表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
68/116

ひろし、裏技を見つける

 マユはワニの居る所までやってくると、盾を構えながらワニに近づいていった。


 ガァァアアア!


 するとワニは突然マユに飛びかかってきた。


 しかしマユは、思わず呟いた。


「え? (おそ)っ!」


 ブンッ、ガン! 


 マユは体を横に回転させると、盾でワニを叩きつけた。


 ズバッ……、ズバッ!


 そして、その回転力を使って片手剣でワニを斬りつけ、素早くステップすると一直線に剣を斬り上げて連撃(れんげき)した。


 ガァァアアア


 ワニは(たま)らず後ろへ下がるとマユはまた呟いた。


「え、こんな感じなの? 勝てる……かも?」


 ガァァアアア


 すると、ワニは鋭い爪で襲いかかってきた。


「え? やっぱ遅くない?」


 ズバッ ズバッ ドガッ!


 マユは剣で再び連撃を決めると、フィニッシュに盾でワニの顎にアッパーカットを決めた。


 グォォォオアア


 ワニはひっくり返って腹を出すと、慌てて岩壁にある隙間の中へ逃げていき、マガイルーへの道が開けた。


「やった! 勝った!」


 マユは剣を納めて洞窟を抜けると、おばあさんとメイが待っていた。


「あ、マユ!」

「マユさん!」


「メイ、洋子ちゃん!」


 3人は抱き合うと、一緒に喜んだ。


 その後、ナミはララガで、哲夫は豪炎の壺で、和代は召喚した軍神零式で、それぞれワニを討伐し、マガイルーへの道を開いた。



 おばあさんたちが全員マガイルーへ進み終えた頃、おじいさんたちもシャームの港に到着してワニの洞窟の前までやって来た。


 ベンドレは豪炎の壺を手に出現させると、みんなに説明を始めた。


「みなさん。この豪炎の壺は、投げつけた相手を炎で包み込んで継続ダメージを与えるのですが、洞窟にいるワニはそれでも襲いかかってきます」


「「ええっ!?」」


 みんなが驚くとベンドレは話を続けた。


「ですが洞窟を急いで戻れば、ワニは追いかけて来なくなって、元の位置に戻るのです」


 するとアカネが手をあげた。


「はーい、はーい!」


「はい、アカネさん」


「って事は、ワニにその壺を投げて逃げればいいんですかー」


「はい、そのとおりです。5回もやれば倒せます」


「まじで!? めっちゃ簡単じゃん。じゃ、あたし行ってくる! 一番乗りっ!」


 タタタタタタタ


「「いってらっしゃーい!」」


 みんなが見送ると、アカネは手を振りながら洞窟の中へと走っていった。



 アカネは、洞窟を走って進んでゆくと奥の広くなっている所にワニが居るのを確認した。


「おっし、あれだな!」


「グォォオオ!」


 アカネはそのまま走っていくと、アカネに気づいて突進してきたワニに豪炎の壺を投げつけた。


 ガシャッ、ボワァァァアアア


 しかし、ワニは炎に包まれたが燃えながらアカネに向かって突進してきた。


「うわわわ! じゃ、じゃあね!」


 アカネは来た道を走って戻ると、ワニは突然立ち止まり、元の位置へもどっていった。


「あ、ベンドレさんの言ったとおりだ! よし、もう一回!」

 

 アカネは同じことを数回繰り返すと、ワニは炎のダメージでどんどんHPが減り、静かに消滅していった。


「おし! やった!」


 アカネは喜んでマガイルーへと抜けていった。



 アカネの次に洞窟に入ったおじいさんは洞窟の途中で考え込んでいた。


「あのワニがボスでしょうか。でも、ここから投げても石が当たりそうな気が……」


 おじいさんはワニが襲いかかって来ない距離からワニに向かって石を投げてみた。


 シャァアアアアア、ドガン!


「グォ!」


 ワニはダメージを受けたが、その場所から動かなかった。


「おや、これはもしかすると……」


 シャァアアアアア、バチッ!

 シャァアアアアア、バチッ!

 シャァアアアアア、バチッ!

 シャァアアアアア、バチッ!

