ベンドレ、調達しに行く
みんなが花畑に入ると、つむぎがみんなを花畑の真ん中に案内してゴールデンリリーを披露した。
「この花は、ミッチとChocoと一緒に育てたレアな花なんです」
「めっちゃキレイじゃない?」
「え、うそ、すご!」
「すごいわ!」
「本当にきれい」
「まぁまぁ、こんなに綺麗な花があるのね!」
おばあさんたちがゴールデンリリーに見とれていると、ベンドレと黒ちゃんが家の中からテーブルと椅子を持ってきて並べ、イリューシュがドラゴン大福を用意した。
そして、おじいさんが自慢のお茶を入れると、イリューシュがみんなを呼んだ。
「みなさん、お花を見ながらお茶にしませんか」
「はい!」
「やったー!」
「ぅん」
「まぁまぁ」
「ありがとうございます」
「あらあら良いわね」
みんなはテーブルの周りに集まるとドラゴン大福とお茶に手を合わせた。
「「いただきまーす!」」
つむぎは、おじいさんとおばあさんの間に座ると、嬉しそうに足をパタパタさせながらドランゴン大福を頬張った。
「おいしー」
それを見たおじいさんとおばあさんも笑顔になりながらお茶をすすった。
すると、おじいさんは思い出したようにつむぎに尋ねた。
「そういえば、蓮の花は拾ってきたけれど、池を造るんだったね」
「うん。でもね、足りないアイテムがあって。イークラトの町に行かないと手に入らないんだって。だから池つくれないんだ……」
「つむぎちゃん、足りないアイテムはなんだい?」
「ええとね、肥料なんだけどね……、くさい……排泄……物が、必要なの」
「ああ、持ってるよ」
「ええ!? でも10個必要なの」
するとアカネと大熊笹が言った。
「あたしも持ってるよ」
「わたしも持っています」
「ぁたしも」
「「ええ!?」」
なんとナミも持っていたのでマユとメイが驚いた。
「え? てかナミいつ買ったの?」
「イークラトに防具買いにいったとき」
「まじ? な、なんで」
「なんとなく。あとバナナの皮も買った」
「バナナの皮!?」
「ぅん」
するとナミは手の上にバナナの皮を出現させると、横に居たベンドレと黒ちゃんとアカネを見つめた。
『『『……えっ』』』
アカネたちは目を大きく見開いてお互いを見合った。
「え、まさかの、あたしたちの誰かにネタ振り……?」
「ま、まさか、ここでバナナの皮とは」
「な、なんと」
するとベンドレが仏のような笑顔でアカネと黒ちゃんに言った。
「ここは私が。わたしのズッコケ、目に焼き付けてください」
ベンドレはゆっくりと立ち上がって不自然に歩きだすと、ナミはバナナの皮を頭の上のアルマジロにあげながら言った。
「バナナの皮、アルマジロがたべる」
「きゅうきゅう」
ズコッ!!
