「本当に、ごめんなさい」


「…………」


返事がない。


……やっぱり、困らせてしまいましたわ。


私、何をしているんですの?


赤面決闘なのに。


勝たなくてはいけませんのに。


どうして私は――。


こんなことばかり話しているのだろう。


「アルベルト様にとったら……」


私は、少し震える声で呟いた。


「私なんてたくさんの学生の中の一人にしかすぎませんのに……」


その瞬間。


「それは、違う!」


アルベルト様が、初めて声を上げた。


私は、びくっと肩を震わせる。


「私の言葉が足らないばかりに誤解をさせてしまってるようだが…」


「私は………君のことを、特別に思っている」


「……特別?」


「それは」


「特別な仲間……ということですか?」


「違う」


即答だった。


私は、ますますわからなくなる。


「それでは……」


「アルベルト様にとって、私はどういう相手なのですか?」


「…………」


彼は黙り込む。


私も黙った。


二人の間に、長い沈黙が流れる。


……私、どうしてこんなことばかり聞いているのかしら。


これでは、勝つための会話になっていませんわ。


今からでも、何か作戦を……。


「私は」


アルベルト様が、静かに口を開いた。


黄金の瞳が、まっすぐ私を見つめる。


「私は、エヴァンス嬢が……好きだ」


ドクン――。


心臓が、大きく跳ねた。


「……え?」


頭が真っ白になる。


「あ……誤解しそうになりましたわ」


必死に言葉を探す。


「お仲間として……ですわよね?」


「セレナ」


「……!」


その呼び方に、胸がまた大きく鳴った。


「君が好きだ」


「ずっと……好きだった」


心臓が、頭の中をバクバク音をたてて響き渡る。


「…………」


何を言われているんですの?


アルベルト様が?


私を?


好き?


お仲間としてではなく――


私自身を?


「もし、良かったら……」


アルベルト様の頬が、少しずつ赤く染まっていく。


「私と付き合ってもらえないだろうか」


「…………」


こ、これは……。


演技ですの?


それとも――。


私は、胸元で両手をぎゅっと握った。


私も。


心の底では、本当は――。


「……私」


ちらりとアルベルト様を見る。


彼の真剣な表情を見ていると、胸が苦しくなるほど高鳴った。


「あぁ……」


私は、口元を両手で覆った。


「この気持ちを外に出しては……いけませんのに」


もう、誤魔化せない。


私の気持ちは――


ずっと前から、ここにあった。


「アルベルト様、私も……」


顔が熱い。


心臓が壊れてしまいそう。


それでも。


私は、まっすぐ彼を見た。


「私も、アルベルト様が好きです」


「私でよかったら……お付き合いさせてくださいませ」


二人とも、ゆでだこのように真っ赤になった。


━━━━━━━━━━━━━━


セレナ   HP60 ▶ 1


Danger!


アルベルト HP100 ▶ 0


KO


━━━━━━━━━━━━━━


『赤面決闘、終了。』


『勝者、セレナ・エヴァンス』


カァァァン!!


カァァァン!!


カァァン!!


試合終了を告げる鐘が、学院中へ高らかに鳴り響いた。


「…………」


「…………」


中庭が、静まり返る。


誰も動かない。


声も出ない。


そして――。


「……え?」


最初に、一人の生徒から小さな声が上がった。


「今……告白した?」


「セレナさん、アルベルト様に告白したよな?」


「いや、アルベルト様が先じゃなかったか!?」


「え? じゃあ……両想い?」


「ええええええええっ!?」


一気に、中庭が騒然となる。


「ちょっと待って!」


「今のって決闘の演技だよな!?」


「いや、でもあの顔……!」


「本気にしか見えなかったぞ!」


「誰か説明してくれーーー!!」


外野が一斉に騒ぎ始める。


けれど。


当の本人たちは――。


「…………」


「…………」


お互いの顔を見つめたまま、完全に固まっていた。


赤面決闘のことなど。


もう、頭の中から綺麗さっぱり消えている。


私は、ふと我に返った。


「あ……」


小さく呟く。


「私……」


「勝ちましたわ……」


「勝ちましたのね……」


ようやく、決闘の結果を思い出した。


けれど。


それよりも――。


ちらり。


目の前のアルベルト様を見る。


アルベルト様も、こちらを見ている。


その顔は――。


真っ赤だった。


(…………なんということだ。)


(赤面決闘で、告白してしまうとは…。)


(彼女の答えは、真実なのか?)


