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ナミ、くれる

 イリューシュはみんなと一緒につむぎたちを家の横にある空き地へと案内した。


「この空き地は全部この家の区画なので、自由に使ってくださいね」


 つむぎたちは広い土地に驚いた。


「ありがとうございます! ほんとうに良いんですか?」

「すごい広い!」

「ほんとに、ひろいね!」


 イリューシュは嬉しそうにしている3人に、家の裏口を指差しながら言った。


「もし良かったら、あの扉の中の部屋も使ってくださいね。この空き地にも出入りできますし」


「そ、そんな……、それは申し訳ないです」

「こんなに広い土地を使わせてもらうだけでも……」

「だ、だいじょうぶです」


「あの部屋は誰も使っていないんですよ。使ってもらえると嬉しいんです」


 3人が恐縮しながら驚いていると、イリューシュが3人を笑顔で扉の前へ連れて行った。


 そして扉を開けると、3人を部屋の中へ案内した。


「さぁ、中へどうぞ」


「「わぁ」」


 部屋は窓からたくさん日が差し込む明るい部屋で、3人が座るには十分なテーブルと椅子があった。


「ぜひ、この部屋を使ってくださいね。いつでも出入りして頂いて大丈夫ですので」


 3人は顔を見合わせて小さい声で相談すると、笑顔でイリューシュにお礼をした。


「「ありがとうございます!」」


「ふふふ」


 イリューシュは部屋の奥へ行き、大広間へと続く奥の扉を開けながら3人に言った。


「この奥の扉を開けると大広間で、すぐ左手がひろしさんの和室です」


 するとなんと、大広間に大熊笹とめぐがいた。


「あれ!?」


 イリューシュとつむぎたちを追って庭から部屋に入ってきたアカネは2人に気づくと、大広間に入っていって大熊笹とめぐに話しかけた。


「熊じぃ、今来たの? めぐ課題は?」


「朝、急に社長さんから打ち合わせがしたいと連絡が来ましてな」


「課題やろうとしたんだけど、なんかヤル気出なくて。遊び来ちゃった。はは」


「「はははは」」


 みんなが笑うと、イリューシュは3人に大熊笹とめぐを紹介した。


「みなさん紹介しますね。こちらは大熊笹さんと、めぐさんです」


「ミッチです」

「Chocoです」

「つむぎです」


「これはこれは。大熊笹です」

「めぐです、よろしくね」


「大熊笹さん、めぐさん、こちらのつむぎさんは、ひろしさんのお孫さんなんです」


「あぁ、そうですか! 一緒にゲームできるなんて(うらや)ましいですなぁ」


「あ、さっきメッセージしてたお孫さん!」


 すると大熊笹はベンドレにも気づいて、ベンドレに話しかけた。


「ベンドレさん、今日からは仲間ですな。よろしくおねがいします」


 ベンドレは深く頭を下げて答えた。


「大熊笹さん、よろしくお願いします。めぐさんも、よろしくお願いします」


 めぐはベンドレを見て、少しだけ緊張しながら頭を下げた。


 みんなが大広間に入ると、イリューシュがつむぎたちに言った。


「みなさん、きっと早くお花を植えたいですよね。わたしたちは大広間に居ますので、何かあったら言ってくださいね」


 するとアカネもつむぎたちに言った。


「あたしたち、だいたい大広間にいるから、いつでも遊び来てよね」


「はい!」

「ありがとうございます!」

「ありがとうございます」


 つむぎたちは深々と頭を下げてお礼をするとイリューシュからもらった部屋へと戻っていった。


 そして扉を閉め、3人だけになったつむぎたちは飛び跳ねながら大喜びした。


「やったー! すごいね!」

「うん! すごいすごい」

「わたしたちの部屋だね!」


 3人は空き地が見える窓へ走っていくと、3人並んで空き地を眺めた。


「ここを花で埋めつくしたいね」

「うん。きれいだよね、きっと」

「ねえ、持ってきたお花、どう並べようか」


 3人は嬉しそうにお喋りしながら花畑の計画を考えた。



 その頃、2階ではアカネと黒ちゃんと大熊笹が稽古を始め、大広間ではイリューシュがめぐの英語の課題を見ていた。


「theは世界で1つの物とか、大抵の人が当たり前に知っている物につきます。aは同じものが沢山ある物に使いますね」


「なるほど。じゃあa table、a doorで、the sun、the moonですね」


「そうです。ただ、一度aのついた物も、2回目に話題にするときはtheになる事もあるんです、詳しく説明すると……」



 その頃、おじいさんは和室でベンドレにお茶をいれていた。


 ベンドレはお茶をいれるおじいさんに、おもむろに話しかけた。


「ひろしさん。今、私は不思議なくらい心が落ち着いています。なぜ昨日まで、あんなに気が立っていたのか今となっては分かりません」


「ベンドレさん。それはきっと、あなたを受け入れてくれる仲間ができたからですよ」


「……確かに、そうかも知れません。これも、ひろしさんのお陰です」


