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モーニング・セット

 メイが注射器をコイン神父に注射すると、なんと神父はどんどん元の人間の姿に戻っていった。


 そして神父はすぐに目を覚まして起き上がると、メイと一緒にいるビオリを見つけて声をあげた。


「Viori! (ビオリ!)」


 それを聞いたビオリは走ってコイン神父に抱きついた。


 メイはゆっくりと黒ちゃんのところへ行くと静かに呟いた。


「良かった……」


「そうですね」


「でも、アーボンさんが……」


「彼は素晴らしかった。彼のお陰で勝てたようなものです」


「うん……。アーボンさん、カッコ良かった」


 するとその時、アーボンからメイにメッセージが送信されてきた。


『メイちゃん、大丈夫だった? 先に死んでごめん!』


 それを見たメイは、すぐにメッセージを返した。


『アーボンさん、めっちゃカッコよかったよ! 後でツイッタグラムにアップしておくね』


『まじ? カッコ良かった? うれしいなあ』


 メイがメッセージをしていると、コイン神父がビオリと一緒にメイと黒ちゃんの所へやってきた。


 そして神父はポケットから白いリボンを取り出すと、黒ちゃんに手渡した。


「Show it to a sister. You and your friend will be able to become bishops.(これを大聖堂のシスターに見せれば、あなたとお友達は司教になれます)」


「Thank you, Father Coigne.(ありがとう、コイン神父)」


「え、あ、なんて言ってるんですか?」


「この白いリボンをシスターに見せれば司教になれるようです」


「え、やった! クリアだ!! ははは」


 メイは嬉しくなって白いリボンと一緒に自撮りするとアーボンにメッセージを返した。


『アーボンさん、クリアしたよ!』


『まじか! やった! おめでとう!』


『アーボンさん、ほんとめっちゃありがとう!』


『いやいや、役に立てて良かったよ!』


 こうしてメイと黒ちゃんは司教クエストをクリアし、エストンレルトの街へ転移していった。



 ブゥーン

 ブゥーン


 メイと黒ちゃんは大聖堂の前に転移すると、一緒に中へ入っていった。


 大聖堂で黒ちゃんは白いリボンをシスターに手渡すと、正式に司教として承認された。


 そして大聖堂の外へ出ると、リスポーンしたアーボンが2人を待っていた。


「おーい! メイちゃん、黒ちゃん、おめでとう!」


「あ、アーボンさん!」

「アーボンさん」


 2人は大聖堂の階段を駆け下りると、アーボンがすまなそうに2人に言った。


「2人とも、先にやられてゴメン。やっぱあの神父強かったわ」


 黒ちゃんはそれを聞くとアーボンに言った。


「アーボンさん、すばらしかったです。あなたが神父の動きを止めていなければ(きび)しい戦いになっていたでしょう」


「え? そ……、そうか? いやぁ、あの時はもう必死で何がなんだか。ははは」


「いえ、私達はアーボンさんの捨て身のお陰で司教になれました。感謝します」


「え、いや、おれ、あんなカッコ悪い戦い方しかできないし……、結局死んでるしさ……。感謝される資格あるのかなぁ……」


 するとメイがアーボンに言った。


「アーボンさん、めっちゃカッコ良かったよ! ありがとう、ほんとカッコ良かった!」


「え? あ、へへへ。メイちゃんに言われると、なんか嬉しいなぁ。あ、そうだ! 司教になった記念に、おれが司教の装備を買ってやるよ!」


「え、まじで!?」


「ああ、おれはプクナだけは持ってる男だからな!」


「おおっ、さすがアーボンさん! じゃあ、ありがたく頂きますっ!」


「おっし、イークラトの武器と防具の店に出発だ。もう、なんでも買っちゃって!」


「やったー!」


 メイは嬉しそうに笑うと、黒ちゃんもそれを見て笑顔になった。



 その頃、マユとナミとおばあさんはメイの新しい投稿を見ていた。


 ーーーーーーーーーーーーー

(アーボンが必死に神父の腕を押さえつけている写真)


 ほんとカッコ良かった。ありがとう。


 #ザ・フラウ #恩人

 ーーーーーーーーーーーーー


「アーボンさん、カッコイイ!」

「アーボン、なかなかゃる」

「まぁ、すごいわね!」


「ただいまー」


「あ、メイ!」

「ぉかえり」

「まあまあ、大変でしたね」


 メイは司教になってお店に帰ってきた。


 マユはメイの装備が新しくなっている事に気づくとメイに尋ねた。


「ねぇ、なんか装備すごくなってない?」


「え? うん。アーボンさんが司教の最強装備を一式買ってくれたんだ」


「え、すごっ!」


「あ、ほら、これも見て」


 メイはそう言うと、棒の先にトゲ付きの鉄球が付いたメイス「モーニングスター」を手に装備した。


「「おおー!」」


 みんなが目を丸くするとメイはモーニングスターを持ってポーズを決めながら言った。


「これ、モーニング・セットって言うんだって。これで、わたしも攻撃できるんだ」


 それを聞いたマユはモーニングスターをマジマジと見ながらメイに言った。


「モーニング・セット? なんか、お(とく)そうな名前だけど強そうだね」


「うん。でも、わたし攻撃したことないから、使えるのかな? ははは」


「そっか、メイずっと僧侶だったもんね」


「「はははははは」」


 ◆


 その頃、黒ちゃんは両手にモーニングスターを持ち、漆黒の司教のローブを纏ってイークラトの森の中にいた。


「こ……、これは凄い。まさかモーニングスターの破壊力がこれほどとは……」


 なんと黒ちゃんの前にはホワイトドラゴンと爆炎タートルの素材がたくさん転がっていた。


「しかもモーニングスターで防御魔法陣も展開できる上に、両手剣を装備しなおせば剣でも攻撃ができる……。並行転職の良いとこ取りだな……。こ……、これなら……、ふふ……、ふふふ、ふはははははは!」


 黒ちゃんの不気味な高笑いがイークラトの森に響き渡った。

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