(それとも、赤面決闘に勝つための演技だったのか……。)


二人の間に、気まずい沈黙が流れる。


やがて。


アルベルト様が、おそるおそる口を開いた。


「あ……エヴァンス嬢。」


「今のは、その……」


少し視線を逸らしながら。


「演技……なのか?」


「……!」


私は目を見開いた。


そして。


「アルベルト様!」


彼がこちらを見る。


私は頬を赤くしながら、少しだけ胸を張った。


「セレナとお呼びくださいませ。」


「…………!」


アルベルト様が、驚いた顔をした。


「……セレナ。」


その声を聞いただけで。


胸が、また大きく跳ねた。


ドクン。


私は胸元に手を当てる。


「先ほどの赤面決闘。」


「私は……途中から、自分の正直な気持ちでお話しさせてもらっていましたわ。」


「アルベルト様はいかがですか?」


彼は、一瞬言葉を失った。


「…………」


周囲が、再び静まり返った。


さっきまで大騒ぎしていた観客たちも、二人の答えを待っている。


そして――。


「わ……私も。」


アルベルト様は、真っ赤になった顔のまま。


小さな声で答えた。


「本心だ。」


「…………!」


「先ほどの言葉は……すべて、私の本当の気持ちだ。」


一瞬。


その場が完全に静まり返る。


そして――。


「きやあああああああああ!!」


「本物だったーーー!!」


「両想いだーーー!!」


「本当に付き合うんだーーー!!」


再び、中庭が歓声に包まれた。


けれど私は、そんな騒ぎが遠く感じるほど。


目の前のアルベルト様から、目を離せなかった。


「アルベルト様……」


「私は……」


言葉が詰まる。


こみ上げてくる気持ちを、必死にこらえる。


「私なんかで、アルベルト様と釣り合うのか……」


「正直、まだ分かりません。」


アルベルト様の黄金の瞳が、静かに私を見つめている。


私は少しだけ苦笑した。


「けれど。」


そのまま顔を上げる。


「アルベルト様の想いを知ってしまったら。」


「私はもう、自分の気持ちに蓋をすることが難しくなりました。」


そして。


私は、飛び切りの笑顔を返した。


「アルベルト様のお気持ち、とても嬉しかったですわ。」


「これからも、よろしくお願いいたします。」


「…………」


アルベルト様は、しばらく何も言わなかった。


やがて。


ほんの少しだけ口元を緩める。


「……ああ。」


「こちらこそ。」


その声は、今まで聞いたことのないほど優しかった。


二人とも、真っ赤な顔のまま。


それでも。


顔を見合わせて、小さく笑った。


――こうして。


前代未聞の「告白」を経て――


二人は、晴れて恋人同士となったのだった。


【FINAL STEP・完】


ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。


セレナとアルベルトの「赤面決闘」も、ついに決着しました。


最後の最後で、まさかの告白まで飛び出しました。


果たして二人は、このあとどうなっていくのでしょうか。


残すところ、あと1話。


次回はいよいよエピローグです。


二人のその後を、最後まで見届けていただけたら嬉しいです。


それでは、もう少しだけ。


最後までお付き合いくださいませ。



ここまで読んでくださりありがとうございます!

挿絵(By みてみん)

今回は「赤面決闘と告白」のイメージイラストでした。



5話~10話まではイラストを掲載します。

その後は時々、各話の内容に合わせてイラストを掲載します。

28話~43話にもイラストを掲載します。


【投稿スケジュールです】


毎日更新(平日朝7:50/土日祝夕方18:50)予定です。


ぜひお楽しみください!


「続きが気になる!」と思っていただけましたら、ブックマークや評価で応援していただけると、とても励みになります!


次回もよろしくお願いいたします。

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