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続・VRおじいちゃん ~ひろしの大冒険~  作者: オイシイオコメ
老兵は消えず、ただ戦うのみ
15/44

アルマジロ、跳ぶ

 ズシャァ……


 タマシリに吹き飛ばされた防衛隊長は倒れたまま笑顔になり、タマシリに言った。


「It was a great fight. I give in. (いい戦いだった。降参だ)」


 タマシリはそれを聞いて防衛隊長に手を差し伸べると、防衛隊長は突然、痺れナイフを投げつけた。


 ヒュッ!


 スカッ


 しかしタマシリは笑顔でナイフを避けると、人差し指を立てながら防衛隊長に言った。


「Silly boy, good night.(おやすみなさい、いたずらっ子ちゃん)」


 ドガッ!


 タマシリのトドメを食らった防衛隊長は静かに消滅していった。


 ◆


 その頃、司令官の山口は黒ちゃんとアカネを護衛に、賢者のツーリに連れられて一番高い北西の山へ向かっていた。


 賢者のツーリは敵本陣に魔法使いが居ないことから、空に展開された4つの属性の魔法陣がどこからの山の上から放たれたと察していた。


 そこで、一番高い北西の山から山口に再び指揮を()ってもらおうと考えたのだった。


 しかし走って移動するツーリたちの背後から、数人の敵兵たちが追いかけてきた。


 それに気づいた黒ちゃんはアカネに尋ねた。


「アカネ、敵はどのくらい追いかけてきている?」


「4人だね。やるか黒ちゃん?」


「おう!」


 黒ちゃんとアカネは立ち止まると、黒ちゃんがツーリに言った。


「ツーリさん、敵は我々が。総司令官を宜しくおねがいします!」


「はい!」


 ツーリは山口を連れて北西の山の山頂へ登っていった。


 その時、追いかけてきた騎士の1人がアカネを指さして言った。


「おい、あの女は投げるぞ! 距離を取って戦える槍が行け!」


「おう!!」


 すると槍の騎士がアカネに向かっていった。


 そして残りの3人の騎士は刀身(とうしん)の短い双剣(そうけん)を両手に装備して、奇妙なステップを踏みながら黒ちゃんに突っ込んでいった。


「ひゃっはー!」

「しねぇ!」

「ひひひ」


 ズバ、ズバッ!

 ズバッ! ズバ、ズバッ!


「くっ!」


 黒ちゃんは長くて重い両手剣が(わざわ)いして素早い双剣の騎士に攻撃が出来なかった。


「両手剣では不利か……」


 しかし、双剣の騎士たちは容赦なく黒ちゃんを斬りつけた。


 ズバ、ズバッ!

 ズバッ! ズバ、ズバッ!


 追い込まれた黒ちゃんは振り払うように剣を振り回すと、双剣の騎士たちは薄ら笑いを浮かべながらバックステップで距離を取った。


 黒ちゃんは剣を構え直すと呟いた。


「やつらの威力は弱いが、手数が多い。どうするか……」


 すると、双剣の騎士の1人が言った。


「そんな長くて遅い剣じゃ、俺たちは倒せないぜ。覚悟しな」


 バッ! バッ! バッ!


 双剣の騎士たち3人は一斉に黒ちゃんに襲い掛かった。


 しかし、その瞬間、


 カラーン……


「ぉぉおおりゃぁ!」


「うわぁ!!」


 なんと黒ちゃんは剣を投げ捨てると、双剣の騎士の右腕と首を無理やり掴み、不格好だが豪快な背負投げを繰り出した。


「でやぁぁぁあああ!!」

「うわあぁ!」


 ドガン!!


 双剣の騎士は受け身を取ることを知らなかったため、頭から地面に叩きつけられて大ダメージを負った。



 アカネと戦っていた槍の騎士は、思わず大きな音がした方を見ると、アカネはそれを見逃さずに素早く飛び込んだ。


「すきありっ!」


 アカネはそう言うと、槍の騎士の横へ出て素早い大外刈(おおそとが)りを決めた。


 ズバン!!


「ぐわっ!」


 そして、アカネは倒れた槍の騎士の顔に最凶(さいきょう)のアイテムを出現させた。


「はい、くさい排泄物」


 べちゃ


「う……、うわぁ! くさい! くさいぞコレ! うわぁああああ!」


 槍の騎士はパニックになりながら逃げていった。



 その横で、黒ちゃんは突っ込んでくる双剣の騎士たちを無理やり掴んで投げて捨てていた。


「ぉぉおおりゃあ!」


 ドバンッ!


「どぉりゃあああ!」


 ズバンッ!


「お、おい! こいつも投げるなんて聞いてないぞ!」


 双剣の騎士が(あせ)って距離を取ると、黒ちゃんは両手剣を(ひろ)って火を(まと)わせ、それを地面に突き刺して言った。


「次は投げた後にトドメを刺す。かかってこい」


 すると、双剣の騎士たちは3人集まって何かを話し始めた。


 そして、その1人がニヤニヤしながら黒ちゃんに言った。


「おい、俺たちの速さをナメるなよ」


 すると3人の騎士は双剣をしまって不気味な笑みを浮かべた。


「さぁて、俺たちの3人の速さについてこれるかなぁ」


 黒ちゃんは警戒しながら両手を前に出して構えると、騎士の1人が叫んだ。


「逃げろっ!!」


 ダダダダダダダダダ!!


