公園の壺
メイとアーボンが橋の上に出ると、突然オオカミが2匹襲いかかってきた。
「ガァァアアア!」
「うわわわっ!」
「やば!」
ガブッ、ガブッ!
オオカミは2匹ともアーボンの頭に噛みつくと、アーボンは胸を撫で下ろして言った。
「危なっ。動き早いからビビったわ。噛んでくれて助かったー」
ズブッ
ズブッ
アーボンはそう言いながら噛み付いているオオカミに剣を刺すと、オオカミは一撃で消滅していった。
「ふぅ」
アーボンは回復薬を飲むと、メイがアーボンに言った。
「いま、めっちゃイイ写真撮れたよアーボンさん! あ、てか回復魔法したほうが良かった?」
「え、いいよいいよ、MPとっておきなよ。何があるか分からないしさ」
「まじで? アーボンさん優しいね」
「優しい? おれが? そ、そうか?」
アーボンは照れ笑いすると、メイは思い出したように防御力強化の魔法をアーボンにかけた。
「アーボンさん毎回やられてるから、防御力を強化しとくね」
アーボンは元々防御力が3万以上あるので、メイの防御力強化はほとんど効果がなかったが、アーボンは胸が熱くなるほど嬉しくなってメイにお礼した。
「メイちゃん、まじありがとう。なんていうのかなぁ、バフって(強化して)もらえると嬉しいよな。おれバフってもらった事あんま無くてさ」
「え、そうなの? てか、魔法が切れたら言ってね。また魔法かけるから」
「メイちゃん、まじて嬉しいよ。……あ、そうだ。これ貰ってよ」
アーボンは魔法回復薬を100個メイに送った。
「え、やば! いいの?」
「いいの、いいの。これ、おれが持ってても使わないんだよね。貰って」
「ありがとう! めっちゃ感謝!」
「へへへ、いいっていいって」
するとメイは手で何か操作しながらアーボンに言った。
「ねぇ、アーボンさん。さっきオオカミに噛まれてた写真アップしてもいい?」
「もちろんだよ、じゃんじゃんアップしちゃって! もう、メイちゃんだったら何でも許す!」
「ありがと! ほんとにいいの? めっちゃ面白い画像なんだけど」
「せっかくなら、メッチャ面白く投稿してよ! おれも笑ってもらえたら嬉しいしさ。ははは」
アーボンは上機嫌で笑った。
その頃、マユとナミとおばあさんはお店でメイの投稿を見ていた。
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(アーボンがオオカミに噛まれている画像)
よーし、よしよし。エサの時間だそー。
#シュール #噛まれる #ザ・フラウ
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「「あははははは」」
「やば、エサって自分が!?」
「アーボン、なかなかやる」
「あははは、アーボンさんには申し訳ないけれど笑っちゃうわね」
その頃、ネット上ではメイの画像がバスっていて、この画像がアーボンだという事が次第に知れ渡ってきた。
ネットの匿名掲示板ではアーボンの話題で盛り上がっていた。
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え、これアーボンっしょ
アーボンあたらしいビジネスはじめたかwww
アーボン司教のクエストやってる?
これヤームやな
アーボン、ライブ配信やらんか
いや、メイって人が撮ってるぞ
ちょ、調べたらメイってJK(女子高生)やぞ
まぢか!
アーボンとうとう一線を超えたか
通報案件やなwww
くそ、アーボン悔しいがうらやましい
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アーボンはネット上でどんどんバズっていった。
◆
メイとアーボンはヤームの街を順調に攻略していくと、また橋の上に戻ってきてしまった。
「アーボンさん、戻ってきちゃってない?」
「あれ? これさっきの橋だよなぁ」
「あ、でもあっちって行ってないよね」
「ほんとだ。じゃあ、あっち行ってみっか」
メイとアーボンは行っていなかったほうへ進むと、橋は行き止まりになっていた。
「あれ、行き止まりだ」
「ほんとだ」
ヒュゥゥゥウウ……
ズゥー……ン
「え?」
「ん?」
2人は物音に気づいて振り向くと、なんとアバラの骨がむき出しになった巨大なゾンビが立っていた。
「やばっ!」
「うわわわわ! いつの間に!」
アーボンは慌てて剣を抜くと、メイも杖を握って構えた。
「ギィャァァアアアアア」
ソンビが叫び声をあげると、アーボンはニヤリと笑って勢いよく突っ込んでいった。
「ははは、やっぱりコイツも動きが遅せぇ! メイちゃん、カッコ良く倒すところ写真撮ってよ!」
「え、あ、うん!」
「はっはっはー! アーボン様の強さを見よっ! とうっ!!」
アーボンは格好をつけて両手剣を片手で持ってジャンプすると、ドラゴンク◯スト2の外箱の勇者のようにゾンビに斬りかかった。
「おりゃぁああ!」
ブワッ!
スカッ!
「え?」
しかしなんとゾンビは素早くジャンプして消え、アーボンは剣を空振りした。
「き……、消えた?」
ズシャン!!
「ぐわっ!!」
その瞬間、ゾンビは空中から飛び降りてきてアーボンに大ダメージを食らわせた。
「うわわわわ! こここ、こいつヤバい! 速い!」
アーボンは恐怖に顔をこわばらせながら跳び退くと、両手剣を振り回してソンビをけん制した。
ブンブンブンブン!
「ギィャァァアアアアア」
それを見たソンビは、叫び声を上げてアーボンに向かって飛びかかってきた。
「う、うわぁああ!」
ガシャ……、ボワッ!
ガシャ……、ボワッ!
「ギィャァァアアアアア」
なんとその時、メイが豪炎の壺をゾンビに投げつけて怯ませた。
「やった! 公園の壺、効くじゃん!」
メイが壺を投げながら声をあげると、アーボンもそれを真似て豪炎の壺をゾンビに投げつけながらメイに言った。
ガシャ……、ボワッ!
ガシャ……、ボワッ!
「公園の壺ってなんだよ! それじゃただの不審物だぞ! ゴウエンのツボだって!」
ガシャ……、ボワッ!
ガシャ……、ボワッ!
「ええっ!? なにアーボンさん!?」
ガシャ……、ボワッ!
ガシャ……、ボワッ!
メイも豪炎の壺を一緒になって投げつけると、ゾンビの動きが止まった。
アーボンはそれを見ると燃え盛る炎の中へ走り込み、一直線にゾンビを狙った。
「おっしゃ、もらったー!!」
ダダダダダダッ
ズバッ! ズバッ!!
「ギィャァァアアアアア」
ゾンビは炎の中でアーボンの剣を食らうと、そのまま消滅していった。




