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ひろし、待ち伏せされる

 おじいさんたちは盗賊のアジトを後にして、ベイリゲンの町へ戻ってきた。


 すると、ベイリゲンの町の入り口を(ふさ)ぐように数人のプレイヤーたちが待ち構えていた。


 そして1人のプレイヤーが前に出るとおじいさんに言った。


「待ってたぜ、石投げるじいさん。じいさんを倒す動画が撮れればアーボンさんに高く売れる。悪いが死んでもうらうぜ」


 すると後ろに居たベンドレが前に出て、そのプレイヤーに言った。


「久しぶりだな防衛隊長。おまえもアーボンに付いたか」


「ひっ!! ベ、べべべ、ベンドレ様!」


 ベンドレは静かに剣を抜くと、元防衛隊長の騎士は狼狽(うろた)えて下がりながら仲間に言った。


「い、いや、ベンドレ様がこんな所に居るはずがない! こいつは、ベ、ベベ、ベンドレ様の偽物だ! おい、おまえら! やっちまえ!」


「「おおー!!!」」


 元防衛隊長が時代劇で追い詰められた悪代官(あくだいかん)のような台詞(せりふ)()くと、片手剣の騎士が剣を突き出してベンドレに飛び込んだ。


「偽物め! 我が剣を受けてみよ!」


笑止(しょうし)


 シュッ、ドゴッ!!!


 ベンドレは素早く踏み込むと、なんと剣よりも早く左拳で片手剣の騎士の腹に一撃を食らわせ、空中に吹き飛ばした。


「うそ……」


 ドスッ!!


「ぐわっ!」


 そして宙に浮いた片手剣の騎士を下から剣で突き刺すと、そのまま振り下ろして騎士を地面に叩きつけた。


 ドガンッ!!


 シュゥゥゥウウ


 片手剣の騎士が消滅すると、今度は体格の良いハンマーの騎士と斧の騎士が同時に飛びかかってきた。


「偽物が調子に乗りやがって!!」

「おれの斧を喰らえ!!」


 それを見たベンドレは即座に剣を納めると素早く体を低くし、居合抜刀(いあいばっとう)スキルで斬り込んだ。


 シュピン!!


 ズババッ!


「えっ!」

「両手剣で……、居合だ……と……!?」


 シュゥゥゥウウ

 シュゥゥゥウウ


 敵の騎士たちがベンドレの一撃で瞬殺されると、魔法使いが慌てて詠唱を始めた。


「地の力を司りし精霊よ、我は大いなる大地に祈りを捧げる者。母なる大地を尊びて……」


「ふんっ!!」


 ビュッ…… ドスッ!


「ぎゃぁ!!」


 なんとベンドレは両手剣を投げつけて、剣で魔法使いの腹を貫通させた。


 ドゴッ!


 そこへ素早く膝蹴(ひざげ)りを決めて消滅させると、転がった両手剣をつま先で跳ね上げて手に持ち、後ろから迫ってくる武闘家を斬りつけた。


 ズバッ!!


「くっ、くそっ!」


 ブワッ!


 武闘家は下がって構え直すと、ベンドレに渾身のハイキックを放った。


 しかしなんと、それよりも先にベンドレのローキックが武闘家に炸裂した。


 バキッ!!


「ぐわっ!」


「ふんっ!」


 ズバッ!


 シュゥゥゥウウ


 そしてベンドレが両手剣でトドメの一撃を食らわせると武闘家は消滅していった。


「だ、だめだ! 逃げろ!! 強さがおかしい!」


 ダダダダダダダダダダ


 残りのプレイヤーたちは一目散(いちもくさん)に逃げていった。


 ベンドレは剣を納めると、おじいさんに謝った。


「ひろしさん、すみません。襲われた原因は私にあります。少しでも早くアーボンを……」


 パチパチパチパチパチパチ!


