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戦争から帰ってきた夫が連れてきたのは彼が愛する人の子供だった。  作者: 花


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68話

 穏やかな日々が続く。


 あれからネージュ様からは連絡はない。


 ただ、ときおりリュシアンにへとプレゼントが贈られてくる。


 服だったりおもちゃだったり。


 どれも外国のもので、私が売っている物と被らないようにと考えてくれているみたい。


 リュシアンにそろそろ『おじちゃん』はお父様だと話す時が来たのだと思った。

 彼が父親としてリュシアンと関わりたいのだと感じたから。離縁してもリュシアンは伯爵家とはこれから一生縁は続く。


 もう少ししたら………話さないといけないと思っていた。


 4歳のわりに理解力もあるリュシアン。今のあの子なら完全に理解しなくてもわかってもらえるように話せば……



 ネージュ様からのプレゼントを夕食後に部屋に戻ってから手渡すことにした。


「おじちゃんから?」


「ええ、そうよ。リュシアンが騎士様ごっこが出来るようにと貴方の体に合わせた木剣が送られてきたの」


 木剣はおもちゃというより、子供の鍛錬用に作られた本物に近い物だった。


 選ぶものがさすが騎士だなと苦笑した。


 そしてリュシアンも男の子。騎士に憧れがありおじちゃんが騎士様だと知ると、「すっごぉいねぇ」と、強い憧れを抱いていた。


 目をキラキラさせて部屋で木剣をブンブン振って楽しそう。


「お願い、危ないから広い場所で剣は振ってちょうだい」


「はあい!じゃあおそとに いってもいい?」


「………もう外は真っ暗だから。明日、騎士団のひとにお願いして剣の握り方を教えてもらいましょう」


「えええ?いまじゃだめ?」


「もうお風呂に入って寝る時間よ?言うことを聞かないならその剣はしばらく預からせてもらうわ」


「……………あしたなら……いい?」


「もちろん。お母様がリュシアンとの約束を破ったことがある?」


「………ない……ぜったいだよ?」


「約束ね?」


 リュシアンはぐっと堪えて剣を部屋の隅に置いた。


 ベッドから見える位置に置いて、寝る時に剣に向かって「おやすみ」と挨拶していた。


 今までいろんな物を与えてもらっていたけどこれほど喜んだものはない。


 出来ればネージュ様に剣の基本を教えてもらいたい。


 離縁して会うことはなかったけど、ネージュ様や義母と会う機会も作れるし……


 マシューと伯父様とその夜話しをした。



「ルシナがそう思うならいいんじゃないのか?」


「急いで伝令を送ってみよう。どうなるかわからないけど少しなら時間を作ってくれるんじゃないかな?」


「うん、ネージュ様が了解してくれればリュシアンは喜ぶと思うわ」


 あっ……でもまだ説明が………


 リュシアンがあまりにも木剣を見て興奮して抑えるのが大変過ぎて、ネージュ様のことを伝えそびれていた。


 本当はきちんと話すつもりだったのに。


「俺が話そうか?」

 マシューが話していないことを告げると心配してそう言ってくれたけど、頭を横に振った。


「大丈夫」



 次の日、リュシアンはいつもより早く目覚めた。


 私との約束が楽しみだったらしく

「かあさま!いつけんをさわっていい?」と何度もしつこく聞いてきた。


「もう少し待ってね、先に朝食よ」


「はあい」


 少し不満のようだけどお腹はしっかり空いているらしく美味しそうに食べていた。


 朝食が終わり、部屋に帰って着替えをする。着替えをさせながら「母様、リュシアンにお話があるの」と言うと「なになに?」

 と嬉しそうに聞いてきた。


 着替えが終わって二人でソファに座った。ピタリとくっついたリュシアンの温かい肌に(うん大丈夫)と自分に言い聞かせて話し始めた。


「リュシアンのお父様は剣をくれたおじちゃんなの」


「しってるよ?おじちゃんがとうさまでしょう?」


「………知ってたの?」


 驚くあまり一瞬声が出なかった。


「だってかあさまたちがはなしているの、きいたよ」


「話しを?りゆしあんが?」


「うん、みんなぼくにないしょだからぼくもないしょにしてた」


 そうよね、大人同士の会話で声を顰めて話していても子供は耳ざといから聞こえていたのか……


 はっきりとした言葉で話してはいなくても、遊びに夢中だと思っていてもしっかり聞こえていたのね。


「そっか、では話が早いわ……お父様にリュシアンに剣の指導をお願いしたの。どうかな?嫌だったら断るわ」


 今朝早く返事をもらった。


 今日の昼からなら時間が取れるとの事。


「おじちゃん………あ……とうさまとけんを?や、やりたい!」


「うん、わかったわ。それまで剣はお母様が預かっておくわ。午前中は少しお勉強をして早めのお昼寝をしましょうね。早起きしたから昼間起きていられなくて、約束破っちゃうかもしれないわ」


「…………ええ!おひるまでだめなの?」


「お昼からの楽しみね?」


「…………はあい」

 ムスッとしたけど納得してくれた。

 いっぱい昼寝して元気に剣を振り回して欲しい。


 リュシアンは少し反抗期。だけどネージュ様のことは理解してくれてよかった。


 私とは縁のなかったネージュ様。だけど二人はやはり親子だから。







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