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氷の貴公子(生徒会長)、貧乏令嬢の一挙一動に毎日心臓が爆発しそう。〜照れたら負けの【赤面決闘】を挑まれていますがもう限界です〜  作者: 杜英智
オレ様王子襲来(後編

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第11話 魔導決闘 アルベルトVSキリル

読みに来てくださってありがとうございます。


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。


それでは本編をどうぞ。

第11話 魔導決闘 アルベルトVSキリル


「魔導決闘、開始!」


ゴォォォン!!


開始の鐘が、闘技場いっぱいに鳴り響いた。


その瞬間。


「行くぞ!」


キリル王子が爆発的な勢いで地を蹴った。


凄まじい脚力で闘技場の床にひびが走る。


そのまま雷をまとい、まるで弾丸のような勢いで駆け抜けた。


一瞬で距離を詰める。


「《ロイヤル・サンダー》!」


両手から弾けていた雷が一気に膨れ上がり、空間を引き裂くような巨大な金色の雷撃となった。


一直線にアルベルトへ襲いかかる。


しかし。


「《氷壁(アイスウォール)》」


アルベルト様の前に、巨大な氷の壁がそびえ立つ。


ドォォォン!!


金色の雷撃が氷壁へ激突した。


「防いだぁぁぁ!!」


マックス先生の実況が闘技場に響く。


「さすがは学院最強! ロストフ王子の初撃を真正面から受け止めたぁ!」


だが。


キリル王子は止まらなかった。


「まだだ!」


雷をまとったまま、一気に横へ跳ぶ。


そのまま闘技場の壁を蹴り、今度は反対側へ。


「速い!」


観客席から声が上がる。


キリル王子は走る。


跳ぶ。


壁を蹴る。


そのたびに雷が弾け、闘技場を青白い光が駆け抜けていく。


「どこから来る!?」


「速すぎて目で追えないぞ!」


キリル王子が高く跳び上がった。


「そこだぁっ!」


頭上から雷撃が降り注ぐ。


「《氷壁(アイスウォール)》」


雷が氷壁を打ち砕く。


だが、その頃にはキリル王子はもう別の場所へ移動していた。


「ハハハッ!」


「どうした、アルベルト!」


「いつまで隠れている!」


アルベルト様は答えない。


ただ黄金色の瞳だけが、目まぐるしく動くキリル王子を追っていた。


そして。


キリル王子が再び正面へ回り込む。


「吹き飛べ――!」


両手に集めた雷が、これまでとは比べものにならないほど膨れ上がった。


「《ロイヤル・サンダー》!!」


轟音。


空間を引き裂くような金色の雷撃が、一直線にアルベルト様へ突き進む。


その前に、分厚い氷壁が立ちはだかった。


しかし。


凄まじい衝撃波がアルベルト様を捉える。


ドォォォォン!!


氷壁が砕け散った。


アルベルト様はとっさに腕を構え、身体を低くする。


その受け身の姿勢のまま、彼の身体が後方へ弾き飛ばされた。


ズザザザザッ!!


靴底が闘技場の床を削り、数十メートルを滑っていく。


「な、何という威力だぁぁ!! 氷壁が紙切れのように砕かれたぁぁ!!」


マックス先生の実況が絶叫に変わる。


やがてアルベルト様は勢いを殺し、ゆっくりと身体を起こした。


銀髪が乱れ、頬には小さな傷が走っている。


それでも、その黄金色の瞳には揺らぎがなかった。


「……なるほど。」


しかし。


「――まだだ!」


キリル王子が叫ぶ。


すでに闘技場の反対側まで駆け抜けていた。


壁を蹴る。


方向を変える。


再び駆ける。


青い髪をなびかせながら、縦横無尽に闘技場を駆け回る。


右へ――と思えば、次の瞬間には左。


壁を蹴り、背後へ回り込む。


その動きを、アルベルト様はただ黄金色の瞳で追っていた。


身体は、微動だにしない。


「は、速すぎます……!」


「どこから攻撃が来るのか、まったく読めません!」


私は、このレベルの高い決闘にただただ驚いていた。


そして。


アルベルト様の視線が、ピタリと止まる。


キリル王子が、一気に距離を詰めた。


「そこだ!」


キリル王子の手に、巨大な大剣が現れた。

雷光が刀身を走る。


一直線にアルベルト様へ迫る。


その瞬間。


アルベルト様が、初めて動いた。


すっと右手を前へ。


指先から、青白い冷気が一筋走る。

それは瞬く間に形を変え、長く鋭い氷の剣となった。


「《氷刃(アイスブレード)》」


鋭利な青白い氷の刃が、キリル王子へ向かって次々と放たれる。


「その程度か!」


キリル王子は大剣を振り抜き、迫る氷刃を次々と叩き割る。


そして、そのまま一気に至近距離へ。


「《クラウン・ボルト》!」


大剣に雷光が集束する。


上段から振り下ろされた一撃を、アルベルト様は氷の剣で受け止めた。


ガキィィィン!!


