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ひろし、おや!

 その頃、G区画の家の庭ではルルとつむぎとChocoとミッチがルルの店の飾り付けの会議をしていた。すると、


 ドスン


 ナミが手なづけた盗賊のアジトの白いヘビが庭に現れた。


 それを見たルルは驚いて焦りながら言った。


「えっ! ちょっ! あなた盗賊のアジトの!」


 それを聞いた白いヘビは静かに話し始めた。


「大丈夫。わたしはナミ様に手懐(てなず)けられたので、ナミ様のお友達のみなさまには手を出さないわ」


 それを聞いたルルは安心すると、白いヘビに言った。


「そ、そう。ならいいのよ。あなた、本当に心臓に悪いのよ」


 ポワン


 白いヘビは細身の女性の姿になると、庭の日の当たらない所に行って体育座りをした。


 ルルはそれを見ると、白いヘビに恐る恐る尋ねた。


「ねぇ……。なんで、そんな暗いところに座ってるの」


「暗くてジメジメしている所が好きなの。それにね、ボスやってた時は頑張ってたけど、本当はあまり目立ちたくないの」


「あ、あぁ。そうなのね」


「ところで、みなさま。何をやっているの?」


「あたしのお店の花の飾りを考えているのよ」


「なるほど」


 すると白いヘビはたくさんの花を出現させた。


「私、薄暗い盗賊のアジトに住んでからこんな物しか持っていないけど、使えるかしら」


 つむぎたちは花を見ると笑顔で喜んだ。


「わぁ、スミレ!」

「え、これって多肉(たにく)の仲間!?」

「すごい、きれいなスズラン!」


「あと……、これも」


 白いヘビは最後に「岩の花」を出現させた。


 それを見たルルは驚いて白いヘビに言った。


「ええっ! それ岩の花よね!」


「そう。あのアジトは洞窟に、たまにあるの」


 ルルは岩の花を受け取ると、ジッと見つめた。


「これ、本物だわ」


 すると、ルルは白いヘビに言った、


「この岩の花、100万プクナで売ってくれない?」


「え、そんなに? あと6個持っているけど」


「じゃあ、700万プクナで全部買うわ」


「「ええっ!」」


 みんなは驚いたが、ルルは合計700万プクナで岩の花を全て買った。



 その頃、おじいさんたちは盗賊のアジトを奥へ進んでいたが、途中でクエストを終えて帰ってきたおばあさんたちに出会った。


「おや!」


「あらあなた、こんなところで。うふふ」


「「こんにちはー!」」


「「こんにちはー!」」


 みんなはお互いに挨拶をすると、おばあさんがおじいさんに言った。


「この先のボスは変わっていますから、気をつけてくださいね」


「あぁ、ありがとう。気をつけるよ」


 するとナミがイリューシュに尋ねた。


「イリューシュさん、ボスを庭におくった。だぃじょうぶ?」


「え、ボスを手懐(てなず)けたんですか!? え、ええ、大丈夫ですよ。庭は広いですし、家も余裕がありますから」


「ぁりがとぅ、イリューシュさん」


 さすがにイリューシュもナミがボスを手懐(てなず)けた事に驚いた。



 おじいさんたちはおばあさんたちと別かれると洞窟をどんどん進んでゆき、ボスの部屋の前までやって来た。


 黒ちゃんは前に出て剣を抜くと、みんなに説明した。


「ここのボスは、みなさんの傷つくような事を言ってきます。それを言わせない事もできるのですがボスの体力が1.5倍になってしまうのです」


 それを聞いた大熊笹は黒ちゃんに言った。


「それは面白そうですな。自分の反省にもなります。ちょっと様子を見てきましょう」


 ガチャ


 大熊笹はそう言うと扉を開けた。


「大熊笹先生!」


 その時、みんなの視界に警告が出たが大熊笹は笑顔で部屋の中へ入っていった。



 大熊笹が中に入ると、部屋の中をウロウロしている女性の盗賊がいた。


 大熊笹は女性の盗賊に近づくと挨拶をした。


「こんにちは」


「あ、はい! あ、ええと……、よく来たわねぇ、この命知らずが! ……あれ、こんな感じでいいのかしら?」


 女性の盗賊がしどろもどろになっていると、大熊笹が尋ねた。


「どうしましたか?」


「す、すみません。前のボスがテイマーに連れてかれちゃって……。新しく私がボスになったんですけど、まだキャラが不安定で……」


「??」


「ええと。ボスは倒されても、同じAIと記憶で無限復活するんですけど、テイマーに連れてかれちゃったんで、自動で新しいAIのボスの私が生まれたんです」


「なるほど。それが、あなたなんですね」


「はい……。急にボスに生まれてテンパってて。悪口言うようにプログラムされてるんですが、あなたは……」


「宜しくおねがいします」


 大熊笹は頭を下げると、女性の盗賊はさらにテンパって言った。


「えっと、あれ? とくに何も悪いことをしてなさそうですね……。どうしよう」


「本当ですか」


 すると、部屋の外から(のぞ)いていたおじいさんたちが部屋の中に入ってきた。


 そして黒ちゃんは心配そうな表情を浮かべて大熊笹の横へやってきた。


「大熊笹先生、様子がおかしいので来てしまいまいした。どうしましたか」


「このボスさん、新人さんのようで困っているんです」


「ええっ、ボスの新人!? ……ですか?」


 女性の盗賊は黒ちゃんを見ると、手を腰に当てて黒ちゃんに言った。


「あら、あなた。期間限定の『プレミアム・ドラゴン大福、濃厚リッチ』は1人3箱までですよ」


「えっ! なっ!」


「見た目を変えてもう一度行っても、店員のAIは(だま)せませんから」


「は、はい。申し訳ない……」


「ええっと、前のボスこんな感じだったのかしら??」


「はい、そんな感じでした……」


 黒ちゃんは恥ずかしそうに答えると、女性の盗賊はヘビに変身しながら言った。


「じゃあ、ちょっと変身してみますねー」


 グゴゴゴゴゴゴ


 女性の盗賊はヘビになってキョロキョロすると黒ちゃんに尋ねた。


「前のボスさん、ヘビに変身した後って、キャラ変わったりしてました?」


「あ、えっと、結構威圧的(けっこう、いあつてき)だったと思います」


「はぁーっはっはっは! 地獄へ落ちるが良い! ……こんな感じかしら」


「たしか、そんな感じですね」


「ふんふん、なるほど。で、HPが10%切ったら誘惑攻撃をするのね。はいはい」


 するとヘビは女性の盗賊の姿に戻って、なんと指輪を黒ちゃんに差し出した。


「助かりました、ありがとうございます。これで何とかボスやっていけそうです!」


「え、ええっ!?」


 黒ちゃんは指輪を受け取ると、女性の盗賊は部屋の奥へ行って、またウロウロすると黒ちゃんに尋ねた。


「あの、前のボスさんって、どんな感じで待ち構えてました?」


「あ、ええと、そのソファに寝そべっていました」


「えっと、こんな感じかしら」


 女性の盗賊はソファに寝そべると黒ちゃんは(うなず)いて答えた。


「はい、そんな感じでした」


「なるほどなるほど。ありがとうございます、本当に助かりました!」


「いえいえ、お役に立てたようで……。では我々は行きますので」


「はーい。じゃあクエスト頑張ってくださいね」


「はい、ありがとうございます」


 こうして、おじいさんたちは指輪を手に入れた。

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