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いよっ、日本一!!

 炎が敵の司教のHPを奪っていくと司教は慌てて叫んだ。


「離せ! お前もダメージくらうだんだぞ!」


「はっはっは! おれは、まだまだ耐えられるぜぇ~」


「なっ! くっ! 離せ!」


「おれの防御力は3万以上! 絶対お前が先に死ぬ!」


「く、くそっ! 離せ! 離せ!」


 敵の司教は危機を感じてアーボンの腕を振り払おうとしたが、アーボンは足まで(から)ませてしがみついた。


「絶対に離さん! 攻撃力と防御力、そして(かね)に物を言わせてゴリ押しで勝つ! それがオレのやり方だ!!」


 アーボンは敵の司教に抱きついたまま振り返るとメイに言った。


「メイちゃん、豪炎の壺じゃんじゃん投げちゃって! おれは大丈夫だから!」


「わ、わかった!」


 ガシャッ……、ボワッ!

 ガシャッ……、ボワッ!

 ガシャッ……、ボワッ!


 メイが豪炎の壺を3つ投げつけると、敵の司教は悔しそうな表情を浮かべて叫んだ。


「く、くそぅ! 想定外だ!!」


 シュゥゥゥウウウウ……


 敵の司教は消滅していった。


「大丈夫、アーボンさん!?」


 メイはアーボンに駆け寄るとアーボンは全回復薬を飲みながら笑顔でメイに答えた。


「ははは、ぜんぜん大丈夫だよメイちゃん。でも、それより……」


「うん……」


 2人は振り返ると、油から抜け出した斧の騎士が油まみれで立っていた。


 ガシャッ ガシャッ ガシャッ……


 斧の騎士はゆっくりとメイとアーボンに近づいてくると、アーボンはメイの前へ出て小声でメイに言った。


「メイちゃん。業炎の壺と油を用意しといて」


「わかった」


 アーボンはそう言い残すと、両手剣を構えて斧の騎士の前に出た。


 そして斧の騎士を(にら)みつけると静かに口を開いた。


「なぁ、パートナーが殺られたんだから諦めろよ」


「ふっ、そうはいかねぇ。おれがお前ら2人を倒せば、パートナーは勝利判定で大司教になれる。そして100万も貰える」


「そうか……。どうやら、おれの本気を見せるときが来たな」


「ほう。その本気、見せてもらうか」


「ふっ。驚くなよ」


 ババッ!


 するとなんとアーボンは後光が差すような美しいフォームで土下座をした。


「本当に申し訳ございませんでした!」


「な、なっ!?」


「どうか! どうか私たちを勝たせてください! おねがいします!」


「お前はアホか! 100万を目の前にして勝たせるワケがないだろ!」


「そこを何とか!!」


「うるさい!」


 ブワッ!!


 斧の騎士は土下座しているアーボンに斧を振り上げると、アーボンは突然ゴキブリのように()つん()いで前にダッシュした。


「かかったな!」


 カサカサカサカサ!


「なっ!」


 四つん這いでダッシュしたアーボンは、素早く騎士の(また)の下へ走り込んだ。


 そして体を仰向(あおむ)けに反転させると、低い位置から斧の騎士の尻に向かって剣を突き上げた。


「くらえ! 必殺、悶絶突(もんぜつつ)きっ!!」


 ズブッ!!


「あっほぉぉおお!!」


 アーボンの剣は斧の騎士の尻の割れ目に美しく刺さると、騎士は思わず変な声をあげた。


「メイちゃん、今だ! 油と業炎の壺、たくさん投げて!!」


「わわ、わかった!」


 ガシャッ、ガシャッガシャッ!


 ぬるぅ~


 ガシャッ……、ボワッ!

 ガシャッ……、ボワッ!


 ボワァァアアアアアア!!