 するとみんなから拍手がおこり、口々にベンドレを褒めた。


「ベンちゃん、すごいじゃん!」

「ベンドレさん、やっぱ強い!」

「さすがはベンドレさん」

「わたしもキックを活用してみるか……」

「素晴らしかったですベンドレさん」


「あ、あの……」


 ベンドレは恥ずかしそうに下を向くと、おじいさんがベンドレに言った。


「ベンドレさん、ありがとうございました。何かあってもベンドレさんが居てくだされば安心です」


「ひろしさん……」


 ベンドレはおじいさんに深々と頭を下げた。



 おじいさんたちは町に入ると鍛冶屋に行って指輪を渡し、とうとう鍛冶屋が解放された。


 そして、おじいさんたちは転移魔法に必要な羽根をもらうと、アカネは鍛冶屋の職人に尋ねた。


「ねぇ、無職でも着れる防具も作れるの?」


「ああ、作れるよ。これを見てくれ」


 鍛冶屋の職人は無職のプレイヤーが着ることができる防具の一覧を見せてくれた。


 ーーーーーーーーーー

 岩のデカパン

 ワニ革のパーカー

 タコのジャージ

 赤龍(せきりゅう)のトレーナー

 魔獣(まじゅう)のシャカパン

 オロチの浴衣(ゆかた)

 ーーーーーーーーーー


「え、浴衣もあるの?」


 アカネはそう言うと、オロチの浴衣をタッチした。


 ーーーーーーーーーー

 オロチの浴衣


 素材:オロチの目玉1、爪3、牙3、鱗3、角3


 物理防御力 5000

 魔法防御力 5000


 【全属性ダメージ軽減50%/全デバフ無効】


 300000プクナ

 ーーーーーーーーーー


「え、オロチの浴衣すごいじゃん! でも素材集めて30万プクナもするのかぁ」


 それを聞いたイリューシュはアカネに言った。


「オロチは今居ないので、浴衣は幻の防具になっているのですが、近々オロチが復活するみたいですよ」


「ほんとすか!? おし! 絶対勝つ!」


「ふふふ。アカネさん、でも今日のところはマガイルーで転移魔法をもらってから、イークラトでレッドドラゴンを倒しましょう」


「うん、わかった!」


 こうして、おじいさんたちはベイリゲンからマガイルーの魔法学校へ移動した。



 その頃、ルルたちはピンデチのお店に移動して飾り付けをしていた。


 ルルはメジャーで寸法を測ると、ブツブツと呟いた。


「ええと、店の前の展示スペーズの幅が180cmX30cmだから……、あれ? 大きい鉢の幅が30cmで小さい鉢が20cmで……、何個置けるのかしら」


 すると、一緒についてきていた白ヘビがルルに言った。


「ルルさん、大きい鉢が6なら小さい鉢は0。5なら1。4なら3。3なら4。2なら6。1なら7ね」


「す、すごいわね」


「ええ。わたしAIなので計算は得意なの」


「ほんとに? じゃあ、このお店の中に大きい鉢で花を置きたいんだけど、何個置けそう?」


「人が通れるスペースを最小にすれば63個。余裕をもたせたら51個ってところかしら」


「白ヘビちゃん、ほんと助かる! ねぇ、ウチで働かない?」


「うれしいのだけれど、ナミ様の許可が必要なの」


「あ、そっか。ナミさんがご主人だものね」


「そうなの。でもナミ様に聞いてみる」


「ほんとに!? 助かるわ!」


 ルルはそう言って白ヘビの手を握ると、白ヘビは恥ずかしそうに下を向いた。


「あ、メッセージ」


 ルルはメッセージが来たことに気がつくと手を動かしてメッセージを開封した。


「ふむふむ。ふむふむ。…………、なるほどね」


 白ヘビはその様子を見ると、ルルに尋ねた。


「どうしたの?」


「実は昔仲間だったアーボンって奴がプレイヤーを殺しててね」


「プレイヤーがプレイヤーを?」


「そうなの。アーボンは現実世界でお金をばらまいて人を集めてるから、お金の出どころを調べてたのよ」


「そうだったのね」


「結局アーボンはお金でプレイヤー殺しを請け負って、さらに、プレイヤーを面白おかしく殺す様子を配信して広告収入を得てるみたいなの」


「うふふ。悪党ね」


「そうなのよ。でもバラ撒いてるお金も相当だったから結構稼いでるみたいで、なんて(うらや)まし……、えっと、なんて(ひど)いの!」


「そうね」


 すると白ヘビは一瞬考えてルルに言った。


「それなら真似(まね)をして、レアな花の収穫を請け負って、その道のりを配信したらどうかしら」


 それを聞いたルルは驚いて言った。


「それ! それだわ!」


「え?」


 ルルは急に笑顔になると、お店のカウンターに座って何かを書き始めた。


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