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氷の貴公子(生徒会長)、貧乏令嬢の一挙一動に毎日心臓が爆発しそう。〜照れたら負けの【赤面決闘】を挑まれていますがもう限界です〜  作者: 杜英智
聖女、現る(後編)

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第26話 決闘の結末

読みに来てくださってありがとうございます。


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。


それでは本編をどうぞ。

第26話 決闘の結末


「おおおおおおっ!!」


闘技場が大きくどよめく。


「入った!」


「クララ先輩の一撃だ!」


「イーゴリたちを押したぞ!」


マックス先生は勢いよく立ち上がる。


「決まったぁぁぁーーーっ!!」


「エヴァンスの土壁がクララを空へ運んだぁぁぁーーーっ!!」


「これは見事な連携ぃぃぃーーーっ!!」


アルベルトは風になびくツインテールを見つめながら、力強く頷いた。


歓声が一気に爆発する。


ライナーも思わず笑みを浮かべた。


「セレナ嬢、やりましたね!」


「ああ。」


「だが――まだ終わっていない。」


ドンッ!!


ドンッ!!


魔弾が次々とさく裂する。


喜びも束の間、休む暇を与えない。


セレナとクララは左右へ飛び退いた。


砕けた土壁の破片が宙を舞う。


◇


試合開始前。


「この決闘。」


キリル王子は満面の笑みで話しかけてきた。


「セレナは無傷のまま勝つ!」


イーゴリは眉一つ動かさない。


(……また無茶な。)


「お前なら、それくらいできるだろ?」


「な、イーゴリ!」


イーゴリは小さく息を吐く。


「……仰せのままに。」


(胃が痛い……。)


◇


ドンッ!!


ドンッ!!


(せめて、こちらの計画が相手にばれなければ、なんとかなるかもしれませんが…)


応戦しながら、イーゴリは戦況を頭の中で組み立て始めていた。


その間に、キリル王子は素早く体勢を立て直した。


肩についた土埃を払い、ニヤリと笑う。


「よくもやりやがったな!」


「びっくりしたぜ!」


大剣を肩へ担ぐと、闘志をむき出しにする。


「でも――」


「ここからが本番だ!」


ダンッ!!


再び地面を蹴る。


雷をまとった大剣が、一直線にクララへ迫った。


同時に。


ドンッ!!


ドンッ!!


イーゴリの二丁拳銃が火を吹く。


「《アースウォール》!!」


セレナの目の前へ巨大な土壁がせり上がる。


ドンッ!!


魔弾が土壁を粉砕した。


だが、その一瞬で――


「《 アースステップ》!!」


セレナはイーゴリを囲むように、空中へ無数の土の足場を生み出した。


一段。二段。三段。………………六段。七段。八段。


螺旋を描く土の階段が、ものすごい勢いで組み上がっていく。


その完成を待つことなく。


クララはすでに駆け出していた。


タッ!タッ!タッ!タッ!


目にも止まらぬ速さで土の階段を駆け上がる。


「は、速いぃぃぃーーーっ!!」


マックス先生の絶叫が闘技場に響く。


「エヴァンスの土魔法とベルモンの動きが噛み合ってきたぁぁぁぁぁぁーーーっ!!」


「もうイーゴリの目の前だぁぁぁーーーっ!!」


イーゴリは即座に銃口を向ける。


ドンッ!!


ドンッ!!


イーゴリの魔弾が土の階段を撃ち抜く。


しかし――。


もう遅い。


クララはすでに攻撃態勢へ入っていた。


「待て待て待て待て!!」


ダンッ!!


キリル王子が横から切り込む。


キィィン!!


聖輪が大剣を受け止める。


「お前の相手はこのオレだ!」


激しい衝撃とともに、二人はそのまま地上へ着地した。


ダンッ!!!


クララとキリルはにらみ合ったまま、どちらもひかない。


「《アースバインド 》!!」


私はクララの援護にまわる。


無数の土の手がキリル王子の足首へ絡みつく。


「なっ!?」


一瞬。


その一瞬で十分だった。


「《聖斬 》!!」


クララが聖なる光を帯びた聖輪を振り下ろす。


ドンッ!!!


イーゴリの魔弾が地面をえぐる。


クララは身をひねってかわす。


その死角から――


「《アースショット》!!」


無数の岩礫が弾丸のようにイーゴリへ襲いかかる。


「……!」


イーゴリは後方へ跳んだ。


「もらった!」


クララが間合いへ飛び込む。


キィィィン!!


キリル王子の大剣が聖輪を受け止めた。


火花が散る。


そのまま剣が流れ――


切っ先がセレナへ向く。


「セレナ!危ない!!」


クララが、止めに入ろうとした瞬間…


キリル王子の剣先が、わずかに逸れた。


「……?」


クララの瞳が細くなる。


「《 アースバインド》!」


再びセレナの土の手がキリル王子の動きを奪う。


「同じ手は食わん!」


キリル王子が一気に振り払う。


その隙にクララが飛び込む。


だが、そのまま斬りかからない。


――スッ。


わざとセレナのすぐ横へ回り込む。


「!」


キリル王子の剣が振り抜かれる。


その切っ先は、真っすぐセレナへ向かい――


ピタリ。


剣が止まった。


次の瞬間、キリル王子は大きく後方へ飛び退く。


ダンッ!!


