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最後の悪あがきだ!

 黒ちゃんとアーボンが吹き飛ばされるのを見たメイは、慌てて2人を守るように防御魔法陣を展開した。


 しかし、それを見たコイン神父は突然振り返ってメイのほうを向くとニヤリと笑いながら言った。


「Stop it.(やめろ)」


 コイン神父はショットガンをメイに向けると、それを見たメイは急いで目の前に防御魔法陣を展開した。


「やばっ!!!」


 ブゥー……ン


 パァン!

 ガガガガガガガン!


 メイの防御魔法陣は見事にショットガンの弾を防いた。


「や、やった!」


 しかしコイン神父はゆっくりと斧を振りかぶると、歩いてメイに近づいてきた。


「え、こっち来るの? やばっ! ビオリさん逃げよう」


 メイはビオリの手を引いて後ろに下がると、ふとオルゴールの事を思い出した。


「あ、そうだ!」


 メイはアイテム欄からオルゴールを出現させると、地面に置いて(ふた)を開いた。


 ♬♪♫♬♪♫♬♪♫♬♪♫♬♪♫♬♪♫♬♪♫


「Oh, oh no! Noooo!!」


 コイン神父はオルゴールの音色を聞くと両膝をついて頭を抱え、動きが止まった。


 するとそれを見たアーボンと黒ちゃんは一斉にコイン神父に襲いかかった。


「おっしゃ! 動きが止まったらこっちのもんだ!」


「でやぁぁあああああ!」


 ズバ、ズバッ!

 ドガッ、ドガドガ!!


 アーボンが斬りつけ、黒ちゃんが欅の棒で叩きつけると、コイン神父は地面に倒れた。


 ズシャァ……


 そしてそのまま動かなくなった。


 するとビオリは涙を流しながらメイの腕を掴むと、静かに声を漏らした。


「Ahh…… 」


 メイはビオリを抱きしめながら言った。


「……悲しいよね。旦那さんがゾンビになっちゃって襲いかかってきたら。う……、ううっ……」


 メイが泣き出すと、アーボンがやってきてメイに言った。


「な、泣くなよメイちゃん。う……、うう。ビオリさん、旦那さん倒しちゃて……、ごめん……。ズズッ」


 結局アーボンも一緒に泣いてしまった。



 黒ちゃんは倒れたコイン神父の腕をまくり、封書に入っていた注射器を用意した。


「これを打てば終わりだな」


 黒ちゃんがコイン神父に注射を打とうとすると、


 ガシッ

「なにっ!?」


 なんとコイン神父が、不敵(ふてき)な笑みを浮かべて黒ちゃんの持つ注射器を(つか)んだ。


「Not yet!(まだだ!)」


 コイン神父は黒ちゃんの注射器を奪って投げ捨てると、斧を振り回した。


 ブンッ、ブンッ!


「くっ!」


 黒ちゃんはコイン神父の斧をバックステップでよけると、コイン神父は不気味に笑いながら立ち上がって叫んだ。


「Hahaha! Behold my true form! (はっはっは! 私の真の姿を見よ!)」


 バキバキバキバキ、

 グキャッ、グキャッ!


「ギヤァァァアアアアアア!!!」


 コイン神父は叫び声を上げながらどんどん体を変形させると、おぞましいゾンビの姿になった。


「グルルルルルルル……」


 そして唸り声をあげると斧とショットガンを捨て、鋭く伸びた爪で黒ちゃんに襲いかかってきた。


「ギィェァァァアアアアアア!!!」


「神父よ、知性も無くしたか!」


 ガン!


 黒ちゃんは盾で爪の攻撃を受けると、腕をしならせながら豪快に欅の棒を食らわせた。


 ドガッ!!


「ギィャァァア!」


 そこへアーボンが走り込むと、なんとメイがコイン神父に豪炎の壺を投げつけた。


 ガシャ、ボワッ!


「ギィャァァア!!」


 それを見たアーボンは剣を振りかぶりながらメイに言った。


「ナイス、メイちゃん!!」


 アーボンは豪炎の壺に気を取られているコイン神父に思い切り斬りかかった。


「もらったぁ!」


 ズバッ!!

 ズブッ!!


「えっ?」


 アーボンはコイン神父の肩を斬りつけたが、なんとコイン神父の右腕がアーボンの腹を貫通していた。


「うわわわ! HPが!」


 アーボンは一気にHPを減らされて焦ったが、心配そうに見ているメイの姿を見ると足を踏ん張った。


「ま、まだだ! メイちゃんを……。メイちゃんを司教にするんだ!!」


 ガシッ!


 アーボンは突然コイン神父の腕を掴むと、黒ちゃんに叫んだ。


「おれが腕掴んでるから、やっちゃって!! 早く!!」


「おう!!」


 それを聞いた黒ちゃんは全力で振りかぶると、コイン神父に殴りかかった。


「おぉぉおおおぉぉぉおおお!!」


 ドガン! ドガン! ドガン!


 ガブッ!


 するとなんとコイン神父はアーボンの首に噛み付いた。


「う、うわわわ! HPやばい! 急いで! 早く! いたたたた!」


「おう!!」


 ドガン! ドガン! ドガン! ドガン! ドガン! ドガン! ドガン! ドガン! ドガン!


 黒ちゃんが必死に攻撃を繰り出すと、アーボンも最後の力を振り絞って剣を突き出した。


「最後の悪あがきだ! くらえ!」


 ズドッ!


 アーボンはコイン神父の足を剣で突き刺すとコイン神父は声をあげながらアーボンに爪を突き刺した。


「グゥゥウォオオオ!!」


 ズブッ!


「わっ、もうダメだ!」


 アーボンはそう言うと足から消滅し始めた。


 シュゥゥ……


 それ見ていたメイはアーボンに叫んだ。


「アーボンさん!」


「メイちゃん、ごめん……、おれ……」


 アーボンは消滅した。


 コイン神父は1人になった黒ちゃんを両腕の爪で引き離すと、飛びかかって黒ちゃんの首を掴んだ。


 ガシッ!

「くっ」


 そして神父は黒ちゃんの首に爪をめり込ませると(ひず)んだ声で叫んだ。


「Diiieeee!!(死ねぇぇ!!)」


 しかし、黒ちゃんは盾と欅の棒を投げ捨ると、首を掴まれたまま神父の右腕を掴んで力づくで巻き込んだ。


「でぇやぁぁあああああああ!」


 そして体ごと神父を引き込むと、豪快な一本背負いに持ち込んだ。


 ブワァァッ!


 黒ちゃんの荒々しい一本背負いが美しい軌道を描きながら神父を空中へ投げ飛ばすと、神父は目をつむって笑った。


「Thank youありがとう


「なにっ!?」


 ズバァン!!!


 コイン神父は激しく地面に叩きつけられると、そのまま動かなくなった。


 それを見た黒ちゃんはメイに言った。


「メイさん、封書を! 封書の中にある注射器をコイン神父に打ってください!」


「あ、は、はい!」


 メイはアイテム欄から封書を選んで開封(かいふう)すると、中から注射器を取り出してコイン神父に注射した。

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