 ……


「グォォオオ!」


 ワニはHPの残りが少なって岩壁にある隙間の中へ逃げていき、マガイルーへの道が開けた。


「あぁ、勝てたみたいですね。ははは」



 おじいさんが洞窟を抜けてマガイルーへ出ると、先にクリアしたアカネがガッツポーズで迎えてくれた。


 そしてしばらくすると、めぐと大熊笹も洞窟から出てきて、ベンドレとイリューシュと黒ちゃんも洞窟を抜けてきた。


「みなさん、お疲れさまです!」

「みなさん、無事でしたね」

「さすが、みなさん!」


 イリューシュはみんなが無事な事を確認すると、みんなに言った。


「皆さんご無事のようですね。では、ベイリゲンへ行きましょうか」


「「おー!」」


 おじいさんは軽トラのモービルを出現させると、みんなは軽トラに乗り込み、ベイリゲンへ出発した。



 その頃、先に進んでいたおばあさんたちは鍛冶屋の指輪を取り戻しに盗賊のアジトに潜入していた。


 美咲は先頭で案内しながら進むと、あっという間に一番奥のボスの部屋の前までやってきた。


 すると美咲はみんなに言った。


「ここのボスは、このゲームの行動を全部知っていて悪口を言ってくるんだ。けっこう精神的なダメージがあるんだよね」


 それを聞いたマユが美咲に言った。


「精神的なダメージ?」


「うん。あのボス変身するんだけど、変身するまでは悪口で攻撃してくるの」


 すると、それを聞いていた哲夫が美咲に言った。


「美咲ちゃん、生きていれば悪口も言われる。それを事を気にしていたら商売なんかできないよ。変身するまでは、わたしに任せなさい」


 それを聞いた和代は(うなず)きながら言った。


「哲夫さん頑張って! 理不尽なクレームにも頭を下げてお店を大きくしたあなたなら出来るわ!」


「「おぉ!」」


 哲夫は笑顔になると、先頭に立ってボスの部屋に入っていった。


 ガチャ


 部屋に入ると哲夫の視界に警告が表示されたが、哲夫は構わずボスの部屋に入った。


 すると女性の盗賊が寝そべっていて、哲夫に話しかけた。


「あら、あなた。仲間に内緒で新しいお店の物件見てたでしょ。仲間を見捨てて独立するつもり?」


「ご心配おかけして申し訳ございません。みなさんは信頼できる仲間です。ですから先行投資しようとしていたのです」


「あら。そのために凄い金額を課金していたじゃない。奥様は知っているのかしら」


「夫婦とは(ちぎり)を交わせば一蓮托生(いちれんたくしょう)(運命を共にする事)でございます。和代も分かってくれるはずです」


「へぇぇ、なんて都合のいい言葉なの? 男のワガママで女を振り回すつもり?」


「いえ、とんでもございません。和代は私ごときが振り回す事ができる妻ではございません」


「……」


 するとそれを聞いていた和代も(りん)とした表情で部屋に入り、女性の盗賊に言った。


「夫の哲夫さんがお金を使うなら、妻のわたしがお金を使った事と同じ。何が悪いのかしら」


「……、うっ……」


 それを聞いたマユとメイは感動して目を(うる)ませて言った。


「メイ、哲夫さんと和代さん、やばいね」

「うん、まじ泣ける」


 するとナミがララガ親子をつれて女性の盗賊のほうへ歩いていった。


 女性の盗賊はナミを見るとナミに言った。


「……テイマー。あなたテイマーね」


「ぅん」


 女性の盗賊は目を左右に動かしながらナミに言った。


「それに……。嫌がりそうな記録が……、ない……」


「きろく?」


 グゴゴゴゴ……


 女性の盗賊は白いヘビに姿を変えて、ゆっくりとナミに近づいてきた。


 そしてナミの前で体を低くすると、ナミを見上げて静かに話し始めた。


「わたしは……。人に悪口を言うようにプログラムされている。でも……。でも、もう疲れたの。わたしもあの老夫婦みたいに大切にしてもらいたい……」


 その時、白いヘビの記憶が溢れ出し、部屋中にモザイクがかかったプレイヤーたちのやましい映像が数え切れないほど映し出された。


「見て。毎日毎日、こんな記憶ばかり見せられて、もう疲れてしまったわ」


 白いヘビは大粒の涙を流すとナミに話を続けた。


「ここにテイマーが来たのは3人目。でも攻撃しないで話を聞いてくれたのは、あなたが初めて。おねがい、私を手懐(てなず)けてここから出して」


「ぅん、ぃいよ」


 ナミはタクトを手に出現させると、白いヘビの額に当てた。


「ありがとう……。ナミさん」


 シュゥゥゥゥ


 チャリーン


 白いヘビはナミに手懐(てなず)けられてG区画の家の庭に送られると、その場には指輪が残されていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