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ひろし、援護する

「お、おまっ!」


 アーボンは地面に刺さった剣を慌てて引き抜くと、驚いた表情で日本刀の騎士に言った。


「お、おまえ、ブラックリストな。もう金やらねぇからな!」


「す、すみません! き、斬ってください! 私を斬ってください! ごめんなさい!」


 日本刀の騎士はそう言うと、刀を地面に置いて(あやま)った。


 それを見たアーボンは満足そうにして言った。


「なんだよぉ~。最初からそうしてればカワイイのにぃ~」


 アーボンがニヤニヤしながら両手剣を振り上げた瞬間、


 バチン!!!

「え?」


 茂雄の右フックがアーボンの剣を吹き飛ばした。


「はい、よいしょ!」


 ズバン!!


 怯んだアーボンに大熊笹が美しい一本背負いを決めると、アーボンは転がりながら逃げ出した。


「なっ、なななっ! なんだよぅ!!! お前ら、邪魔するなら後悔させてやるっ!! ハデスー!!」


 アーボンが叫ぶと、空に雨雲が立ち込めた。


 そして雨雲が渦を巻き、雨雲に穴が開くと、禍々(まがまが)しいオーラを(まと)った細身の男性が降りてきた。


 スゥゥゥ……、スタッ


 ハデスは地面に降り立つとアーボンの前にひれ伏した。


「アーボン様、何なりとお申し付けください」


 アーボンはそれを聞くと、ニヤリと笑ってハデスに命令した。


「全員、()っちゃって!」


「はい」


 フッ!


 ハデスは一瞬で日本刀の騎士の横へ移動すると、紫色に光る大きな(かま)を手に出現させた。


「えっ! あっ!」


 ハデスは驚く日本刀の騎士を見てニヤリと笑うと、静かに言った。


「死ね」


 ズバッ!!