「いえいえ、ベンドレさんにフレンド申請を受ける勇気がなければ、何も変わらなかったはずです。……はい、どうぞ」


「あ、ありがとうございます」


 おじいさんはベンドレにお茶を差し出すと、一緒にゆっくりとお茶をすすった。


 ズズッ


「ひろしさん、このお茶、かぶせ茶ですか?」


「おぉ、ベンドレさん、良くお分かりで!」


「はい、私は関西の出身でして。この美しい色合いと少ない渋みが良いですね。それに急須のセンスも素晴らしい」


「あぁ、分かっていただけますか。ははは」


 おじいさんは嬉しそうに笑うと、ベンドレも笑顔になった。


 するとその時、つむぎが和室にやってきた。


「ひろじいちゃん、一緒に外に来て!」


「あぁ、つむぎちゃん、花畑が出来たんだね。いま行くよ」


 おじいさんはベンドレと一緒につむぎたちの部屋へ行くと、窓から美しい花畑が見えた。


「ああ、すごくきれいだなぁ」

「本当ですね。心が癒やされます……」


 おじいさんとベンドレはつむぎたちと一緒に花畑へ出ると、イリューシュとめぐも花畑にやってきた。


「すごい!」

「きれいですね」


 すると、2階の窓からアカネと黒ちゃん、そして大熊笹も顔を出して、上から花畑を眺めた。


「上から見ても、めっちゃきれいだよ!」

「本当に癒されるな」

「いやぁ、とっても綺麗ですな!」


 つむぎたちはみんなの声を聞くと、恥ずかしそうに笑った。



 おじいさんたちが花畑で癒やされていると、おばあさんのお友達のナミがやってきた。


 そして花畑にいるイリューシュを見つけると、手を挙げてイリューシュに声をかけた。


「イリューシュさん、弓習ぃにきた」


「あら、ナミさん!」


 イリューシュはナミに家の権限を付与すると、ナミは花畑を見て目を丸くした。


「すごぃ。花きれぃ」


 ナミは花畑の近くに行くと、おじいさんたちと、初めて会うつむぎたちに頭をさげた。


「こんにちゎ。わたしナミ」


「こんにちは、つむぎです」

「こんにちは、ミッチです」

「Chocoです、こんにちは」


「こんにちは。ベンドレです……」


「こんにちは」

「こんにちはナミさん」


 ナミは最後におじいさんと挨拶を交わすと、ナミはアイテム欄からレアな蝶々のオオムラサキを選択して花畑に放した。


 それを見たつむぎたちは驚いて声をあげた。


「あ、オオムラサキ!」

「ほんとだ! ネットに書いたあったやつ」

「すごい! レアな蝶々だよ」


 ナミは少し嬉しそうにして、つむぎたちに言った。


「イークラトに行ったときに捕まえた」


「すごい!」

「ナミさんすごい」

「いつか捕まえたいね」


 ナミは笑顔になるとオオムラサキを指さして、つむぎたちに言った。


「オオムラサキ、ぁげる」


「え! うそ、やった!」

「ありがとうございます」

「すごい、きれい!」


「キュウキュウ」


 するとナミの頭の上のアルマジロも嬉しそうにした。


 つむぎは()(ぐる)みだと思っていたアルマジロが動いた事に驚いた。


「ナミさん、それ生きているアルマジロなんですね」


「ぅん。いつも守ってくれる」


「えぇ、いいな。かわいい」


「うさぎも、ぃるよ」


 ナミはウエストバッグのチャックを開けて眠っているウサギをつむぎたちに見せた。


「あ、うさぎ」

「寝てる」

「かわいい」


「ウサちゃんも、たすけてくれる」


 するとミッチがナミに尋ねた。


「ナミさん、動物はどうやって捕まえるんですか?」


「つかまえてないょ。ぉともだち」


「え、えぇ……?」


 ミッチはナミの言っていることが良く分からなかったが、今度動物を見たら捕まえようとしないでお友達になってみようと思った。


 するとイリューシュが、ナミに少し弓の練習を待ってもらうように言った。


「ナミさん、少し待ってくださいね。めぐさんの英語の課題が終わったら一緒に練習に行きましょう」


「ぅん、わかった。花みてる」


 それを聞いためぐは申し訳なさそうにナミに言った。


「ナミさん、ごめんね」


「ぅぅん。急に来て、ごめんなさい」


「本当はわたしが早く起きて課題終わらせてれば良かったんだけど……。ちょっと待っててね」


「ぅん」


 イリューシュとめぐは大広間へ戻っていった。


 するとナミはアイテム欄を操作して手に黒バラの(たば)を出現させ、つむぎに言った。


「これ交配につかえる?」


「あ! 黒バラ! ねぇ、みんな! 黒バラだよ!」


 それを聞いたミッチとChocoが驚いて見に来た。


「あ、ほんとだ!」

「え、すごい!」


「バリードレにあった。ぁげる」


 ナミは黒バラをつむぎに手渡した。


「え、え、こんなに貰っていいんですか?」


「ぅん」


「ありがとうございます!」

「すごい!」

「これで、青バラができるね!」


 ナミはつむぎたちが喜ぶ姿を見て笑顔になった。

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