1000万だ!
「アーボンさん、やるじゃん!」
メイは敵のペアを倒して回復薬を飲んでいるアーボンに嬉しそうに言った。
「お、おう。そうか?」
アーボンは笑顔で答えたが、急に後ろへ振り向いて顔をこわばらせた。
「……、や、やばい。強ぇやつが来るぞ」
「え、まじで?」
カッーン カッーン カッーン カッーン……
カッ カッ カッ カッ……
カッーン……
近づいてくる足音と共に、イケメンの片手剣の騎士とセクシーな司教がメイとアーボンの前に現れた。
アーボンは慌てて剣を構えると、片手剣の騎士も剣を構えてアーボンに言った。
「はっ、なんだその変な構えは。それじゃあ、まともに剣が振れないだろう?」
「お、おう。言われなくても知ってるさ。なんたって、おれはゲームが下手だ」
「くはははは! 何の自慢だ。じゃあ死んでもらうぞ」
「まて!」
「ん?」
「1000万だ! 1000万プクナをやろう! これでどうだ!」
「なっ! 1000万プクナ!?」
イケメンの片手剣の騎士が少し動揺すると、アーボンは続けて言った。
「勘違いするなよ。もちろん2人にそれぞれ1000万プクナだ!」
「まじか!」
「え、ほんとに!?」
アーボンは2人が動揺するのを見ると、追い打ちをかけるように2人に言った。
「良く考えてくれ。この試合をリタイアしても、また再チャレンジできる。きっと君たちは強いから、そこでも勝てるだろ?」
「た、たしかに」
「ど、どうする?」
アーボンはさらに動揺している2人に追い打ちの一言を言った。
「1500万! それぞれ1500万プクナだ!」
「はいっ! リタイヤします!」
「あ、ありがとうございます!」
イケメンの騎士とセクシーな司教はアーボンにひれ伏すとアーボンは2人にそれぞれ1500万プクナを送った。
「はっはっは、その1500万で好きなものを買いたまえ!」
「あ、あざーす!」
「ありがとうございます!」
「あのさ、あと500万プクナ上乗せするから、他の敵のペアを全員倒してくんない?」
「お安いご用っす!」
「おまかせを!」
ババッ!
2人はダンジョンの奥へ走り出すと、次々とペアを倒していった。
「ふぅぅ……。これでクリア確定だな」
アーボンは胸を撫で下ろすとメイが笑いながらアーボンに言った。
「アーボンさん、めっちゃ悪代官!」
「はっはっは! 勝てば正義!! それにイケメンを金で言いなりにするのは最高の悦びだ!!」
「え、イケメン? さっきの人が?」
「え? あいつ、めっちゃイケメンだったぞ! メイちゃん目悪いのか?」
「え、だって、あの人『おれイケメンです』みたいな顔してたじゃん。中身がイケメンじゃないよね」
「お、おう……」
「それにさ、あのセクシー司教も『美人の私、見て見て』オーラがハンパなかったし」
「え、そうなの?」
「もうさ、イケメンとか美人とか言ってる時代じゃないよね。中身だよ」
「ま、まじか。メ、メイちゃん! メイちゃん尊敬するわ!」
「え? な、なに突然?」
「おれ、感動した!」
「え、感動?」
ズシャァァアアアア!!
その時突然、イケメンの騎士がメイとアーボンの前に吹き飛ばされてきた。
イケメンの騎士は足から消滅し始めると必死にアーボンに言った。
「や、やばいです! とてつもなく強い敵が……」
シュゥゥゥウウ……
それを見たメイとアーボンは身構えると、足音がゆっくりと近づいてきた。
ズシャッ ズシャッ ズシャッ ズシャッ……
「メイちゃん、これ本当にやばい」
「え、そうなの?」
「ああ、余裕感がハンパない。とんでもなく強いヤツが来るぞ」
「え、やば!」
ズシャッ ズシャッ ズシャッ……
すると眼光の鋭い大柄な斧の騎士がメイとアーボンの前に現れた。
そして斧の騎士は肩に斧を担ぐとメイとアーボンに言った。
「どうやら、お前らが最後だな。死んでもらうぞ」
するとそれを聞いたアーボンは素早く膝をつき、美しいフォームの土下座を決めて斧の騎士に言った。
ババッ!
