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氷の貴公子(生徒会長)、貧乏令嬢の一挙一動に毎日心臓が爆発しそう。〜照れたら負けの【赤面決闘】を挑まれていますがもう限界です〜  作者: 杜英智
聖女、現る(後編)

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第27話 決闘の後は、ダンスパーティー!?

読みに来てくださってありがとうございます。


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。


それでは本編をどうぞ。

第27話 決闘の後は、ダンスパーティー!?


ダンスパーティーまで、あと一週間。


学院中は、飾り付けや会場設営の準備で大忙しだった。


廊下には色とりどりの花が並び、生徒たちは楽しそうに当日の話で盛り上がっている。


一方、生徒会も慌ただしかった。


書類を抱えた役員たちが学院中を走り回り、決闘委員会や先生方との打ち合わせも次々に入っていた。


……人気のない中庭では、キリル王子が一人の女生徒を相手に、ダンスの練習をしていた。


「王子。また足を踏みました。」


「うわっ!」


キリル王子が情けない声を上げる。


「これで本日十五回目です。」


「数えるなー!」


「数えなければ上達しません。」


「そんな問題か!?」


イーゴリさんによる厳しいダンス特訓は、今日も続いていた。


私はそんな二人を窓越しに眺めながら、廊下を歩く。


(さて……。)


次の赤面決闘は、誰に挑めば勝率が高いのでしょう。


クララとのペアでようやくつかんだ赤面決闘への参加資格。


負けは許されません。


必ず勝ってグランベルカードを手に入れなくては!


「エヴァンス嬢。」


聞き慣れた声に振り返る。


「アルベルト様!」


そこには、生徒会の腕章をつけたアルベルト様が立っていた。


「ようやく会えた。」


「なかなか伝えられずにいた。」


アルベルト様は静かに微笑む。


「ペア決闘での勝利、おめでとう。」


「ありがとうございます!」


思わず笑顔になる。


アルベルト様は何も言わず、そのまま私を見つめていた。


(え……。)


ど、どうしたのでしょう。


「アルベルト様!」


遠くから役員の声が響く。


「至急、先生がお呼びです!」


「……では。」


「あ、お忙しそうですわね。」


アルベルト様は小さく頷くと、足早に去っていった。


その背中を見送りながら、小さく息をつく。


「本当に大変そうですわ。」


……あ。


「そうですわ!」


ダンスパーティーで着るドレスを用意しなくてはいけません!


ドレスを新調できるのは、エヴァンス家では年に一度あるかないか…。


昔着ていたドレスを、今風にアレンジすれば大丈夫ですわね!


私は足早に自宅へ向かった。


数日後――。


私は自分の部屋で、鏡の前に立っていた。


「完成ですわ!」


鏡の前でくるりと一回転する。


白を基調としたドレスに、ライラック色のリボンが胸元とツインテールを優雅に彩っていた。


昔の面影を残しながらも、裾には新しくレースを縫い足し、


腰のラインも今の体に合わせて仕立て直した。


「よし、可愛いですわ!」


満足そうに頷く。


あとは当日を待つだけです。


そして――。


ダンスパーティー当日。


学院中が華やかな音楽に包まれていた。


会場へ一歩足を踏み入れた瞬間、私は思わず息をのんだ。


「わぁ……。」


天井には魔法の光が星のように輝き、色とりどりの花が会場を彩っている。


まるでお城の舞踏会ですわ。


周囲を見渡していると、


「あれは……。」


「セレナ・エヴァンスか?」


ひそひそと声が聞こえてきた。


「すごく可愛い……。」


「いつもの制服姿と全然違う。」


えっ?


あちこちから視線が集まる。


(な、何でしょう……。)


ドレス、どこか失敗してしまいましたの?


不安になって裾を見下ろした、その時。


「セレナ!」


聞き慣れた元気な声。


振り向くと、正装姿のキリル王子が大きく手を振っていた。


「キリル王子!」


「今日のセレナは、すごく可愛い。」


キリル王子は照れくさそうに笑い、エメラルドグリーンの瞳を細めた。


「約束どおり、一曲目はオレだからな!」


「あっ!」


そうでしたわ。


ペア決闘を受けてもらうかわりに、一曲踊る約束でしたわ。


「さあ、行こう!」


ぐいっと手を引かれる。


「きゃっ!」


そのままダンスフロア中央へ向かった。


周囲から楽しそうな笑い声が上がる。


その時、ふと誰かの強い視線を感じて、


フロアの隅へ目を向けた。


そこにいたのは、一人の銀髪の青年――アルベルト様だった。


黒を基調とした正装は無駄な装飾こそないものの、


その端正な佇まいは誰よりも目を引いている。


アルベルト様の黄金色の瞳が、


キリル王子に手を取られて歩く私を、


じっと見つめていた。


「閣下。」


隣に立つライナーが静かに声を掛ける。


「生徒会の者が、呼びに来ています。」


「……ああ。」


アルベルト様は短く答えると、一度だけこちらへ視線を向けたあと、生徒会役員のもとへ歩き出した。


音楽が始まる。


後ろからイーゴリさんの声が飛ぶ。


「王子、今日は足を踏まないでくださいね。」


「プレッシャーかけるな!」


私も思わず吹き出してしまう。


「大丈夫ですわ。」


「私がリードしますから。」


「何でそうなるんだ!!」


会場から笑いが起こった。


笑いながらステップを踏む。


最初はぎこちなかったキリル王子も、イーゴリさんの特訓のおかげか、思ったより上手だった。


一曲が終わる。


キリル王子は私の手を握ったまま、真剣な表情になった。


「セレナ。」


「はい?」


「オレ、お前が好きだ。」


「……え?」


「少し前までは、妃待遇でお前の気を引こうとしていた。」


「だけど、それじゃ意味がない。」


「だから今度は、オレ自身を好きになってほしい。」


「そして、いつか妃になってくれ。」


あまりにも真っ直ぐな言葉に、思わず目を丸くする。


でも。


「ありがとうございます。」


私は小さく微笑んだ。


「ですが、お断りします。」


「おいっ!少しは悩め!」


「お気持ちはとても嬉しいです。」


「ですが、私はエヴァンス男爵家の娘です。」


「隣国へお嫁に行くわけにはまいりません。」


キリル王子はその場に崩れ落ちた。


「王子。」


イーゴリさんが静かに近付く。


「105回目の玉砕ですね。」


「数えるなー!」


会場は大きな笑いに包まれた。


私も思わず笑ってしまう。


その時だった。


「……エヴァンス嬢。」


不意に、聞き慣れた低い声が耳に届く。


振り返ると、人混みの向こうにアルベルト様の姿が見えた。


黄金の瞳と目が合う。


「あ……」


何かを言いかけた、その瞬間――。


「会長! 至急こちらへ!」


生徒会役員に呼ばれ、アルベルト様は足を止めた。


一瞬だけこちらを見つめたあと、静かに踵を返していく。


「…………」


何だったのでしょう。


何か、お話があったような気がしたのですが。


私は、その背中を見送ることしかできなかった。


そして、このあと――。


私はまだ知らなかった。


今夜、一生忘れられない一曲を踊ることになるなんて。


【聖女、現る(後編)・5】

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!


【投稿スケジュールです】

毎日更新(平日朝7:50/土日祝夕方18:50)予定です。

ぜひお楽しみください!


「続きが気になる!」と思っていただけましたら、

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次回もよろしくお願いいたします。

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