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ベンドレ、サポートする

 海がショウの目を真剣に覗き込むと、ショウは海に話し始めた。


「いいか。姉ちゃんは、デートはいつもよりチョット良いお店に連れてってほしいって言ってた」


「チョット良いお店?」


「そうだ。俺たちがいつも行くようなマッグとかじゃ駄目だ」


「じゃあ、やっぱりスターパックスとか?」


「それも良いみたいなんだけど、姉ちゃんは月乃珈琲店のパンケーキが美味いって言ってたぞ」


「な、なるほど、パンケーキは良さそうだね! 僕も好きだよ!」


「それと、プレゼントもチョット良いものじゃないと駄目だ」


「確かに……、何がいいかな」


「やっぱ、つむぎちゃんにはレアな花だろ」


 ショウがそう言うと、海は立ち上がってショウに言った。


「そ、それだ! すごいねショウくん!」


「おう、当たり前さ。おれたち船には乗れるからシャームなら行ける。あそこにはゴールデンシャワーっていう花があるんだ」


「あ、知ってる! 上から()れ下がる黄色い花だよね」


「そうさ。今からシャームに行こうぜ!」


「え、いいの?」


「もちろんさ! 海のデート成功のためだ!」


 ショウが拳を突き出すと、海とタクも拳を突き出した。


「よし、ゴールデンシャワーを手に入れるぞ!」


「「おーー!!」」



 ー シャーム ー


 海たちはボロボロになって、ゴールデンシャワーのある丘から逃げ帰っていた。


「はぁ、はぁ、ヤバかったね!」


「あ、ああ。あんなにシャーム・タイガーが居るなんて……」


「ちょっと、僕たちじゃ(かな)わないね……」


 海たちはゴールデンシャワーのある場所に行く途中、シャーム・タイガーの群れに遭遇(そうぐう)して消滅寸前まで襲われたのだった。


 ショウは海に言った。


「ごめん、海。おれが誘ったのに……」


「ううん。今日はもう遅いし帰ろうよ。2人とも、ぼくのためにごめんね。何か他のプレゼント考えてみるね」


「お、おう。ごめんな、海」

「役に立てなくて……」


「そんな事ないよ。今日は本当にありがとう。嬉しかったよ」


 海がお礼をすると、ショウとタクは残念そうにしながらログアウトしていった。



 海はVRグラスを外すと、スマホでゴールデンシャワーについて調べ始めた。


「他にゴールデンシャワーがある場所はないかな……」


 すると、検索結果にフリマアプリで売られているゴールデンシャワーを見つけた。


「あ、ゴールデンシャワーが売ってる!」


 海はリンクを開くと6000円で売られているゴールデンシャワーを見つけた。


「……。やっぱり高いな……」


 しかし、画面をスクロールすると魅力的な一文を見つけた。


「1000円で、ゴールデンシャワー獲得保証でヘルプします。詳しくはツイッタグラムで」


「え、1000円で?」


 海は慌ててリンク先のツイッタグラムを開くと、ヘルプ希望者はメッセージするように書いてあった。


 それを読んだ海は、急いでメッセージを送った。


『はじめまして。急ぎでゴールデンシャワーのヘルプお願いしたいです。よろしくおねがいします』


「すぐに返信来るかな……」


 海は心配そうにベッドの上で寝転がっていると、なんと、すぐさま返信が来た。


『プロフにある口座に1000円で入れてくれれば、いつでも行きますよ。(ひま)なんで今から行きます?』


 海は喜びのあまりに立ち上がって喜ぶと、すぐにスマホで口座へ入金してメッセージした。


『ウミの名前で1000円で入金しました。今からお願いできますか?』


『購入確認しました。シャームの丘だよね。シャームまで来れます?』


『はい、船なので少し時間かかるかもしれないですけど、すぐ行きます』


『了解。じゃあシャーム・タイガーの群れのいる手前で待ってます』


『ありがとうございます。急いで行きます!』


「やった! これでゴールデンシャワーが手に入る!」


 海は急いでVRがグラスをかけた。



 その頃、つむぎとChocoとミッチは、ルルが購入した土地のエントランスを花で飾り、美しいエントランスを完成させていた。


 ルルとベンドレは買い出しから戻って美しいエントランスを見ると、ルルはその完成度の高さに飛び上がりながら喜んだ。


「さいこー!! つむぎちゃん、Chocoちゃん、ミッチちゃん、あなたたち最高よ!!」


「あ、ありがとうございます」

