自慢だ! 自慢でしか無いっ!
ー しばらく後 ー
メイはマユと店番をしているとアーボンからメッセージを受信した。
『おまたせ! ステータス戻ったよ。大司教のクエスト行こうぜ!』
「あ、やった! アーボンさん戻った」
それを聞いたマユはメイに尋ねた。
「え、何が戻ったの?」
「この間アーボンさん倒されちゃってステータスがゼロになっちゃったから、回復するの待ってたんだ。次は一緒に大司教のクエスト行くんだよ」
「大司教?」
「そうそう、僧侶職の一番高いランクなんだって。」
「へぇ、すご。あ、そういえば、アーボンさんも黒ちゃんさんも、めっちゃバスってるよね」
「ははは。おかげで、わたしのフォロワーも1万人超えてちゃって……」
「え、やば!」
「でも、みんなあの2人目当てなんだけどね。彼女説とか出ててさぁ」
「え、どっちの?」
「どっちも」
「え、ほんとに!?」
「わたしネットだとモテててる事になってる。はは」
メイは笑いながら恥ずかしがると、マユが思い出したようにメイに尋ねた。
「そういえば黒ちゃんさんって、なんで司教になったんだろ。防御って感じじゃないよね」
「あ、モーニング・セットが使えるからみたい。なんか攻撃力が高いんだって」
「へぇぇ。でも確かにあの武器、黒ちゃんさんが使ったら強そうだよね」
「そうそう。あの武器って司教になれば使えるから黒ちゃんさん大司教にはならないんだって」
「そうなんだ。あれ? てかメイ、なんで司教になったんだっけ?」
「え? あ、なんでだっけ?」
すると、ちょうど砂漠でキノコを採集していた和代と美咲がお店に帰ってきて、美咲が笑いながらメイに言った。
「ははは、風の魔法だよね」
「あ、そう、それだ! やば、すっかり忘れてた! え? でも風の魔法ってどうやるの?」
「マガイルーの魔法学校に行って授業を受ければ使えるよ」
「えぇ~、授業受けるの? やだなぁ……」
「「ははははは」」
みんなはメイの言葉に思わず笑った。
ー 夕方 ー
「おーい、メイちゃん!」
「あ、アーボンさん」
アーボンは閉店した店にやってくると、みんなに頭を下げて挨拶した。
「こんばんは、アーボンです。先日はお友達にご迷惑をおかけしました」
「ううん、メイ手伝ってくれてるし」
「もう終わったことだから」
「まぁまぁ、ご丁寧に」
みんなは笑顔でアーボンを迎えるとアーボンは涙目になりながら、みんなに言った。
「ほんと反省しているんで……。こ、これからも、よろしくお願いします」
パチパチパチパチパチパチ
アーボンは笑顔で拍手してくれるみんなを見ると、泣きながら頭を下げた。
「う……、うぅ……。みなざんありがどうございまず……」
するとそれを見たメイがアーボンに言った。
「ちょっ、アーボンさん、鼻水!」
「え、あ、ズズッ! へ、へへへ」
「「ははははは」」
アーボンが鼻をすすって笑顔になると、みんなもつられて笑顔になった。
ー エストンレルト ー
メイとアーボンは再びエストンレルトの大聖堂にやって来て中に入ると、前回同様シスターたちがやってきた。
「メイ司教。ようこそおいでくださいました」
「あ、はい。ようこそ来ました」
「今回は大司教になるために来られたのですね」
「あ、それです」
「大司教になるためには、バトルロイヤルゲームに勝利していただく必要があります。そちらの騎士がパートナーですね?」
「バトルロ……??」
「はい。攻撃ができる仲間とペアで参加し、最後に生き残ったペアの司教が大司教になれるのです」
「あ、え? あ、はい」
メイはよく分からなかったが、とりあえず返事をした。
するとシスターがメイに鍵を渡しながら説明した。
「メイ司教。あの扉の鍵を開けて中へお入りください。現在6ペアが待機中です。参加者が8ペアになると開始です」
「あ、はい。入ればいいんだよね」
「はい。神の御加護を」
「ありがとうございます」
メイは鍵を受け取るとアーボンと一緒に扉の中へ入っていった。
◆
キィィィイイイ……、ガチャ
2人が中に入るとレンガ造りのダンジョンが広がっていた。
「ねぇ、アーボンさん。イマイチ良く分かんないんだけど、わたし何すればいいの?」
「え? なにしろ、おれら2人で全員倒して生き残ればいいんだよ」
「あ、そうなんだ。ってか、ここってダンジョンってやつ?」
「そうみたいだな。あ、でも左下にミニマップ出てる」
アーボンは操作してミニマップを拡大すると、1フロアだけの簡単なダンジョンだと気づいた。
「メイちゃん、ここダンジョンって言うほどのダンジョンじゃないみたいだ。めっちゃ狭い。しかもマップ見れるし」
するとその時、メイとアーボンの視界にメッセージが表示された。
『参加者が8ペアになりました。これよりバトルロイヤルゲームを開始します』
プワァァアアアア!
突然ラッパの音がダンジョンに響き渡ると、早速誰かが走ってくる足音がした。
タッタッタッタッタッタッ……
「アーボンさん、誰か来る!」
「お、おう! 任せとけ!」
アーボンはメイをかばうように前に出ると、男性の槍の騎士と女性の司教のペアが目の前に現れた。
槍の騎士と司教のペアは戦闘態勢を整えると、槍の騎士は突撃し、司教は風の魔法でアーボンを狙った。
それを見たメイは慌ててアーボンの前に防御魔法陣を展開した。
ブゥー……ン
カンッ、カカカン!
メイの防御魔法陣は敵の風の魔法を弾いたが、槍の騎士はメイの防御魔法陣を迂回してアーボンに突撃してきた。
「もらった!」
ドスッ!!
槍の騎士はアーボンに渾身の突きを放って腹を貫通した。
しかしアーボンは何事も無かったように両手剣を振りかぶると槍の騎士に言った。
「んー、その攻撃力だとHPの4分の1くらい減るくらいかなぁ。なかなか強いね」
ズバッ!
アーボンは両手剣を振り下ろすと、HPを一気に減らされた槍の騎士は驚きながらアーボンに言った。
「なっ、なんだこの攻撃力!」
「へへへ、おれは攻撃力だけはある!」
ズバッ!!
アーボンはもう一撃食らわせると、槍の騎士は消滅していった。
シュゥゥゥウウ……
「つ、強い……」
アーボンは残された敵の司教が驚いていると、笑いながら敵の司教に言った。
「はっはっは! おれはゲームが下手だ! だが攻撃力と防御力が……、めっちゃある!」
それを聞いた敵の司教は狼狽えながらアーボンに言った。
「な、なにそれ!? ゲームが下手なんて、そんなの自慢にならないわよ!」
「自慢だ! 自慢でしか無いっ! 君が攻撃してきてもゴリ押しで勝てるからな!!」
「は、はぁ?」
しかし敵の司教はアーボンから離れると、風の魔法でアーボンを斬りつけた。
「ならば遠距離攻撃で!!」
ズバッ ズババッ!
「はっはっは! そんなもの、HPの10分の1も減らないっ!」
アーボンはゆっくりと敵の司教を壁際に追い詰めると、軽く会釈しながら言った。
「じゃっ、悪いけど、つま先にごめんね」
ドッ
「きゃっ!」
敵の司教のHPは一気にゼロになり、静かに消滅していった。




