ひろし、ベイリゲンヘ向かう
「ぐはぁ」
ハデスはお母さんの大爆発に大きくHPを削られると、怒りの形相でお母さんに叫んだ。
「獣よ! 私を怒らせたな!」
ハデスは鎌から紫色の炎を吹き出すと、お母さんに向かって飛び込んだ。
「ぁ! お母さん、ぁぶない!」
ドスッ!
「ガルルルル!!」
ハデスは素早く鎌を振り下ろすと、お母さんの背中に鎌を突き刺さした。
ブォォオオオオ
そしてハデスは突き刺した鎌の紫色の炎の火力を上げると、お母さんのHPをどんどん奪っていった。
「グルル……ル……」
「ぉ母さん、戻って!」
ナミが叫ぶと、ナミの視界にメッセージが現れた。
『お母さんを帰還させます』
ブゥゥ……ン
メッセージが消えると、お母さんはその場から消えてG区画の家へと戻った。
ララガのお母さんが居なくなると、アーボンが大声でハデスを呼んだ。
「ハデス! ちょっ、こっち手伝って! じいさんたち、めっちゃウザい!」
「はい」
なんとアーボンはおじいさんたちの攻撃に翻弄されてHPを半分くらいまで減らされていた。
ブワッ!
ハデスは一瞬で大熊笹の前に出ると、素早く鎌を振り下ろした。
「おっと」
大熊笹は前回り受け身でそれをかわすと、そこへアーボンが斬りかかった。
「じいさん、ウザいんだよ!」
ババッ……
「ほい」
大熊笹はヒラリと剣をかわすとアーボンの足を払った。
「うわぁ!」
アーボンがバランスを崩して倒れると、ハデスはアーボンを庇うように間に入った。
大熊笹は即座に後ろへ下がってハデスから距離を取ると、そこへナミも合流して弓を構えた。
ハデスはそれを見て鎌を仕舞うと、やれやれといった表情を浮かべながら両手を上にあげてアーボンに言った。
「アーボン様。毒無効の防具を装備をしてください。猛毒の雨を降らせて一気に片付けます」
「そ、そうか! わかった!」
アーボンは急いで毒無効の防具に変更すると、空に紫色の雨雲が立ち込めた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
ハデスは不敵な笑みを浮かべておじいさんたちを見ると静かに言った。
「ではみなさま、猛毒の雨をお楽しみください」
その時、おじいさんが閃いてみんなに言った。
「みなさん! 狭いですが軽トラの中へ!」
「「はい!」」
おじいさんたちは2人乗りの運転席と助手席に4人で飛び込んだ。
バタン! バタン!
ザァァーーーーー……
すると間髪入れずに猛毒の雨が降り注いだ。
おじいさんたちはギュウギュウになりながらも雨を逃れて安心すると、おじいさんは軽トラのエンジンをかけた。
キュキュキュ、ブゥン
「みなさん、とりあえずこのまま逃げましょう」
「そうですな」
「はい」
「ぅん」
しかし、おじいさんがアクセルを踏んで進もうとした瞬間、
ドガン!!!
「あっ!」
「おっと」
「ぅわぁ」
なんとアーボンが自分のモービルを軽トラに衝突させて軽トラを止めた。
ザンッ ザンッ ザンッ……
すると鎌を持ったハデスがゆっくりと運転席に近づいてきた。
おじいさんはそれを見ると、みんなに言った。
「まずいです、鎌で窓を割られたら猛毒の雨が入ってきてしまいます」
「はっはっは! 万事休すですな」
「これまででしょうか……」
「くやしぃ……」
しかしその時突然、雨雲に大穴が空いた。
そして、その大穴から光る物体が猛スピードで落下してきた。
シュゥゥウウウウ!
「ぁ!」
ナミはその光る物体をよく見ると、輝く槍を突き出した白いワンピースの少女だった。
「漁師さん!」
「「ええっ!?」」
ザンッ!!!
ビガァァァァアアアアン!!
おじいさんたちが声をあげた瞬間、少女の槍はハデスを直撃して光の大爆発を起こした。
「「わぁぁーー!」」
おじいさんたちは光に目がくらんで驚いたが、少しずつ視界がひらけてくると翼を広げた少女が静かに立っているのが見えてきた。
そして、少し離れたところに吹き飛ばされて倒れているハデスがいた。
少女の光の槍でHPが危うくなったハデスは、薄ら笑いを浮かべながら呟いた。
「ふっ。ヴァルキリーか……」
それを見て慌てたアーボンはモービルの窓を開けてハデスに言った。
「ハデス、車に乗れ! お前が死んだらマズい!!」
「はい」
すると空に立ち込めていた雨雲は消え、ハデスは急いでアーボンの車に乗り込んだ。
ブゥウン! ザザァ!
そしてアーボンはモービルを急発進させると、そのまま走り去っていった。
ブーーーーン……
おじいさんたちは安堵の表情で軽トラから降りると、ナミがヴァルキリーのところに行って話しかけた。
「漁師さん、ぁりがとぅ。漁師さん、飛べるの?」
「うん。わたしヴァルキリーだから翼を持ってるの」
「バルキリ? かめさんじゃなかったんだ」
「かめさん?」
ヴァルキリーは翼を仕舞いながら笑顔になると、おじいさんたちもヴァルキリーにお礼をした。
「ありがとうございました。助かりました」
「ありがとうございます」
「本当に助かりました」
「うふふ。眷属のわたしが、もう少し早く主人のナミさんの異変に気づくべきだったのに……」
それを聞いたナミはヴァルキリーに尋ねた。
「バルキリちゃん、わたしの眷属なの?」
「うん、そう」
「じゃあ、おともだち」
「おともだち? うふふ、ありがとう。ナミさん、今度は危なかったら名前を呼んでね。すぐに来るから」
「ぅん、たすかる」
すると、おじいさんがナミにもお礼をした。
「ナミさん、助かりました。あの時ナミさんたちが来てくれなかったら危なかったです」
「ぅうん。役にたてなかった」
「いえいえ、こうして助かったのもナミさんのお陰です。……そういえばナミさん、何かご用でここに来たのですか?」
「ぁ、そうだ。鍛冶屋にいって水除けのお守り」
「あぁ、鍛冶屋ですか」
ナミが本来の用事を思い出すとヴァルキリーは笑顔になってナミに言った。
「ナミさん、いっしょに鍛冶屋に行こう」
「ぅん。ぃこう」
「うふふ」
2人が話しているのを聞いていたおじいさんはナミに提案した。
「私たちもベイリゲンの鍛冶屋に指輪を渡しに行くところなんです。良かったら一緒に行きませんか?」
「ぅん。ぁりがとう」
「うふふ。いっしょ」
こうしておじいさんたちは軽トラでベイリゲンの鍛冶屋へと向かった。




