ひろし、うっかり
おじいさんたちがG区画の庭に到着すると、ベンドレとルル、そして海とつむぎが庭から手を振っていた。
「「おかえりなさい!」」
「「ただいまー!」」
おじいさんたちが返事をすると、ベンドレたちはみんなに挨拶をした。
「こんばんは!」
「おじゃましてまーす」
「あ、あの、こ、こんばんは!」
「あ、ひろじいちゃん。あ、ライオンさんたち帰ってきた!」
「あ、つむぎちゃん」
おじいさんがつむぎに近づくと、おじいさんの懐から子猿のタッちゃんが顔を出した。
「ききっ」
「え、子猿さん? かわいい!」
「ははは、レスカカルというところでお友達になって」
タッちゃんは手を伸ばしてつむぎの手を触りながら嬉しそうにした。
「うふふ、かわいい」
つむぎはタッちゃんの頭を撫でると、タッちゃんはジーッとつむぎを見つめた。
ナミはララガたちを連れて庭の中に入るとイリューシュに尋ねた。
「イリューシュさん、この子たち1日にどのくらぃ食べるの?」
「ええと確か、手懐けたモンスターならタクトを額に当てるとステータスが見られて空腹具合が分かるとか……」
「わかった、やってみる」
ナミはタクトを手に持つと親のララガの額にかざした。するとララガ頭の上にステータスが表示された。
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ララガ(P489-230-F)
物理攻撃力 16223
属性攻撃力 93054
物理防御力 11377
魔法防御力 10537
素早さ 13000
知能 1500
満腹度 73%
心拍 Low
忠誠度 100%
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「ぅわ。きゅうまん」
ナミはあまりの属性攻撃力の高さに驚いたが、下のほうに「満腹度」の項目を見つけた。
「ぁ、あった。おなかは、すいてなさそぅ」
すると、ララガのステータスを見たアカネが驚いてめぐに言った。
「ちょ! 属性攻撃力93054だって!」
「ほんとだ! きっと爆発させたときの攻撃力だよね。そりゃ、爆風に当たっただけでもHP減っていくよね」
「爆発の中心にいたら一瞬で時計台送りだよ!」
「うんうん」
イリューシュもステータスを覗き込むとナミに言った。
「あら、ナミさんの言うとおり、お母さんでしたね」
「わかるの?」
「ええ。名前の横のPから始まる識別番号の最後がFならメス、Mならオスなんです」
「ぁ、Fになってる」
それを聞いたアカネがイリューシュに尋ねた。
「イリューシュさん。このララガ、タテガミあるけどメスなんすね」
「そうみたいですね。たしか成獣のララガのオスは、もうひと回り大きくて背中にもタテガミのようなものがあったような……」
「うわぁ、なんだか強そうだなぁ」
アカネとイリューシュが話をしていると、ナミは子供のララガの額にもタクトをかざしてみた。
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ララガ(P489-232-M)
物理攻撃力 212
属性攻撃力 1106
物理防御力 113
魔法防御力 97
素早さ 300
知能 580
満腹度 98%
心拍 Low
忠誠度 100%
ーーーーーーーーー
「ぅん、この子もだいじょうぶ」
ナミは静かに頷くと、めぐが驚いてアカネに言った。
「え、この子も子供だけど属性攻撃力1106だって!」
「ホントだ! こんなに、ちっちゃいのに強いね」
「そうだね。こんなに可愛いのに」
めぐとアカネはしゃがんでララガの子供を優しく撫でた。
その時、イリューシュは周りをキョロキョロと見まわしながら、あごに手を当てて考え込んでいた。
「どうしようかしら……」
それを見たナミはイリューシュに尋ねた。
「イリューシュさん、どぅしたの?」
「ララガの親子と、ひろしさんのタッちゃんの部屋を作りたいのですが……」
「へや?」
「ええ。でも、やっぱり扉をつけようかしら」
イリューシュはそう呟くと、庭を出て外にある家の端末を操作しに行った。
イリューシュは端末の画面で何かを操作すると、
ボワン!
