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黒猫、誘惑に負ける

 ー G区画の家の庭 ー


 ブゥー……ン


 ベンドレたちは素材の「タコの足」を大量に集めてG区画の家の近くに転移してきた。


 そして花畑に急ぐとみんなが迎えてくれた。


「「おかえりなさい!」」


 するとアカネが黒ちゃんを見て笑いながら言った。


「黒ちゃん、()っ黒! ()っ黒ちゃんじゃん」


「「ははははは」」


「うむ……。なぜか6回もタコの墨を食らってしまってな……」


「ええ!? 他の2人は全然食らって無さそうだけど」


「そうなんだ。なぜかわたしばかり狙われて……」


 するとメイが出てきて黒ちゃんに言った。


「あ、もしかしたら、わたしの魔法でキレイになるかも。やってみて良いですか?」


「ほ、本当か? ぜひお願いしたい!」


「じゃ、やってみますね。はい!」


 メイはデバフ解除の魔法陣を出現させると、一瞬で黒ちゃんの墨が消えた。


「「おおーー!!」」


「おお! 助かりました」


「良かった! やっと僧侶らしいこと出来たかも。ははは」


「いやぁ、素晴らしいデバフ解除でした。実は、わたしも昔は僧侶をやっていたのですが、この通り騎士になりまし……ぐふっ!」


 横にいたアカネが黒ちゃんの脇腹に「アカネ小パンチ」を食らわせると、口を(とが)らせながら言った。


「もう! みんなタコ焼き待ってるでしょ!」


「お、おお、す、すまん……」


「「ははははは」」


 みんなが笑うと、エプロン姿のベンドレはすでにたこ焼き器を温めて油を引き、たこ焼きの具材を混ぜていた。


 そして、たこ焼き器の火加減を確かめると、ベンドレは嬉しそうに具材をたこ焼き器に流し込んでみんなに言った。


「他にも入れたい具材はあるんですが、今日はこれで行かせていただきます!」


「「はーい!」」


 ベンドレは紅生姜(べにしょうが)とネギをばら()いて少し待つと、リズミカルにタコを投入していった。


「「おー!」」


 ベンドレは再びしばらく生地を見つめながら待つと、竹串で縦横(たてよこ)に切れ目を入れ、竹串から千枚通しに持ち替えた。


 そして生地の様子を見ながらタイミングを見計らうと、クルリと千枚通しを回し、一気に端からたこ焼きをひっくり返していった。


 クルッ、クルッ、クルッ、クルッ、クルッ……


「「わぁぁー!!」」


「わぁ、もうたこ焼き!」

「すごい」

「こういうの動画で見たことある」

「おいしそう!」

「ぅん」


 するとベンドレは思わず大阪モードになると、たこ焼きをクルクルと回しながら笑顔で言った。


「もう少し待っといてなぁ、焼き色が付いたら完成やで!」


「「はーい!」」


「きゅうきゅう」


 するとナミの頭の上のアルマジロが嬉しそうに鳴いた。


「アルマジロも食べたぃみたぃ」


 ナミは頭の上のアルマジロを撫でると、その様子を見ていたドラちゃんがおばあさんに尋ねた。


「洋子様、猫さんも呼んで来ても良いでしょうか」


「あらドラちゃん、さすがね! 呼んできてもらえると助かるわ!」


「はい! では行って参ります!」


 ドラちゃんは花畑の外へ走り出すと、家のある高台からジャンプしてドラゴンに姿を変えた。


 バサッ バサッ


 そして大きく旋回するとシャームへ向かっていった。


 すると、今度は哲夫が花畑に歩いてやって来た。


 それを見た和代は哲夫に少し不機嫌そうに哲夫に言った。


「もう、遅いですよ哲夫さん! 場所がわからないのかと思って、ずっとメッセージしてたんですよ!」


「あ、ああ、申し訳ない。昨日、はしゃぎすぎてしまったな……」


 イリューシュは哲夫を見つけると、家に入る権限を付与して哲夫に言った。


「昨日はお疲れさまでした。こちらへどうぞ」


「あぁ、すみません。お邪魔します」


 哲夫は頭を下げながらみんなの所へやってくると、和代が洋子を紹介した。


「哲夫さん、こちら洋子さん。実は私たちと同世代だったの」


「え? ……ええ!? こちらの方が? ええっ!?」


 戸惑っている哲夫にスマイル道具店のメンバーが笑うと、おばあさんは哲夫に挨拶をした。


