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氷の貴公子(生徒会長)、貧乏令嬢の一挙一動に毎日心臓が爆発しそう。〜照れたら負けの【赤面決闘】を挑まれていますがもう限界です〜  作者: 杜英智
エピローグ

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エピローグ

読みに来てくださってありがとうございます。


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。


それでは本編をどうぞ。

翌日。


学院中は、アルベルト様と私の噂話でもちきりだった。


公衆の面前で、しかも赤面決闘の最中に告白し、そのまま付き合うことになったのだから。


当然といえば、当然なのかもしれない。


「セレナさん! アルベルト様は、どうしてあなたに告白なさったの?」


「何か弱みでも握っていらっしゃるの?!」


朝から、私のところには、ひやかしなのか、やっかみなのか、よく分からない人たちが次々と訪れている。


「ええと……」


一体、何と答えればいいのかしら。


そんな状態にうんざりしかけたころ――。


「セレナ!」


後ろから、クララが声をかけてきた。


「クララ!」


「大変そうね。」


「ええ。もう、朝からずっとこの調子ですわ。」


「アルベルト様がセレナに用事があるそうよ」


「そうなんですの?」


クララと並んで生徒会室へ歩き出す。


「クララに言いたいことがありましたの」


「何?」


「来月こそは、赤面決闘のお相手をお願いしますわ」


「そうだったわね!いいわ!受けて立つ!」


二人で顔を見合わせてにやりと笑う。


教室から生徒会室へ移動する間にも、あちこちから声が飛んでくる。


「アルベルト様とお幸せに!」


「どうせ、すぐに別れることになるわよ!!」


くすくす…クララがおかしそうに笑う。


「セレナってば、私より人気者なんじゃないの?」


「そんなことありませんわ!」


私は思わず声を上げた。


「ふふふっ。」


「クララ、笑いごとではありませんわ!」


「あら、ごめんなさい。」


そう言いながらも、全然悪びれていない。


しばらく歩いたところで、クララがふと思い出したように口を開いた。


「でも、私も見たかったですわ。アルベルト様の告白シーン……残念だわ。」


私はクララを横目に、じとりと視線を向ける。


「私、これでもおめでとうを言いに来たのよ?」


「まさか、アルベルト様の片思いが実るとはねぇ。」


「……片思い?」


思わず聞き返す。


「私も、背中を押してあげてよかったわ。」


「え?」


「セレナ!」


クララは、私の肩をぽんと叩いた。


「私はあなたに期待しているのよ。」


「アルベルト様を、平凡な人間にしてくれる唯一の女の子なんだから。」


「……はい?」


「アルベルト様のこと、よろしく頼むわね。」


「ちょ、ちょっとクララ!」


クララは楽しそうに笑いながら、生徒会室の扉を開けた。


「さあ、入って。」


「失礼いたしますわ。」


扉を開けた、その瞬間。


「アルベルト!」


キリル王子の怒鳴り声が響いた。


「俺は、お前がセレナと付き合うなんて認めねぇ!」


「ロストフ……。」


アルベルト様は、いつもの無表情。


だが、


その横に立っていたキリル王子の顔にはいくつもの殴られた跡があった。


頬は腫れ、唇の端には傷。


「ええっ!?」


私は思わず声を上げた。


「キリル王子どうされたんですか!?」


「アルベルトにやられた!!」


「え……。」


「昨日の赤面決闘のあと、アルベルト様とキリル王子が殴り合いになったのよ。」


クララが呆れたように説明する。


「魔法も剣もなし。」


「ただの殴り合い。」


「そして――」


クララはキリル王子を見る。


「負けたのはキリル王子。」


「うるせぇ!」


キリル王子が顔をしかめる。


「でも、俺は諦めねぇからな!」


「セレナと別れるまで、俺は待つ!」


「ロストフ……。」


アルベルト様の声が、いつも以上に低くなる。


生徒会室の空気が、一気に冷えた。


「……寒い。」


私は思わず両腕を抱える。


殴り合いだったはずなのに、アルベルト様は無傷ですのね……。


さすがですわ。


「ところで、アルベルト様。」


ふと目が合い、私は少し恥ずかしくなる。


「今日は、私に何かご用事がおありなのですか?」


アルベルト様はわずかに黄金の瞳を細めて私を見る。


「あぁ。」


「今日は、セレナと一緒に帰ろうと思っている。」


「一緒に……?」


「エヴァンス家まで。」


「うちに?」


「そうだ。」


「どうしてですの?」


アルベルト様は、少しだけ間を置いて。


「婚約の申し込みだ。」


「ええええええええええええ!?」


私だけではなかった。


クララも。


キリル王子も。


その場にいた生徒会の面々も。


一斉に目を見開いた。


「は、早すぎる!」


「昨日付き合い始めたばかりだぞ!?」


「もう婚約!?」


「展開が早すぎません!?」


口々に声が飛び交う。


私は頭が真っ白になった。


「ちょ、ちょっとお待ちくださいませ!」


「アルベルト様!」


「私は……。」


胸の前で手を握りしめる。


