ベンドレ、ル、ルルル、ルル
ルルは少し緊張しながら、みんなの居るテーブルへやって来くると、みんなに言った。
「昨日は、すみませんでした。許してください」
「いえいえ、私も投げてしまって申し訳ないです」
「事情はそれぞれでしたから」
「まぁまぁ、それよりも一緒にたこ焼きを食べましょう」
「どうぞどうぞ、こちらへ!」
ルルは促されてテーブルに座ると、横に居たChocoとミッチが驚いた顔でルルを見ながら尋ねた。
「あ、あの……。ルルさんって……」
「え! あ、うそ!」
ルルは少し笑うと、座ったままポーズを決めて2人に言った。
「みんなのアイドル~、ルルだよっ!」
「ええ! やっぱり!」
「きゃー!!」
すると、メイも騒ぎを見て驚いた。
「え、うっそ! ルルちゃんじゃん」
すると、そこに居た女性たちは次々と驚いた。
「うそ! ルルちゃんだ!」
「ルルちゃん! 本物?」
「まぁ! テレビで見たことあります」
「ええ、すごい」
「ぇ、だれ?」
「強いの?」
しかし、ナミとアカネだけは知らなかった。
ベンドレはたこ焼きを皿に並べると、勢いよくマヨネーズをかけてルルに渡した。
「熱いから気ぃつけてな!」
「うふふ。ありがとうベンドレ。ベンドレの関西弁、笑う」
そこへ、おじいさんも笑顔でやって来た。
「よかったら、お茶も飲んでくださいね」
「ありがとうございます」
ルルは笑顔でたこ焼きを食べながらみんなとお喋りしていると、楽しい時間はあっという間に過ぎていった。
そして夕方になると、みんなは少しずつログアウトしていった。
ー 夜 バリードレの山 ー
ベンドレとルルはグループチャットでベンドレの元メンバーたちを集めていた。
ベンドレは元メンバーたちの前に出ると話を始めた。
「みんな、ここへ来てくれたという事は、わたしの考えに賛同してくれたという事で良いのだな」
「「はい!」」
すると今度はルルが前に出て話した。
「これからみんなで新しいビジネスをやろうと思ってるの。ゲームやって現実世界のお金が手に入るんだけど、誰か一緒にやらない?」
「そ、それなら!」
「おれも!」
「ぼくもやりたい!」
「お、おれだって!」
そこにいた元メンバーたちが一斉に手を上げると、ルルは笑顔で説明を続けた。
「あたしね、これからお花屋さんやりたいの。それで、みんなにも儲けさせたいの」
「「ざわざわざわざわ……」」
元メンバーたちが驚いた様子でどよめくとルルは話しを続けた。
「さっきね、新しくお友達になった人たちがレアな花とか虫を持っていて、フリマアプリで調べたら超高額だったの」
「「花と虫!?」」
そこにいる全員が動揺すると、1人の騎士が前に出てルルに言った。
「ルル様! 手に入れるのが超高難易度のラフレシアとか胡蝶蘭ですか?」
「え、知ってるの!? さすがね! あたしもネットで調べたら1万円くらいで落札されてるのよ」
「え、い、いや。へへへ」
「お、おれも虫だったら知ってます! マガイルーの山の上に七色オオカブトがいます!」
「おれ、孤島にある彼岸花の場所知ってる!」
「そんなのおれだって知ってるよ! 西の孤島だろ」
「場所だけ知ってたって、お前タコ倒せるのかよ!」
元メンバーたちが言い合いになると、ルルは慌てて割って入った。
「ちょっとまって! みんな、凄いわ。あたしツイッタグラムを調べたんだけど、最近このゲーム、花や虫を集めてる人が増えたみたいなの。これはチャンスよ」
「「おおー」」
「特にラフレシアと胡蝶蘭は咲いてるエリアは、ボスのホワイトドラゴンと1対1で戦って勝たないと手に入らないけど……。勝てる人って、いるかしら」
すると数人のプレイヤーが前に出た。
「ふっ。ステータスが戻れば問題ない」
「おれは防衛隊長でした。ホワイトドラゴンくらい何でも無いです」
