ひろし、応援する
みんなは船に乗り込むと、急いで西の海へと向かった。
船の上でナミがララガの親子の間に挟まるように座っていると、アカネが感心するようにナミに言った。
「ナミさん、ほんとララガと仲良しだね」
「ぅん。この子たち、もぅ家族」
「うんうん、そんな感じ。いいなぁ、あたしも動物と仲良くなりたいなぁ」
するとめぐがアカネに言った。
「アカネ、動物の世話って大変なんだよ。ナミさんだってララガたちのご飯のために釣り道具買ったんだよね」
それを聞いたナミはめぐに答えた。
「ぅん。ほとんどプクナなくなった」
「えっ、そうなの?」
あかねが驚くと、今度は黒ちゃんがアカネに説明した。
「ナミさんが持っている竿とリールは現実世界でもハイグレードな最新機種なのだ。こちらの世界でも、かなり高価だぞ」
「まじで!?」
ナミはララガの子供を撫でるとアカネに言った。
「この子たちのために、マグロ釣る」
「ナミさんはすごいなぁ」
アカネはおじいさんにも聞いた。
「じいちゃん、タッちゃんは何食べるの?」
「何でしょうか。魚も食べますし、溶岩ようかんも好きなようです。なんでも食べるのではないでしょうか」
それを聞いたアカネは、おじいさんの懐から顔を出しているタッちゃんを撫でながら言った。
「あたしは、タッちゃんみたいな子猿が良いかな」
「ききっ」
タッちゃんは嬉しそうにアカネの手を触ると、イリューシュがナミに尋ねた。
「ナミさん、ララガの親子に名前はつけないのですか?」
「え? なまえ、つけれるの?」
「ええ。そうしないと『ララガ』と呼んだら親子で現れてしまいますよ」
「そっか。なら、なまえつける。子供はこわがるから」
「ふふふ、そうですね。ナミさん、ララガの額にタクトを当ててください」
「ぅん」
ナミはタクトを出現させると、ララガの親の額に当てた。するとララガのステータスが表示された。
「ナミさん、ステータスにあるPから始まる識別番号に触れてください」
「わかった」
ナミはララガの識別番号に触れると、テイマーモードに入った。
名前:ララガ
強制指令:OFF
HP10%で自動帰還:ON
敵のHP10%で自動追い払い:OFF
同行中に敵が現れたら攻撃:ON
自己犠牲モード:ON
色合い:赤系統
ナミは「自動追い払い」の項目を見つけてONにすると、イリューシュに尋ねた。
「追い払いONにした。敵、しななぃ?」
「ええ、そうですね。あ、追い払ってもステータスポイントはもらえますから安心してくださいね」
「すごぃ」
「ですが、敵がプレイヤーだった場合は消滅するまで戦うはずです」
「ぅん、それはしかたなぃ。プレイヤーは復活するから」
するとナミは下にある「自己犠牲モード」が気になった。
「イリューシュさん、自己犠牲モードってなに?」
「あ、それはナミさんが瀕死の時に、ララガのHP少なくても強制的にナミさんを守るモードです」
「……。それはぃや」
「ですよね」
「ぅん」
ナミは「自己犠牲モード」をOFFにすると、イリューシュがナミに言った。
「ナミさん、名前のところがララガになっていますよね」
「ぅん。なってる」
「そこを触れれば名前を変えられますよ」
「わかった。やってみる」
ナミはララガの名前に触れると、少し考えてからララガの親の名前を「お母さん」変更した。
そして、ララガの子供にもタクトを当てると、自動追い払いと自己犠牲モードの設定を変更してから名前を「ララ助」に変更した。
ナミは名前を変更すると、改めてみんなに紹介した。
「大きいララガは、お母さん。子供のララガは、ララ助にした。よろしく」
「よろしく!」
「ララ助、いいね!」
「あぁ、良い名前ですね」
「はっはっは、ですな」
すると、お母さんとララ助は嬉しそうにナミを舐めた。
ブゥゥゥゥウン
その時、アカネの頭の上に何かがやって来た。
「あっ! なんだこれ」
それを見た黒ちゃんがアカネに言った。
「アカネ! それが、はぐれメタルマシーンだ!」
「まじで!?」
アカネの頭の上には、蜂のような形をした機械が大事そうに金属の塊を持っていた。
アカネは素早くはぐれメタルマシーンを掴もうとしたが、動きが素早くて掴むことができなかった。
アカネは必死にはぐれメタルマシーンを追いかけながら黒ちゃんに言った。
「黒ちゃん、こいつ速すぎる! 捕まえられないよ!」
「そうなのだ。それにすぐ逃げてしまうぞ!」
「あっ、ほんとだ! 逃げた!」
ブゥゥゥゥウン
はぐれメタルマシーンはアカネから離れると、空高く逃げていった。
「うわ、行っちゃった!」
「聖なる雷を司る者たちよ。あの者に裁きの雷を!」
パンッ……、バチチチチ!
するとその時、めぐが雷の小呪文をはぐれメタルマシーンに放った。
ヒューゥゥウウ……、ガシャ
はぐれメタルマシーンはめぐの雷を食らうと、めぐのステータスが0だったためにダメージは無かったが、感電して船の甲板に墜落した。
「やった!」
しかし、すぐに再起動すると、起き上がって再び空へ飛び上がろうとした。
ガブッ!
するとなんと、ララ助がはぐれメタルマシーンに噛み付いた。
「ぐるるる!!」
「ララ助」
「おおっ! 戦いに行った!」
「まぁ、勇敢ですね!」
「ララ助、がんばれ」
お母さんはララ助が戦いに行ったのを見ると、見守るかのようにララ助の近くをゆっくりと往復し始めた。
噛み付かれたはぐれメタルマシーンは必死になってお尻の先にある針を伸ばすと、勢い良くララ助を刺した。
ズブッ!
「がるっ!!」
ララ助は驚いてはぐれメタルマシーンを放したが、即座に体勢を立て直して、咆哮をあげながら体に炎を纏わせた。
「がおぉぉおお!」
ブォォオオオ
「「おおっ!!」」
みんなとお母さんが見守る中、ララ助は体を低くして戦闘態勢を整え、はぐれメタルマシーンに飛びかかった。
「がおっ!」
ボワッ!!
ララ助は炎を纏わせた爪で襲いかかると、はぐれメタルマシーンは急いで逃げようとした。
「あっ! あいつ逃げるよ!」
アカネがそう叫んだ瞬間、
ブワァァァッ
ララ助が口から火の粉を吐いた。
火の粉は、はぐれメタルマシーンを包み込むと、次の瞬間、
バンッ!!
「ピピピ……、ピピッ…」
小さな爆発が起きて、はぐれメタルマシーンはヨロヨロと甲板に落ちた。
「がおぉぉぉおお!」
ララ助が大きく咆哮すると、はぐれメタルマシーンは、フラフラと逃げていった。
「あ! 逃げる!」
アカネがそう言うとめぐがアカネに言った。
「アカネ大丈夫、追い払ったみたい! 一撃当てたわたしにもポイント入った」
「まじか! やったなララ助!!」
「すごいララ助!」
「ぅん。ララ助、がんばった」
「すごかったですね」
「爆発しましたな」
「ララ助くん、すごいですね!」
みんながララ助を褒めると、お母さんがヘトヘトになって伏せているララ助を優しく舐めて癒やした。