「斧の騎士様! お願いがございます!!」
「なっ、なんだ突然」
「その強さ! さすが最後まで生き残ったペアでございます!」
「あ、ああ。そうだな、腕には自信がある」
「非力な私たちのような者では太刀打ちできません! ですが、どうか! どうか、私たちに勝たせてくださいませんか!」
「なんだと!?」
「タダでとは言いません! 1000万プクナでいかがですか!」
「1000万!?」
「は、はい!」
「安っ」
「え、ええっ!」
アーボンが驚くと斧の騎士は腕を組みながらアーボンに言った。
「だって、おれ1億プクナもってるし」
「じゃ、じゃあ! 10万円! 円で! 円でお支払いします!」
「なにっ! 10万円!? ほんとか!?」
「はいっ! 10万円です!」
しかしアーボンがそう言った瞬間、少し遠くから声がした。
「じゃあ僕は100万円出すよ」
「「ええっ!?」」
そこに居た全員が驚くと、ダンジョンの奥から細身の男性司教がやって来た。
ダンジョンの奥からやってきた細身の司教は斧の騎士の横に並ぶと、笑いながらアーボンに言った。
「こいつは僕のペアだ。僕のペアをお金で買収しようなんて身の程知らずだな……」
アーボンは顔をこわばらせながらも細身の司教に言った。
「じゃ、じゃあ110万円出す!」
するとメイがアーボンを遮るように前に出てアーボンを制止した。
「ちょ、アーボンさん! 待った!」
「えっ?」
「アーボンさん、お金はやめてよ。わたしが気になっちゃうよ」
「お、おう、いやでも……。……でも、そうか。そうだよな。ごめんメイちゃん。つい熱くなっちゃって……」
「ううん、気持ちは嬉しかったよ。でもさ、とりあえず戦おうよ」
「……そうだな」
アーボンはメイに言われて剣を構えると、斧の騎士は笑いながらアーボンに言った。
「悪いな、この戦いは勝たせてもらうぜ。おれは100万円もらいてぇからな」
斧の騎士が斧を構えると、メイが何かをたくさん投げつけた。
ガシャン、ガシャン!
ガシャ、ガシャン!
ぬるぅ~
なんと、メイは抜群に滑る油を投げつけ、斧の騎士を滑らせた。
「なっ、す、すべる!」
それを見たメイは大声でアーボンに言った。
「アーボンさん、あの斧の人が滑ってる間に司教を倒そう!」
「あ、その手があったか! メイちゃん天才!」
アーボンは司教に向かって一直線に走り込むと、敵の司教は2人の予想外の行動に慌てて防御魔法陣を展開した。
「く、来るなっ!」
ブゥー……ン
しかし、アーボンは走り込みながら言った。
「はっはっは、驚いた顔しやがって! じゃあ、もっと驚かせてやるぜ!」
アーボンはそう言うと、自分の剣を敵の防御魔法陣に力いっぱい投げつけた。
「おりゃあ!」
ブンッ!
ガキィィン!
パァーン!
アーボンの剣は防御魔法陣に弾かれたが、攻撃力が6万を超えているアーボンの剣に防御魔法陣は割れて弾け飛んだ。
「なっ! 防御魔法陣が!」
「はっはー! これからが本番だぜっ」
ガシッ!!
するとなんとアーボンは敵の司教に抱きついた。
「何をする!」
「はっはっは! もう離さないぜぇ~」
アーボンはニヤリと笑うと豪炎の壺を出現させて地面に叩きつけた。
ガシャン……、ボワッ!
業炎の壺は地面で破裂すると、アーボンと敵の司教は炎に包まれた。