家の庭側の壁に扉が現れた。
「うわ!」
「あ!」
扉のすぐ近くにいたアカネとめぐが驚くと、扉は自動でスライドして開いた。
「あ、自動ドア!」
「ほんとだ」
すると戻ってきたイリューシュが2人に言った。
「ふふふ。これでララガの親子も大広間に入れるわね」
「なるほど!」
「すごい」
それを見ていたナミはララガの親子に手招きをして呼んだ。
「おいで」
「クルルル」
ララガの親子は立ち上がるとナミのほうにやってきた。
そしてナミと一緒に自動ドアを通って大広間に入った。
ララガの親はゆっくりとソファの近くに伏せると、ララガの子供は親の腹の横に寝転んだ。
おじいさんはタッちゃんと一緒に和室へ行くと、タッちゃんは懐から出てきて座布団の上に寝転がった。
そして、座布団の端を口でくわえると座布団で遊び始めた。
「ききっ」
すると、それを見ていたララガの子供も和室にやってきて、タッちゃんと一緒に座布団で遊び始めた。
「クルルル」
「ききっ」
「タッちゃん、お友達ができましたね。ははは」
おじいさんは笑顔でその姿を見ていると、おばあさんからメッセージが来た。
「おや?」
おじいさんはメッセージを開いてみた。
『今日は遅いですね。ご飯、冷めてしまいますよ』
「あ!」
おじいさんは慌てて時計を見ると、もうすぐ夜の8時だった。
「あぁ、もうこんな時間に」
それを聞いたアカネとめぐとナミも驚いて言った。
「あ! もうこんな時間!」
「やば! 課題やらないと!」
「ぁたしも」
それを聞いた海とつむぎも驚いた。
「あ、まずい! 僕たちも課題やらないと」
「うん、そうだね」
するとイリューシュがみんなに言った。
「みなさん、どうぞログアウトしてください。ナミさん、ひろしさん、ララガとタッちゃんは任せてくださいね」
「すみません、イリューシュさん」
「イリューシュさん、ぁりがとぅ」
おじいさんとナミはイリューシュにタッちゃんとララガを任せると、みんなに挨拶をしてログアウトしていった。
おじいさんがログアウトすると子猿のタッちゃんは和室の座布団をめくったり、戸棚を開けたりし始めた。
それを見たイリューシュは呟いた。
「タッちゃん、ひろしさんを探しているのかしら」
イリューシュはタッちゃんと近くにいるララガの子供の頭を撫でながらタッちゃんに言った。
「タッちゃん、ひろしさんには明日会えますよ」
「ぅきっ?」
タッちゃんは首をかしげると、イリューシュはタッちゃんを抱っこして言った。
「今日は、ひろしさんの部屋で寝ましょうね。ふふふ」
「ききっ」
タッちゃんはイリューシュに抱っこされながら嬉しそうにすると、イリューシュはアイテム欄から「こたつ」を選んで出現させた。
ボワン
イリューシュは和室の端にこたつを設置すると、布団をめくって中に座布団を敷き、タッちゃんを下ろした。
「うきき」
タッちゃんは嬉しそうにこたつの中に入ると、ララガの子供もタッちゃんを追いかけて一緒に中へ入っていった。
「クルルルル」
「ふふふ。仲良しになったのね」
イリューシュはタッちゃんとララガの子供がこたつの中でくっついているのを確認すると、静かにこたつの布団をおろした。
「こたつはスイッチを入れないでおいたほうが安全ね」
イリューシュがそう言うと、ララガの親もゆっくりと和室に入ってきて、こたつの横に伏せた。
「ララガお母さん、では帰りますね」
「クルルルル」
「おやすみなさい」
イリューシュはそう言って和室の襖を閉めた。