「なんだ、ホワイトドラゴン1体でいいのか。笑うわ」
ハイレベルプレイヤーたちの声を聞いたルルは元メンバーたちを見渡しながら言った。
「さすがね。花や虫を集めたらフリマアプリとかオークションアプリを通してピンデチの近くで展示して、現実世界で売るのよ」
「なるほど!」
「そういう事か!」
「それで金が入るなら」
「おれ、すぐやりたい」
「あたしね、試しにバリードレに生えてる普通の黒バラを出品したの。そしたら500円で落札よ」
「「ええ!?」」
「普通の黒バラよ。ほら、そこにも生えてるじゃない。なんか交配に使うんだって」
「それ、もらった」
「ずるいぞ!」
「これが500円だって!?」
「ねぇ、あなたならホワイトドラゴン何分で倒せる?」
「ふっ。調子が良ければ20分以内には」
「じゃあ、時給で計算したら3万円ね」
「「おお!!!」」
すると1人のプレイヤーがルルに尋ねた。
「あ、あの。儲けたら確定申告しなきゃだめですよね……。税金とか分からないんですけど……」
「安心して、わたし会社やってるの。ちゃんと源泉徴収して仮想通貨で振り込むわ。手数料は貰うけどねっ」
「ま、まじっすか!」
「うふふ。じゃあ、もう一度聞くわね。あたしと一緒にビジネスやる人ー?」
「はい!」
「お願いします!」
「おれも!」
「ルル様、ついていきます!」
こうして、ほぼ全員がルルの計画に参加した。
「じゃあ、みんなのステータスが回復するまで3日間お休みね。その間に花の情報を調べておいて!」
「「「はい!!」」」
「じゃあ、3日後にここで。じゃね!」
ルルはそう言うと、ベンドレと一緒にピンデチへ転移していった。
ー ピンデチ ー
ベンドレとルルはピンデチに転移してくると、データセンターに行ってピンデチの土地を探した。
「ルル。では、できるだけ広いほうがいいんだな」
「そうねー、花と虫を売りたいからさぁ……。さっきお花畑でたこ焼き食べてたときに、ああやって花や虫を展示できたら素敵だなーって思って」
「そうだな。即売もできそうだしな」
「そうなのよ。どうせやるからには、みんなを儲けさせたいし」
「なるほどな」
「それに早く立ち上げて、最初に適正価格を作っておきたいのよね。変に転売とかで価格が上がると、運営にも目をつけられそうじゃん?」
「お、おお、そうだな。ルル、お前は経営のセンスがありそうだな……」
「そりゃそうだよ。一応あたし会社を経営してるし。一人だけど」
「ああ、そうだった。そのうち会社が大きくなったら雇ってくれないか。ははは」
「え、いいよ」
「え!」
「ってかー、ベンドレにも手伝ってもらうつもりなんだけど、花集めと虫集め」
「え、お、おお。喜んで」
「あ、このH区画の土地いいじゃん。この4面全部買えばけっこう広いよね」
「確かに、それは良さそうだな」
「じゃあベンドレ、あたしを泣かせたお詫びに買ってねー」
「ああ、もちろんだ!」
ベンドレが確定ボタンを押そうとすると、ルルが慌てて言った。
「ちょ、冗談冗談! 1億2000万プクナだし! あたしが買うから!」
ポチ
しかしベンドレは「購入ボタン」を押して笑顔で言った。
「購入完了だ。安心しろルル、後で土地の端末でお前に所有権を移すから」
「もうっ、止めたのに! でもいいわ、どうせ一緒にビジネスするんだし。今日は奢られとくね。ありがと」
チュッ
ルルはベンドレの頬にキスをした。
するとベンドレは顔を真っ赤にして硬直すると、ぎこちない表情でルルに言った。
「ル、ルルル、ルル!」
「な、なによ、壊れちゃったの?」
「い、いやや、では、さっそく土地へいこうではないか!」
「そーね」
ベンドレはクルリと後ろを向くと、少しカクカクした歩き方で購入した土地へと向かった。