「洋子です。改めましてよろしくお願いします」


「は、はい! 宜しくお願い致します! いやぁ、驚きましたけど、相変わらず素敵な笑顔で安心しました」


 すると和代が哲夫におばあさんの事を説明した。


「哲夫さん、洋子さんはひろしさんの奥さんなんですって」


「おお、そうでしたか! 素敵なご夫婦ですな!」


 それを聞いたおじいさんとおばあさんが笑顔になると、メイが思わず声を漏らした。


「なんかイイな。あたしも洋子ちゃんとか、和代さんとか、あんな夫婦になりたいな」


 するとマユとナミも(うなず)きながら言った。


「いいよね。わたしもそう思うよ」

「ぅん」


 おばあさんと和代は少し照れて下を向くと、ベンドレがみんなに手を振りながら言った。


「さぁ、たこ焼きが出来たで!!」


 ベンドレはそう言いながら皿に次々とたこ焼きを並べていくと、みんな嬉しそうにテーブルに集まってきた。


 ベンドレは皿のたこ焼きにハケでソースを塗って鰹節(かつおぶし)をふりかけ、みんなに尋ねた。


「みなさん、マヨネーズはお好きですか?」


「「はーい!」」


「ほんなら、マヨビームやでぇ!」


 ヒュヒュヒュヒュヒュ……!


 ベンドレはマヨネーズを高く持つと素早く手首を揺らしながら、綺麗にマヨネーズをたこ焼きにかけていった。


「「おおーーー!!」」


「出来たでぇ! 召し上がりください!」


「「わー!」」


 みんなは竹串を手に持つと嬉しそうに声を(そろ)えた。


「「いただきまーす!」」


「うまい!」

「おいしー」

「あちあち!」

「まぁ、あつあつで!」

「うまーい!」

「ぉいし」

「やば!」

「あらあら、美味しいわね」

「はっ、はふはふ!」


 ベンドレはその様子を見ると満足そうにみんなに言った。


「まだまだタコはあるから、じゃんじゃん作るで!」


「「わーー!」」


 するとその時、黒猫に乗ったドラちゃんが走って花畑にやってきた。


 それに気づいたおばあさんは黒猫とドラちゃんに駆け寄った。


「あら、おかえりなさい!」


 すると黒猫は伏せておばあさんに言った。


「このような場に呼んでいただけるとは、ありがたき幸せ」


「何言ってるの猫ちゃん。はい、タコ焼き。美味しいわよ」


 おばあさんはそう言って黒猫にたこ焼きを差し出すと、黒猫は恐縮しながらも嬉しそうに答えた。


「申し訳ございません。このような物を洋子殿から頂けるとは……」


 黒猫は少し感動しながらタコ焼きにかじりついた。


 しかしその瞬間、


「おっ! はっ! あふっ! いやしかし、洋子殿がくださった……、あふっ!」


 黒猫は猫舌だった。


 それを見たおばあさんは慌てて言った。


「あら、猫ちゃん! 熱いのが苦手なら、一度出しなさい!」


「あっ、はふっ……、はふっ……」


 しかし黒猫は徐々に落ち着いてきた。


 そして、ゆっくり深呼吸をするとおばあさんに頭を下げて言った。


「洋子殿。大変、美味しゅうございました」


「猫ちゃん、大丈夫?」


「はい。HPが少々減りましたが明日には戻っているかと。それよりも、とても美味しかったです」


「そ、そう……。ごめんなさいね。今度は冷ましてからあげるわね」


 するとそこへナミがやってきた。


「猫ちゃん、これ」


 なんとナミはマタタビを差し出した。


 黒猫はマタタビの誘惑に負けそうになったが、なんとか冷静を保ってナミに言った。


「ナミ殿。お気遣い大変感謝いたします。ですが……、その……、ええと……、にゃぁあ!」


 黒猫はたまらずマタタビに飛びついた。


 黒猫がマタタビにゴロゴロしていると、おばあさんは笑顔になってナミに言った。


「うふふ。いつも冷静な猫ちゃんのこういう姿はなかなか見れないわね」


「ぅん」


 こうしてみんなは花畑と美味しいものを楽しんでいると、ベンドレがエプロンを外しながらみんなに言った。


「タコ焼きもできたので、少し席を外します。またすぐ戻りますので」


 みんなはベンドレを見送ると、ベンドレは庭の外へ出て何処かへ転移していった。

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