第41話 決意の赤面決闘
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第41話 決意の赤面決闘
中庭。
今日は、とてもよく晴れている。
青空がどこまでも広がり、吹き抜ける風も心地いい。
だけど――。
私の心だけは、どんより曇り空だった。
考えもしなかった。
私の行動が、あの方を傷つけていたかもしれないなんて。
グランベルカードのためなら、何をしても許されるわけではない。
アルベルト様の、あの寂しそうな表情が頭から離れなかった。
「……ごめんなさい、アルベルト様」
小さく呟く。
けれど、今さら後悔しても仕方がない。
まずは、目の前の赤面決闘に勝たなければ。
そう思うけれど――。
頭を切り替えようとしても、うまくいかない。
気づいたら彼のことばかり考えてしまう。
こんなふうに、頭の中から誰かのことが離れないなんて。
生まれて、初めてだった。
とにかく、考えませんと!
「まずは……作戦ですわ。」
アルベルト様に勝つには、並みの戦略では通用しない。
これまでの決闘でも、小手先の作戦はすべて見抜かれてきた。
ならば。
裏の裏の、そのまた裏。
相手が絶対に予想しない一手を考えなくては。
私は腕を組んで考え込む。
「まずは……大胆に抱きつく?」
……だめですわ。
変な女だと思われてしまう。
「では、耳元で『好きです』とささやく?」
……もっとだめ。
今のアルベルト様には、そんな嘘はつけない。
「では……手をつなぐ?」
その瞬間。
ダンスパーティーで差し出された、あの大きな手が頭をよぎった。
「……無理ですわ。」
私は両手で顔を覆った。
何を考えても。
赤面決闘の作戦ではなく。
アルベルト様との思い出ばかり浮かんできてしまう。
「これでは勝てませんわ……。」
その時だった。
「セレナ先輩。」
聞き慣れた優しい声に振り返る。
アイリスだった。
「なんだか、お顔が赤いですけど……大丈夫ですか?」
「ええ。」
「赤面決闘の作戦を考えていましたの。」
「ですが、どれも決め手に欠けまして……。」
アイリスは少し考え込んだあと、小さく微笑んだ。
「難しく考えなくても……。」
「素直な自分の気持ちを伝えるのも、作戦の一つだと思います。」
「素直な気持ち?」
「はい。」
「セレナ先輩が、本当に思っていることです。」
私は真剣に考えた。
「本当に思っていること……。」
「学院全体のことをいつも考えてくださってる」
「お仕事をしすぎです。」
「笑うと素敵。」
「 ダンスがお上手。 」
「 ………… 」
勢いよく顔を上げる。
「だめですわ!」
アイリスが目を丸くした。
「えっ?」
「それでは赤面決闘になりません!」
「もっとこう……相手を動揺させる言葉でないと!」
私は首をぶんぶん振る。
「却下です!」
アイリスは苦笑するしかなかった。
結局。
作戦は最後まで決まらなかった。
「何も思い付きませんでしたわ……。」
小さく肩を落とした、その時だった。
「エヴァンス嬢。」
聞き慣れた低い声。
振り返ると。
銀色の髪を風になびかせながら、一人の青年がこちらへ歩いて来る。
周囲がざわついた。
「アルベルト様だ。」
「生徒会長が来たぞ。」
迷いのない足取りには。
これまで見たことのない強い決意が宿っていた。
私は思わず息をのむ。
「アルベルト様……?」
彼は私の前で立ち止まる。
そして静かに口を開いた。
「エヴァンス嬢。」
「赤面決闘を申し込みたい。」
「……え?」
突然の言葉に、頭が真っ白になる。
このタイミングなんですの?
私に勝ち目はあるのかしら。
まだ、何も作戦がでてこない、この状況で。
「受けてもらえるだろうか。」
真っ直ぐな黄金色の瞳。
その視線から逃げることはできなかった。
私は小さく息を吸う。
「も、もちろんですわ!」
「受けて立ちます!」
ほんの少しだけ。
アルベルト様の瞳に、強い光が宿った。
そして。
「それでは――始めよう。」
「え?」
「い、今からですの!?」
カァァァン!!
学院中へ、決闘開始を告げる鐘の音が響き渡る。
突然の鐘に、生徒たちが一斉に足を止めた。
「始まったぞ!」
「赤面決闘だ!」
「アルベルト様が、自分から申し込んだらしい!」
「相手はセレナ様だ!」
ざわめきは瞬く間に学院中へ広がっていく。
二人の周囲には、あっという間に人だかりができた。
私は大きく深呼吸する。
作戦は決まりませんでした。
ですが。
負けるわけにはいきませんわ。
ゆっくりと顔を上げる。
アルベルト様は静かに私を見据えている。
私も真っ直ぐ見つめ返す。
二人の視線が交わる。
そして――。
『赤面決闘、開始!』
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Battle Start!!
セレナ HP100
アルベルト HP100
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【FINAL STEP・3】