「……やっぱり。」


クララは確信した。


(今度は、セレナを避けた。)


イーゴリは小さくため息をつく。


「王子……。」


拳銃を構えたまま、眼鏡の奥から冷ややかな視線を向ける。


「分かりやすすぎます。」


その時。


「セレナ!」


クララの声。


私は反射的に振り返る。


クララが後ろへ跳び、私と背中を合わせた。


互いの呼吸が伝わる。


「大丈夫?」


「はい!」


クララは短く言った。


「私に考えがある。」


私は耳を寄せる。


クララが小さく囁いた。


「…………」


「……!」


思わず目を見開く。


そんな方法で……。


一瞬だけ迷う。


けれど。


私はうなずいた。


「……わかりましたわ。」


「私はクララを信じます。」


クララが静かに笑う。


「ええ、任せて。」


「3つ数えたら始めるわ。」


二人は同時に前を向いた。


「王子。」


「もう気付かれています。」


キリル王子は軽く息を吐く。


「問題ない。全力でとどめを刺す。」


イーゴリさんは小さくうなずいた。


「了解しました。」


「行くぞ!」


キリル王子が地面を蹴った。


「3。」


闘技場の空気が張り詰める。


少し離れたところに移動したイーゴリさんが銃を構え直す。


「2。」


私はゆっくりと息を吸った。


クララの聖輪が静かに回転する。


「1。」


ダンッ!


私たちは同時に飛び出した。


クララは一直線にキリル王子へ。


私は大きく右へ回り込む。


「分断させる。」


イーゴリさんの二丁拳銃が、私へ向いた。


ドンッ!!


ドンッ!!


「《アースウォール》!!」


ドンッ!!


土壁が魔力弾を受け止める。


私はその陰へ滑り込み、右へ走った。


「《アースウォール》!!」


走りながら、右へ、右へ、土壁を次々と生み出していく。


ズラァァァッ!!


土壁が一直線に並んでいく。


ドドドドドドッ!!


イーゴリさんの魔弾が、土壁を一枚、また一枚と一瞬で粉砕していく。


「喰らえぇぇぇぇ!!」


「ライトニング・エンペラー!!」


轟音とともに、雷をまとった大剣がクララへ振り下ろされる。


クララは押される。


少しずつ。


少しずつ。


聖輪で受け止めながら、キリル王子の猛攻に後退していく。


一歩。


また一歩。


まるで追い込まれるように。


◇


ドンッ!!


最後の土壁が打ち砕かれる。


「……!?」


イーゴリさんの目が見開かれた。


(セレナ殿がいない!?)


その数秒前。


私は右へ走りながら土壁を並べ続け――


その陰で、進行方向を反転させていた。


左へ。


クララのもとへ。


「クララ!」


「《アースウォール》!!」


私はクララの前に大きな土壁を出現させる。


ドンッ!!


砕けた土壁の破片が飛び散り、広範囲に砂煙が舞う。


直後。


キリル王子が大きく踏み込んだ。


「もらったぁぁぁ!」


砂煙の隙間から見えたのは――。


「!!」


キリル王子の目が大きく見開かれた。


クララの前に両手を広げて立っていたのは――。


セレナだった。


雷を帯びた大剣が、ぴたりと止まる。


「止まったぁぁぁぁぁ!!」


「キリル王子の剣が止まったぁぁぁぁぁ!!」


「その隙を逃さないぃぃぃーーーっ!!」


ほんの一瞬。


その一瞬だけ。


「王子!」


イーゴリさんが叫ぶ。


「下がってください!」


しかし、その一瞬の迷いはもう取り戻せなかった。


シャリン――。


回転する聖輪が、キリル王子の首元でぴたりと止まった。


静寂。


誰も動かない。


キリル王子が苦笑する。


「……参った。」


マックス先生が魔導拡声器を握る。


「勝者ぁぁぁぁーーーっ!!」


「セレナ・エヴァンス!」


「クララ・ド・ベルモン組ぃぃぃーーーっ!!」


闘技場が歓声に包まれる。


イーゴリさんは静かに言った。


「王子。」


「本日の反省文、10枚です。」


「またかよーーっ!」


「敗因を分析しなければ成長しません。」


「それを今言うな!」


観客席から笑いが起こる。


クララはマックス先生へ向き直った。


「先生。」


「勝者の権利を使う。」


「約束どおり、学院公式ダンスパーティーの開催を申請する。」


マックス先生が大きくうなずく。


「受理する!」


「開催決定だぁぁぁーーーっ!!」


「うおおおおおーーーっ!!」


闘技場は今日一番の歓声に包まれた。


その歓声の中――。


キリル王子は私を見つめ、小さく笑った。


「……ダンス、楽しみにしてるからな。」


「え?」


私は、何か企んでいそうなキリル王子を疑わしげに見た。


「何を楽しみにしているんですの?」


キリル王子は答えず、にやりと笑った。


「当日になれば分かるさ。」


「???」


【聖女、現る(後編)・5】

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!


【投稿スケジュールです】

毎日更新(平日朝7:50/土日祝夕方18:50)予定です。

ぜひお楽しみください!


「続きが気になる!」と思っていただけましたら、

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次回もよろしくお願いいたします。

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