剣と剣。


雷と氷。


激しい衝撃が弾け、無数の氷晶が舞い散る。


あまりの余波に、闘技場の防護結界が大きく揺れた。


「すごい……。」


私は言葉を失い、ただ目の前の光景に息をのむ。


ライナーさんは小さく微笑んだが、その目は真剣そのものだ。


「お二人とも、本気です。」


「一歩間違えれば闘技場ごと吹き飛びますね。」


「闘技場の修理費がお高そうですわ……。」


「……そこですか。」


ライナーさんは苦笑した。


「おおおおっ!」


観客席から歓声が上がる。


氷の剣と大剣が、真正面からぶつかった。


キリル王子が大剣を振り下ろす。


アルベルト様が受け流す。


横薙ぎ。


受ける。


突き。


かわす。


一撃ごとに、雷光と氷晶が激しく弾ける。


「まだまだぁっ!」


キリル王子が踏み込み、さらに大剣を振り抜く。


アルベルト様は一歩だけ身を引き、その刃を受け流した。


そのまま二人は、同時に後方へ跳ぶ。


距離が開いた。


一瞬の静寂。


マックス先生が興奮のあまり机を叩いて立ち上がった。


「来るぞぉぉぉ!!」


「両者、出し惜しみなし!」


「最大奥義の激突だぁぁぁ!!」


キリル王子が大剣を天へ掲げる。


その瞬間。


闘技場の上空に、禍々しい黒い雷雲が渦を巻いた。


全身から噴き出す雷光が天へと伸び、雷雲と繋がっていく。


「《ライトニング・エンペラー》!」


轟ッ!!


極大の雷柱が、天よりアルベルト様へ振り下ろされた。


対するアルベルト様は、静かに右手を掲げる。


「《氷帝槍(グレイシャル・ランス)》」


闘技場の空気そのものが凍りつく。


頭上に、城の主塔ほどもある巨大な氷の結晶槍が現れた。


それが凄まじい風切り音を響かせ、天より落ちる雷へ向かって一直線に放たれる。


轟ッ!!!!!!


氷と雷。


二つの最高位魔法が激突した。


凄まじい衝撃波が結界を限界まで震わせ、土煙と白い霧が闘技場を覆い尽くす。


やがて。


風がゆっくりと煙を払っていく。


中央に凛然と立っていたのは――


アルベルト様だった。


一方、キリル王子は大剣を床に突き立て、全身から残雷を散らしながら片膝をついている。


けれど。


その顔には、悔しさよりも清々しい笑みが浮かんでいた。


「……ははっ。」


そして。


「ははははははっ!」


闘技場いっぱいに、キリル王子の笑い声が響き渡った。


「凄まじいな! 」


「完敗だ!」


その瞬間、闘技場が大歓声に包まれる。


「勝者ぁぁぁぁぁ!!」


「アルベルト・フォン・グラナートーー!!」


総立ちの拍手が響いた。


アルベルト様が手を下ろすと、氷の剣は淡い冷気となって消えていった。


「約束は守ってもらう。」


「ああ!」


キリル王子は剣を引き抜き、肩に担ぎ直して不敵に笑った。


「学院の学生への勧誘はやめよう!」


「男に二言はない!」


「感謝する。」


アルベルト様は短く答え、実況席の私をそっと見つめた。


私はほっと胸をなで下ろす。


「お二人とも、本当にお強いですわ……。」


「私も、もっと頑張らないと。」


アルベルトはその言葉を聞き、小さく微笑む。


「……期待している。」


その瞬間。


「だが!」


キリルがギラギラとした目で人差し指を私に突き上げた。


「妃は諦めん!」


「セレナ!」


「卒業したら、また誘うぞ!」


「まだ言いますのーーー!?」


私の絶叫が響き渡り、闘技場中が笑いに包まれた。


ライナーは小さくため息をつく。


(閣下……。)


(決闘には勝利されましたが。)


(まだまだ前途多難ですね。)


アルベルト様はそんな周囲の反応を気にする様子もなく、静かに私を見つめていた。


その口元には、ほんの少しだけ笑みが浮かんでいた。


【オレ様王子襲来(後編)・完】


ここまでお読みいただき、ありがとうございます!


今回は、アルベルトとキリル王子、二人の本気の決闘でした。


アホ王子ことキリルも、実はかなりの実力者です。

それでも、さらにその上をいくアルベルトの強さを、しっかり描けたのではないかなと思っています。


さて、次回からは夏休み編です!


ここまで決闘に商館に強盗騒ぎにと、イベント続きでしたので、少し息抜き。


夏休みの時間を過ごしながら、アルベルトとセレナの距離も、少しずつ縮まっていけばいいなと思っています。


二人のじれじれな時間を、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです!

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!


【更新スケジュール】

毎日更新(平日朝7:50/土日祝夕方16:50)予定です。


ぜひお楽しみください!


「続きが気になる!」と思っていただけましたら、

ブックマークや評価で応援していただけると、とても励みになります!

次回もよろしくお願いいたします。

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