 油まみれになった斧の騎士とアーボンに業炎の壺が投げられると、高温の炎が油に引火して、2人のHPをみるみる奪っていった。


「ぐ、ぐわぁ!!」

「はっはっは! これで心中(しんじゅう)だ! 残念だったな!」


 アーボンはそう言うと、ヌルヌルと滑りながらも斧の騎士の斧を持つ腕にしがみついた。


「どうだ、これでもう斧を振れないだろう! 逃さないぜ!」


「や、やめろ! はなせ!」


「はっはー! おれもHPがヤバいが、おれの防具は炎に強い! 残念だったな!」


 しかしアーボンの言葉を聞いた斧の騎士はニヤリと笑ってアーボンに言った。


「ほう、炎に強い防具……。と言うことは氷の属性には弱いな」


「な、なんだと?」


「はっはー! 奥の手だ!」


 斧の騎士は高笑いをしながら斧を手放すと、なんと手に魔法の杖を装備した。


 それを見たアーボンは驚きながら言った。


「な! お前、並行転職してたのか! まさか、氷の魔法を……? ズ、ズルいぞ!!」


「何がズルいだ! お前の攻撃は全部ズルいじゃねぇか!」


 斧の騎士はアーボンにそう言うと、氷の魔法の大呪文を唱えた。


「凍てつく氷の女神たちよ、我に冷血なる力を与えたまえ。凍る六花の結晶をもって嘆願する。あの者に絶対零度の裁きを!」


 キィーン……

 ズガガガガガガガガガ!


「うわー!」


 アーボンは氷の魔法を食らうと、HPがゼロになってしまった。


「メイちゃん、ごめん! おれ……、また……」


「アーボンさん!!」


 シュゥゥウウウウウ……


 アーボンは消滅していった。


 騎士はアーボンを消滅させると、体を炎に包まれながら振り返ってメイに言った。


「はっはっは! あいつは死んだぞ! あとは雑魚のお前1人……」


 バキッ!!

「へぶっ!!」


 なんとメイは(おこ)りながらモーニングスターで騎士を殴りつけた。


「ゆるさない!! アーボンさんを、やったなぁ!」


 メイは涙目になりながらモーニングスターを再び振りかぶったが、


 ズルッ!


「うわっ!」


 なんとメイは斧の騎士に近づきすぎて油と炎に足を取られ、体に炎が引火してしまった。


「あ、やば! あ、熱っ! うわわわわ! 滑る!!」


 ズルズルッ!


 メイは滑って体勢を崩すと、フラフラと倒れている騎士の背中側に倒れた。


「痛っ! うわっやば、HP無くなっちゃう! で、でも倒さないと! やぁー!!」


 ブンブン!! ブンブンブン!!


 ドガッ! ドガッドガッ! ドガッ!


 騎士はメイの攻撃から慌てて逃げようとしたが油で滑って動けずに叫んだ。


「ちょ、待って! 凍てつく氷の……、あ、待てって! 待ってー!」


 ドガン!


 シュゥゥゥウウ……


 メイが最後の一撃を食らわせると騎士は消滅してゆき、メイに引火した炎も消えた。


「え? あれ?」


 するとメイの視界にメッセージが現れた。


『おめでとうございます。あなたは大司教に選ばれました』


「うそっ! や、やったー!! アーボンさん、かたき取ったどー!!」



 ー 大聖堂 ー


 戦いを終えたメイはシスターから大司教の(あかし)であるネックレスを受け取っていた。


「おめでとうございます、メイ大司教。このネックレスが大司教の(あかし)になります」


「あ、ありがとうございます」


「メイ様。今日より、あなたが大司教となることを正式に承認致します」


 すると後ろの席で見ていたアーボンは笑顔で拍手した。


 パチパチパチパチ!


「いいぞメイちゃん! いよっ、日本一!!」


 それを聞いたメイは恥ずかしそうに答えた。


「ちょっ! 言い方が古いんだけど!」


「え、そうか?」


 メイはシスターに一礼して祭壇から降りると、アーボンにネックレスを見せて言った。


「アーボンさん、ほんとありがとね。アーボンさんのお陰さまだよ。めっちゃ感謝!」


「い、いやいや。おれ結局また死んじゃったし、まじでカッコつかないよなぁ。はは」


「そんなこと無いよ。アーボンさん、いつもカッコイイじゃん。ナイスだよ!」


 メイが親指を立てて笑顔になると、アーボンは顔を赤くして恥ずかしそうに言った。


「な、ななな、なら……、良かった! ……あ、そうだ、お祝いに大司教のローブ買ってやるよ!」


「え、やば! まじで?」


「もちろん! 今からイークラトのお店に行くぞっ!」


「やったー! あざーす!!」


 こうしてメイはアーボンに助けられ、大司教になったのだった。


 

 ―― VRおじいちゃん2 ~ひろしの大活躍~ へ続く ――


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