「「おおーーー!!」」
ベンドレは吉本新喜劇を彷彿そさせる鋭いズッコケを決め、アカネと黒ちゃんは思わず声をあげた。
ベンドレは素早く起き上がると思わずツッコミを入れた。
「投げへんのかいっ!」
それを聞いた黒ちゃんは驚いて、思わずベンドレに言った。
「ベ、ベンドレさん。鋭いズッコケにその方言。関東の方かと思っていたのですが……」
「え、いえ、はい。中学生まで大阪でした。でももう東京が長いので殆ど訛りは忘れているのですが、興奮すると思わず……」
すると、イリューシュがベンドレのところに来て嬉しそうに話しかけた。
「ベンドレさん、わたし前にガチャでたこ焼き器が当たったのですが、もしかして……」
イリューシュはそう言うと、たこ焼き器をテーブルの上に出現させた。
「おお! これは本格的なたこ焼き器! めっちゃ美味いたこ焼きを作ってみせましょう!」
「まぁ!」
「「おおーーー!!」」
イリューシュはさらに薄力粉や昆布茶、だしの素や卵、そしてソースにマヨネーズなど、たこ焼きに必要な材料もテーブルに出現させた。
しかし、それを見たベンドレはイリューシュに言った。
「ですが……、重要なもんが足りませんね……。やはり新鮮な……」
「そうですね。新鮮な、たこ……ですね」
すると黒ちゃんがズイと前に出てイリューシュとベンドレに言った。
「たこ。ですな。行きますか」
「ええ」
「はい」
3人は顔を見合わせて頷くと、黒ちゃんがみんなに言った。
「みなさん、少々お待ち下さい。たこを調達してまいります」
「「おおー!」」
「では」
するとイリューシュとベンドレと黒ちゃんは、庭を出るとどこかへ転移していった。
◆
ブゥーー……ン
イリューシュたちは絶海の孤島へと転移してきた。
黒ちゃんは即座に両手剣に炎を纏わせると、イリューシュに言った。
「1体倒せば、素材は足りそうですな」
「そうですね。30個以上は手に入りますね」
するとベンドレが言った。
「待ってください。30個では1人2個くらいしか食べられません。最低3体はお願いします!」
ベンドレがそう言った瞬間、海から巨大なタコが現れた。
ビターン!!
「ぐっ!!」
タコは触手をムチのように叩きつけてベンドレに食らわせると、ステータスが回復していないベンドレは不意打ちに吹き飛ばされた。
ズザァアアア!
「うぉぉおおおおお!」
ズバッ!
しかしそこへ黒ちゃんがフォローに入って両手剣を斬り上げると、タコの触手は切断され、のた打ち回った。
ベンドレはその隙に立ち上がったが、タコは容赦なく次の触手を叩きつけてきた。
しかしベンドレはそれを見切ると、今度は素早く走り込んで触手を躱し、体全体を回転させながら豪快に斬りつけた。
ズバァッ!!
タコの触手が見事に切断されるとタコは怒って残りの触手を全て海から出して威嚇してきた。
それを見たベンドレはニヤリと笑うと、左手に出現させた細かい水晶の粉を剣にふりかけ、剣に雷を纏わせた。
そしてベンドレは雷を纏わせた剣を大きく振りかぶると、タコに向かって走り出した。
「うぉぉぉおおおお!」
ダッ!!
ズバァァッ!!
ベンドレはタコに飛び込むと渾身の回転斬りを放った。
ヒュッ……、ドドドドドドドドッ!
そこへイリューシュの放ったオロチの矢を放つと、すべてタコに刺さりタコは大きく怯んだ。
そこへ黒ちゃんもタコめがけて猛然と突進していった。
「おぉぉおおおおお!!」
ぺっ
「あっ!!」
ズデーン!
しかしなんと、タコが黒ちゃんに墨を吐き、それを食らった黒ちゃんはその場にスッ転んだ。
「な、なにくそ!」
黒ちゃんは墨で視界が制限されたが、それを気にもせずにタコに走り込んで思い切り斬りつけた。
「でやぁぁあああ!」
ズババッ!
グォォオオオオオ
黒ちゃんの一撃がトドメになり、タコは大きくのけぞりながら静かに消滅していき、切断した触手から特殊素材の「タコの足」が何十個も現れた。
「ふぅ。タコの墨で真っ黒になってしまった。まさに黒ちゃんだな……」
「新喜劇よりもおもろいですね。ははは」
「ふふふふふ」
ベンドレとイリューシュが笑うと、黒ちゃんも笑った。
ザバァ、ザバァ!
すると、海から巨大タコが2体同時に現れた。
それを見たベンドレはニヤリと笑うと静かに呟いた。
「飛んで火にいる夏のタコやな」
ベンドレがタコの1体に向かって走り出すと、黒ちゃんも追いかけるように走っていった。