「うっ!」


 シュゥゥウウウ……


 ハデスは一撃で日本刀の騎士を消滅させると、今度は大熊笹に近づいていった。


 大熊笹はそれを見てゆっくりと身構えると、アーボンが笑いながら言った。


「はっはー! ハデスはおれの眷属(けんぞく)なんだぁ。こいつはマジで強ぇ。こいつのおかげで俺は強くなったんだよ~」


 大熊笹はそれを聞くとアーボンに言った。


「はっはっは、それは面白いですな。相手になりましょうか」


 アーボンはそれを聞くと眉間にシワを寄せながら言った。


「はぁ? ナメてんの? ねぇハデス。やっちゃって」


「はい」


 ハデスはアーボンの指示を聞くと、素早く大熊笹に迫った。


 しかし、大熊笹は瞬時に反応してハデスの腕を掴むと、一本背負いに持ち込んだ。


「はい、よいしょ」


 ブワァァアア……


 しかしなんと、ハデスは自分の姿を沢山の水の粒に変えて空中に逃れた。


 それを見た大熊笹は感心しながら笑った。


「はっはっは、水の粒になりましたか!」


 ハデスは空中で自分の水の粒を集合させると、再びハデスの姿に戻った。


 シュゥゥン


 ハデスは不敵な笑みを浮かべながら地面に降り立つと、大熊笹に言った。


「私には物理攻撃は効きません」


「そうでしたか。これは面白くなって参りましたな」


 大熊笹が再び構えると、なんと遠くからララガの咆哮(ほうこう)が聞こえた。


「ガォォォオオオ!」


 それを聞いたおじいさんが声のするほうを見ると、なんとララガのお母さんが山の上から駆け降りてくるのが見えた。


「あ、ララガのお母さん!」


 おじいさんがそう言うと、アーボンはララガを見つけて焦った。


「お、おおお、おい! やばいんじゃないかハデス!?」


 ハデスはニヤリと笑うと、ゆっくりとアーボンに答えた。


「そうですね。ララガは物理攻撃だけではなく、強力な属性攻撃をしてきます。ですが、ご安心を」


 ララガが体に炎を(まと)わせて走り下りてくると、山の斜面でどんどん加速しながらハデスに向かって飛びかかった。


「ガァァァアアアアア!!」


 しかしハデスは素早く自分の体を水に変えてララガに襲いかかった。


 ブシャァァァァアアア


「ギャオォ……」


 ララガはハデスの水属性攻撃を食らうと体に(まと)わせた炎が消され、攻撃力と防御力を()がれた。


 その時、山の上から駆け下りてくるナミが叫んだ。


「ぉ母さん!」


 ナミを見つけたおじいさんたちも思わず声をあげた。


「「ナミさん!!」」


 ハデスは自ら姿を水から元の姿に戻すと、アーボンの前に(ひざ)をついて言った。


「アーボン様、あのプレイヤーはどういたしましょうか」


「もうさぁ、あいつも()っちゃって」


「はい」


 ハデスは返事をすると大きな(かま)を手に出現させた。


 ナミは山から滑り降りるとララガのお母さんの前に走り込み、ハデスに矢を向けた。


 ハデスは静かに笑うとナミに言った。


「お嬢さん。私に物理攻撃は効きませんよ」


 バッ!!


 ハデスがそう言った瞬間、ハデスはすでにナミに(かま)を振り下ろしていた。


「ぁ!」


 ガンッ!


「ぅ……」


 ズザァァァ……


 ナミはハデスの(かま)の攻撃を弓で受けたが吹き飛ばされた。


「ガァァアアアアア!!」


 するとお母さんが、ナミを守るかのように飛びかかった。


「学習しない(けもの)ですね……」


 ハデスは再び水の粒になってお母さんの攻撃をかわすと、少し離れて元の姿に戻った。


 ボワァァアアア!


「炎!!」


 なんとハデスは炎に包まれた。


 ハデスはHPを減らされて一瞬焦りの表情を見せると、大熊笹が満足そうに笑って言った。


「はっはっは! 豪炎(ごうえん)(つぼ)は効くようですな」


 すると、それを見ていたアーボンが慌てて大熊笹に斬りかかった。


「このじじい! ハデスにやりやがったなー!!」


 バチ、バチン!

「ぶふっ!!」


 しかし横から茂雄がアーボンにワン・ツーパンチを食らわせると、


「はい、よいしょ!」


 ズバン!

「うげっ!」


 すかさず大熊笹が美しい一本背負いを決め、


 シャァァアアアア……、ガン!

「いって!」


 おじいさんが剛速球をお見舞いした。


 しかしアーボンは笑いながら立ち上がると、おじいさんたちに言った。


「ったく、じじいのくせに異様に強いじゃねぇか。でもまぁ、HPまだ10分の1も減ってないけどね~」


 アーボンは再び剣を構えるとハデスに言った。


「ハデス、ララガとその女やっちゃって。俺はじじいたちやるわ」


「はい」


 ハデスは軽く会釈をすると(かま)に紫色の炎を(まと)わせた。


 ボウッ!


「グルルルルル……」


 お母さんは頭を低くして(うな)ると、再び体に炎を(まと)わせてハデスを(にら)みつけた。


 ブワァアアアアア


 そしてハデスを威嚇(いかく)するように近づいていくと、ハデスは鎌を静かに構えて鼻で笑いながらお母さんに言った。


「ふっ。()りない(けもの)ですね」


 ブシャァァアアアア


 ハデスはたくさんの水の粒に姿を変えてお母さんに襲いかかった。


「ガァァア!」


 しかし、お母さんは素早く後ろへ下がると、一気に横へ向かって走り出した。


 ダダダダダダダダダダ!


 すると水の粒になったハデスはお母さんに追いつけず、水の粒でいられる時間の限界を迎えると、一旦(いったん)元の姿に戻った。


「ガァァオオオオオ!!」


 それを見たお母さんは素早く切り返してハデスへ飛び込むと、口から火の粉を吹き出し、火の粉でハデスを包み込んだ。


 ブワァアアア


「くっ!!」


 ハデスが意表を突かれて驚きの表情を見せた瞬間、



 ドガァァアアアアアアン!!



 大爆発がハデスを襲った。



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