ひろし、見つける
新しく現れた黒ずくめの騎士たちは一気に美咲に向かって流れ込むと、そこへ追いついてきた和代が軍神零式を出現させた。
「ウォォオオオオ!」
そして和代は黒ずくめの騎士たちに軍神零式を突撃させた。
ゴォォォオオオオ!
ドガガガガン!
和代の零式は黒ずくめの騎士たちを吹き飛ばすと、残りの騎士たちを美咲が倒していった。
しかし、さらに大勢の黒ずくめの騎士たちがモービルでやってきた。
「プレイヤー狩りだぁ!」
「昨日のうっぷんを晴らすぜぇ!」
「はっはー!」
大勢の黒ずくめの騎士たちは、なだれ込むように美咲とおばあさんを狙って走ってきた。
「洋子さん、数が多い! 全部は倒しきれない! 逃げて!」
「ええ!? 逃げるって言っても!」
すると和代が零式に叫んだ。
「軍神さん! 洋子さんを守って!」
「ウォォオオオオ!」
和代の零式はおばあさんの前に立つと斧を前に出してガードした。
ガン! ガガン! ガコン!
「ウォォオオオオ!」
ドガガガガガガン!
和代の零式はおばあさんを守ると、斧を振り回して敵の騎士たちを吹き飛ばした。
それを見たおばあさんは和代の零式にお礼をした。
「ありがとうございます! 助かったわ!」
「ッガッ!」
零式は小さく頷くと再び戦闘態勢に入った。
そしておばあさんは、すぐに詠唱を唱えて美咲たちをフォローした。
しかしその時、さらに黒ずくめの騎士たちがモービルでやってきた。
「雑魚狩りだぁー!!」
「しねぇ!!」
おばあさんは再び現れた黒ずくめの騎士たちに震える手で杖を構えると、なんと翠がピンデチの村から走ってきた。
「あ、翠さん!」
「みなさん、加勢します!」
「あ、ありがとうございます!」
翠はそう言うと、凄まじい速さで次々と矢を放っていった。
ヒュッヒュッヒュ……、ドドドッ!
ヒュッヒュ……、ドドッ!
さらに、バスを助けたドラちゃんが戻ってきて空中から炎を吐いた。
ブォォオアアアアア!!
「わぁああああ!!」
ドラちゃんの炎は黒ずくめの騎士たちを倒すと、今度はバスを運転していた山口たちが弓で加勢した。
ヒュッヒュ……、ドドッ!
「ぐわぁ!」
「な、なんで……?」
「おれが殺られてどうすんだよ……」
ー 約10分後 ー
翠の協力もあり、しばらくすると黒ずくめの騎士たちは居なくなっていった。
それを見たおばあさんは一息ついて杖を下げると、そこへ美咲がやって来た。
「洋子さん、あいつら昨日倒した奴らかもしれない」
「そうね。でもなんでピンデチなんかに。ステータスも無いはずなのに……」
すると翠がやって来て美咲に尋ねた。
「この方、洋子さん? もしかして……」
「そう、洋子さん」
それを聞いたおばあさんは申し訳無さそうに翠に言った。
「わたし、実は本当は75歳のおばあさんなんです。今まで若い姿で嘘をついていて……」
「そうでしたか。こちらの姿のほうが素敵ですよ洋子さん。これからも宜しくお願いします」
「あ、ありがとうございます。こちらこそ宜しくお願いします」
おばあさんと翠はお互いに笑顔で会釈をした。
すると翠は弓をしまいながら美咲に言った。
「美咲、また何かあったら言ってちょうだい。すぐ転移して駆けつけるわ」
「ありがとう、お姉ちゃん。心強いよ」
「ふふ。じゃあ、わたしは帰るわね」
翠はそう言うと手を振ってバリードレへと転移していった。
タタタタタタタ!