「学生の間は、学院生活を大切にしたいと思っています。」


「ですので――。」


アルベルト様を真っ直ぐ見つめる。


「婚約は、卒業してからにしたいですわ。」


「……!」


アルベルト様が、ほんの一瞬だけ動きを止めた。


生徒会室が静まり返る。


キリル王子が、ぽつりと呟いた。


「……お前ら、本当に付き合ってんのか?」


「付き合っていますわ!」


私は即答した。


アルベルト様は、長い間黙り込んでいた。


その沈黙が、やけに長く感じられる。


やがて――。


「……分かった。」


「卒業まで待とう。」


「ありがとうございますわ!」


私は笑顔でうなずいた。


その横で。


キリル王子が頭を抱える。


「……俺は諦めねぇからな!」


クララが吹き出した。


「ふふっ。」


私は首をかしげる。


「どうして笑っていらっしゃるの?」


「だって。」


クララは楽しそうに笑う。


「アルベルト様が待てると思う?」


「 ………… 」


私はアルベルト様を見る。


アルベルト様は、静かに私を見つめていた。


「……善処する。」


「善処ですの!?」


生徒会室に笑い声が響いた。


私は、ふとアルベルト様の顔を見つめた。


昨日まで。


私たちは、決闘相手だった。


勝つために笑って。


照れさせようとして。


何度も作戦を考えて。


それなのに――。


今は。


「恋人……ですのね」


ぽつりと呟く。


そう思った瞬間。


「……っ」


また顔が熱くなった。


「セレナ?」


「な、なんでもありませんわ!」


慌てて顔を背ける。


すると。


アルベルト様が、そっと私の手を取った。


「これからは、赤面決闘だけではなく――」


少しだけ微笑む。


「恋人として、君の隣にいてもいいのだな。」


「……!」


また心臓が跳ねる。


「アルベルト様……」


「なんだ?」


「その攻撃は……反則ですわ。」


「そうか?」


「そうですわ!」


キリル王子が叫ぶ。


「お前ら、早速いちゃつくなーーー!!」


クララが笑う。


「ふふっ。本当にお似合いですわね。」


ライナーさんが苦笑する。


「閣下。くれぐれも、卒業まではお手柔らかに。」


「努力はする。」


「そこは『はい』と言ってください!」


また笑い声が響く。


私は、そんなみんなを見渡した。


半年前。


学費免除のために、ただ必死だった私には。


こんな未来が待っているなんて、想像もできなかった。


赤面決闘に魔導決闘…。


たくさんの人と出会い、経験を重ねた。


そして――。


大切な人まで、できた。


私はアルベルト様の手を握り返す。


「アルベルト様。」


彼が私を優しく見つめた。


「私を好きになってくださって、ありがとうございます」


「セレナ」


アルベルト様は、私の手を強く握り返した。


「……ところで、アルベルト様。」


「なんだ?」


「グランベルカードは、いついただけますの?」


「…………」


生徒会室が、静まり返った。


クララが吹き出す。


「最後までそれなのね!」


「セレナ……」


アルベルト様が、困ったように笑った。


「君は本当に……」


「?」


どうしてそのようなお顔をされているのか私にはわからなかった。


そんな私を見て。


アルベルト様のいたずら心に、火がついた。


「…………卒業してからだ。」


「そんなに先ですのーーーーっ!?」


生徒会室に、私の叫び声が響き渡った。


彼は、初めて見せるような、年相応の笑顔を浮かべた。


その姿を見て、ライナー、クララ、キリル王子、生徒会の皆も、不思議なものを見るような目を向けている。


けれど。


私は、そんなことには気づかず、


ただ、目の前で笑うアルベルト様を見て、私も笑った。


こうして――


私たちの赤面決闘は、これからも続いていく。


二人の恋と、ともに。


【完】


ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。


最初から最後まで、私自身も楽しみながら書かせてもらいました。


セレナとアルベルトの恋愛だけではなく、決闘や学院生活、家族や仲間たちとの出来事など、いろいろな内容を詰め込んだ作品になりました。


その分、あらすじだけでは作品の内容が伝わりにくく、「どんなお話なのか分かりにくい作品」になってしまったかなと思っています。


それでも、最後まで頑張って書き切ることができました。


ここまで「赤面決闘!」にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。



ここまで読んでくださりありがとうございます!

挿絵(By みてみん)

今回は「エピローグ」のイメージイラストでした。



5話~10話まではイラストを掲載します。

その後は時々、各話の内容に合わせてイラストを掲載します。

28話~43話にもイラストを掲載します。


【投稿スケジュールです】


毎日更新(平日朝7:50/土日祝夕方18:50)予定です。


ぜひお楽しみください!


「続きが気になる!」と思っていただけましたら、ブックマークや評価で応援していただけると、とても励みになります!


次回もよろしくお願いいたします。

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