 双剣の騎士たちは物凄い速さで一目散(いちもくさん)に逃げ出した。


「えっ、おい! 速さって、そっちの意味で!?」


 黒ちゃんが呆気(あっけ)にとられていると、3人の騎士たちは一瞬にして居なくなった。



 その頃、司令官の山口とツーリは北西の山の山頂から双眼鏡で辺りを見回していた。


 すると、ツーリが西南西の山の上に魔法使いが居ることに気づいて山口に報告した。


「山口さん、西南西の山を見てください」


「あ! あれは、敵の魔法使い!」


「あの4人が山の上から攻撃しているようです」


 山口が状況を観察すると、マユ隊が固まって西南西の山の近くで戦っているのが見えた。


「あれは南西通路のマユ隊……」


 山口はボイスチャットで指示した。


「総司令官、山口です! 南西通路、マユ隊長!」


「は、はい!」


「マユ隊は今から動けますか?」


「え、あ、はい!」


「今から後にある平らな山を登ってください! その上から魔法使いが4人、我が軍に攻撃しています。撃退を!」


「わかりました!」


「西通路、マサ隊長!」


「すみません、隊長は倒されました! わたしが副隊長です! 現在、敵本陣の西側で交戦中!」


「副隊長! 今からマユ隊が西南西の山を登ります。敵が追いかけていかないよう、援護をお願いします!」


「はい!」


「東通路、翠隊長! 北通路、サクラ隊長!」


「翠隊長はベンドレと交戦中! わたしが副隊長です!」


「北通路は隊長、副隊長共に倒されました。弓部隊のわたしが指揮を()っています!」


「副隊長、弓部隊の指揮官! マユ隊が抜けて手薄になった西へ向かってください!」


「「はい!」」


「みなさん! 敵兵と我が兵の数は互角です! このまま押し込みますぞ!」


「「おおーー!!!」」



 その頃、ひとり離れて戦ったいたナミは、ボイスチャットでその事を聞くとマユ隊に合流しようと1人で敵本陣の中を横切っていた。


 ナミなるべく味方の流れに(まぎ)れて移動をしていたが、どうしても西南西の山に登るには敵の騎士の中を突っ切る必要があった。


 ナミは味方と一緒に走りながら様子を伺っていると、敵の騎士が居ない場所を見つけた。


「ぁ、ぁそこ」


 ナミは味方から離れて西南西の山へ向かって走り出した。


 タッタッタッタッタ


 しかしその時、敵の中から声が上がった。


「おい、弓使いが突っ込んできたぞ! (つぶ)せ!!」


「ぅ、ぅわぁ」


 ナミはその声を聞いて慌てると、


「おらぁ!」

 ドガッ!!


「ぅ!」


 ズザァァアアア


 横から突っ込んできた斧の騎士がナミを吹き飛ばした。


 ナミは急いで立ち上がると、また西南西の山へ向かって走り出した。


「逃がすかっ!!」


「ぁ!」


 ナミは迫りくる斧の騎士から逃れるように走ったが、すぐに追いつかれてしまった。


 するとなんと、ナミの頭の上のアルマジロが斧の騎士目掛けて跳び出した。


「キュキュキュキュ!」

 ガキン!!


「ぐわっ!」


 まん丸になってとび出したアルマジロは、斧の騎士の顔面に突っ込んだ。


「キュキュキュキュ!!」


 ナミは慌てて立ち止まるとアルマジロは地面に降りて斧の騎士を威嚇していた。


「うるせぇ、邪魔だ!」


 斧の騎士は怒りに任せてアルマジロに斧を振り下ろした。


「ぁ!」


 ガキン!


「キュウゥゥ?」

「ぐわっ! 手首がっ!」


 アルマジロは斧の騎士の攻撃を硬い甲羅(こうら)で跳ね返すと、逆に斧の騎士にダメージを追わせた。


 ナミは斧の騎士が怯んでいる隙に急いでアルマジロを抱きかかえると、ウエストバッグのチャックを開けた。


「ウサちゃん、たすけて!」


 ぽわん!


 ウエストバッグの中に居たうさぎの魔法使いは外へ飛び出すと、小柄な女性の魔法使いに戻った。


「ふぁ~あ」


「え?」

「……ねむ」

「ふぁぁ……」


 バタッ バタッ バタッ バタバタッ


 うさぎの魔法使いがあくびをすると、なんとナミの周りにいる敵の騎士たちが次々と倒れていった。


「はい、おやすみなさい」


 うさぎの魔法使いがそう言うと、騎士たちは一斉に深い眠りについた。


「ウサちゃん、ぁりがとぅ」


「いえいえ、ナミ様。お役に立てて光栄ですわ」


 うさぎの魔法使いはそう言うと、また小さなうさぎになって寝てしまった。


 ナミはうさぎを拾い上げると、ウエストバッグに仕舞(しま)ってチャックをしめた。


 アルマジロもナミの頭の上に登って準備を整えた。


「よし、ぃこう!」


「キュウキュウ」


 ナミはまたマユ隊のいる西南西の山へ向かって走り出した。


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