「へへへ」

「やった」


「夜でこんなにキレイなんだから、昼間はすごいわね! 本当にありがとう!」


 ルルはつむぎたち1人1人と握手をすると、ミッチがルルに言った。


「ルルさん、そろそろわたしたち帰ります。夜遅いので……」


「あ、そうね! ごめんなさい、夜遅くまでやってもらっちゃって」


「いえいえ、とっても楽しかったです! お店のほうも頑張ります」


「お願いね! 今日は遅くまでやってもらったから、残業代も入れて2万円づつ振り込んでおくわね」


「ええ!?」

「そんなに!?」

「うそ!」


「いいの、いいの。これでも安いくらいだわ。明日は、つむぎちゃんのデートの日だから、明後日(あさって)またお願いね」


「「はい!」」


「じゃあ、あたしたちはピンデチのお店のに行くから、また明後日あの家で会いましょう。じゃあ、またね!」


「おやすみなさい」

「また、お願いします」

「さようなら」


 つむぎたちは笑顔で手を振るとログアウトしていった。


「じゃーベンドレ、お店に荷物を置きに行くわよ」


「うむ」


 ルルとベンドレは買い出しに行った荷物をピンデチの店に置きにいった。



 その頃、VRグラスを外したつむぎはスマホのアプリにイリューシュからメッセージが来ていることに気づいた。


「あ、イリューシュさんだ。なんだろう」


 つむぎはアプリを開いてメッセージを読んだ。


「G区画の家には美味しい紅茶やお菓子があるので、良かったら明日の帰りに家に寄っていってくださいね。海さんにも家の権限を付与しますのでプレイヤーIDを教えて頂けますか?」


 それを読んだつむぎは嬉しそうに呟いた。


「ひろじいちゃんのお友達って、みんな良い人ばっかり。仲良くなってよかった。うふふ」


 つむぎはベッドに寝転がるとイリューシュに返信メッセージを書き始めた。



 ー ピンデチ ー


 ルルとベンドレがお店に向かおうと大通りを歩いていると、ルルは泣きながら武器屋に入ろうとする海を見つけた。


「あれ? あの子、つむぎちゃんの……」


 ルルは小さく呟くと走って海のところへ行った。


「こんばんは。あなた、つむぎちゃんの……」


「え、あ、す、すみません」


「なによ、すみませんって」


 海は慌てて涙を拭くとベンドレが海に尋ねた。


「何かあったみたいだな。どうした」


「はい……。おれが馬鹿すぎて、(だま)されて……」


「騙された?」


「はい。ぼく、つむぎちゃんに花をプレゼントしたかったんです。だけど、花を守ってるシャーム・タイガーが強くて……」


「ほう。確かにピンデチのレベルではシャーム・タイガーは簡単ではないな」


「なので、ネットで調べてヘルプを1000円で買ったら……」


「そうか。騙されて、そいつに倒されたんだな」


「はい……。ステータスポイントだけじゃなくて、一生懸命集めた花とかアイテムも騙されて取られて……。う、うう」


「アイテムもだって?」


「はい。ゴールデンシャワーを集めるにはアイテム欄の()きがたくさん必要だって言われて……、アイテムを(あず)かるって言われて……」


 海はまた涙を流すと、今度はルルが言った。


「それで、くやしくて強い武器買ってもう一度挑戦しようと思ったのね」


「はい……」


「でも、あんた倒されたって事は、今ステータス0じゃないの?」


「あ!」


「もぅ。ばかねぇ」


 するとベンドレが間に入って海に言った。


「海……だな。その剣は銅の両手剣か?」


「はい」


「ならば、私がイークラトでモリブデン・ソードを買ってやろう。モリブデン・ソードならば元の攻撃力が0でもシャーム・タイガーと戦うのには十分だ」


「ええ! いいんですか? で、でも防御力が……」


「当たらなければいい。一撃でやられるほうが緊張感があって練習になる。防具も買ってやれるが、練習のためだ」


「そ、それじゃ、死にゲー(すぐ死ぬゲーム)じゃないですか!」


 海が慌てるとルルが前に出て海に言った。


「あなた、タダでチャンスもらってるのよ? やるの? やらないの?」


 海は慌てて涙を拭くと大きな声で返事した。


「や……、やります!!」


「いい返事ね。じゃあ、イークラトにいくわよ」


「は、はい! お願いします!」


 海は深々と頭を下げると、ルルたちとイークラトへ向かった。


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