「みんな、大丈夫!?」
するとそこへログインしてきたマユとメイがやってきた。
そしてちょうどG区画の海に戻っていたナミも、ボイスチャットを聞いて、おじいさんとG区画の家のメンバー全員を連れてやってきた。
おじいさんは、そこに居たおばあさんを見つけると思わず大きな声で言った。
「あ! おばあさん!」
「うふふ、見つかっちゃったわね」
「あ、洋子おばあちゃん!」
おじいさんと一緒にやってきた孫のつむぎも、おばあさんを見つけて喜んだ。
「あら、つむぎちゃん!」
つむぎが走っていっておばあさんに抱きつくと、和代がマユとメイとナミに説明した。
「実はあの方、洋子さんなんです。うふふ」
「あ、そうなんですね。でもなぜか違和感が無いかも」
「まじか! どうりで一緒に居るとメッチャ安心するわけだ」
「ぅん。そんな気がしてた」
おじいさんはおばあさんに笑顔で話しかけた。
「いやぁ、やっと会えたなぁ。ははは」
「本当ね。うふふ」
すると助けにやってきたイリューシュたちG区画のメンバーは、次々とおばあさんに挨拶をした。
「こんにちはイリューシュと申します。ひろしさんの奥様ですね。よろしくお願い致します」
「あたしアカネ! おねがいします!」
「わたしは、めぐです。はじめまして」
「わたしは黒ちゃんと呼ばれています。よろしくお願い致します」
「昨日は大変失礼いたしました。ベンドレです」
「あ、つむぎちゃんの友達のミッチです」
「はじめまして、Chocoです」
「大熊笹です。同世代の仲間が増えるのは嬉しいですな!」
最後に大熊笹が挨拶をすると、おばあさんは深々と頭を下げて挨拶を返した。
「ひろしの妻の洋子です。夫がお世話になっております」
おじいさんも横に並んで頭を下げると、つむぎも一緒に頭を下げた。
それを見たイリューシュたちも頭を下げると、イリューシュがおばあさんをG区画の家に誘った。
「洋子さん。よろしければ、私たちの家へ来ませんか? お孫さんが作ってくれたお花畑があるんですよ」
「まぁ! そうなの、つむぎちゃん?」
「うん、ミッチとChocoと一緒に作ったの」
「あら、それは是非見させていただきたいわ!」
するとイリューシュはスマイル道具店のみんなも誘った。
「よかったら、みなさんもいかがですか?」
ナミも笑顔を浮かべてスマイル道具店のみんなに言った。
「ぉ花畑、すごくきれいだよ。ぃこう」
こうして、そこに居た全員は楽しくお喋りしながらG区画の家へと向かった。
◆
その頃現実世界では、ルルがライブ配信をしていた。
ルルは現実世界ではネットを中心に活動をしているアイドルだった。
「みんな、オンラインライブを見てくれてありがとー! 今日も応援、よろしくねー!」
すると、たくさんのオンライン投げ銭が投げられた。
「じゃー今日もー、みんなのアイドル、ルルの歌を聞いてね! いくよー!」
ルルはポーズを決めて歌い始めると、歌いながらふと思った。
(……そういえば、ゲームのバンドフェスティバルって審査通ってたけど、いつやるんだろ)
なんと、ルルはおじいさんのバンドの対バン(一緒に出る出演バンド)だった。
◆
G区画の家に到着したおばあさんたちは家の大きさに驚き、マユとメイは目を丸くして声を上げた。
「すごい大きいよ!」
「やば! え、なに? 貴族?」
「「はははは」」
みんなが笑っているとイリューシュが手招きをしてみんなを呼んだ。
「みなさん、お花畑はこちらです!」
つむぎもおばあさんの手を引っ張って家の庭へ連れて行くと、おばあさんの目の前には色とりどりの花が植えられた花畑が広がっていた。
「まあ! とっても綺麗ね、つむぎちゃん!」
「わ! すごい綺麗!」
「やば! すご!」
「きれい」
「まぁまぁ、すごいわね!」
「さすがは洋子様のお孫様です!」
イリューシュはスマイル道具店のみんなに権限を付与すると、庭へと案内した。
「みなさんに家に入る権限を差し上げましたので、よかったら中へどうぞ」
それを聞いたマユたちはイリューシュに連れられて花畑の庭へ入っていった。




