攻撃力6万5千以上
メイは大聖堂を出ると階段を降りながらアーボンに言った。
「アーボンさん、助けてくれてありがとね」
「え、ああ。あういうのは適当にヘコヘコしてれば大体解決するんだよ。はは」
「すご。めっちゃ大人」
「え、大人? そ、そうかな……」
2人はお喋りをしながらエストンレルトの外に出ると、アーボンの派手なモービルでコイン神父の居るヤームの街へと向かった。
ー ヤームの街 ー
2人はヤームの街に辿り着くと、街の異様な雰囲気を感じたメイがアーボンに尋ねた。
「アーボンさん、なんかこの街ヤバそうなんだけど。てか、あれゾンビじゃない? コイン神父ってヤバイ人じゃないよね」
「うん、おれも噂しか聞いたこと無いんだけど、コイン神父はヤバいらしいぞ」
「え、まじ」
「っていうか、ヤームの街自体がヤバいって言ってた」
「街が?」
「うん。ヤームの一部の人たちが謎の病気に感染して狂人ゾンビ化してるらしくて、プレイヤーに襲いかかってくるんだって」
「え、こわっ!」
「まぁ、でも来ちゃったし。とりあえず行ってみようぜ」
アーボンはそう言うと、先導するようにヤームの街へと入っていった。
◆
2人は街の中に入ると、たくさんのゾンビたちが不自然な歩き方で歩いていた。
「アーボンさん、街の人たち、見るからにヤバいんだけど。アーとか、ウーとか、ハワーイとか言ってるし」
「ハワイ? おいおい、どんだけご機嫌なゾンビなんだよ」
(実際はハワーイではなくAwayと言っていました)
バン!
「痛っ!」
すると突然アーボンが撃たれた。
「な、ななな! あいつら銃持ってんじゃんか!」
アーボンが慌てると、メイが急いで防御魔法陣を展開して言った。
「やば! このゲームで撃たれるとか超レアじゃない?」
「はあ!? あ、まぁ、そう言われるとレアだなぁ。撃たれた傷跡の写真撮っておこ」
カシャ
「え、わたしも撮っていい? ツイッタグラムにアップしたい!」
「いいよいいよ。みなさんには世話になったし、もう何枚でも好きに撮っちゃって。はは」
「やった、ありがと」
カシャ カシャ カシャ
そしてメイは、そのままツイッタグラムに投稿を始めた。
バン!
「痛っ!」
アーボンはまた撃たれた。
「ちょっ、メイちゃん! 防御魔法陣消えてんだけど!」
「あ、ごめん、投稿してて忘れてた! ってかアーボンさん、頭撃たれてるんだけど!」
「え、マジで? まぁ、HPそんな減ってないし、良いんだけど」
「撃たれて余裕とか笑う! 写真撮っていい?」
「……オッケーオッケー。このゲームで頭打たれるとかレアだしな。じゃあ、後で写真送って。おれも後でアップするわ」
「うん、わかった」
カシャ カシャ
ズシャッ ズシャッ
メイが写真を撮っていると、シャッター音の他にもっと重たい音が混ざった。
「あれ? なんか変な音する……?」
「メイちゃん! うしろ!」
「え?」
メイが振り向くと、大柄なゾンビが斧を振りかぶっていた。
「うわ、ゾンビ!!」
ブゥー……ン!
ガキン!
メイは慌てて防御魔法陣を展開して斧を弾くと、アーボンが飛び出して両手剣で斬りかかった。
「おりゃぁー!!」
ズバッ!
ドスッ!
「いって!」
アーボンの剣は敵のゾンビを切り裂いて消滅させたが、敵の斧が完全にアーボンの頭に刺さっていた。
それを見たメイは必死に写真を撮りながらアーボンに言った。
「やば! 頭に斧刺さってる! めっちゃシュール!!」
カシャ カシャ
アーボンは斧が刺さったまま回復薬を飲むと、メイに言った。
「メイちゃん、もっとカッコイイところ撮ってよー。敵を倒したところとかさぁ」
「あ、ちょっ! もう一回、回復薬飲んで! 斧刺さったまま飲んでるの、めっちゃシュールだった!」
「お、おう。こうか?」
「いいねー、いいねー! この写真アップしてもいい?」
「もちろん全然オッケーだよ。ってか、被写体おれでいいのか?」
「うん! めっちゃイイ!」
「え、まじて!? なら、見た人に笑ってもらえたらいいなぁ。ははは」
アーボンは腰に手を当ててポーズを取ると、だんだん楽しくなってきた。
「「あはははははは」」
その頃、マユとナミとおばあさんはお店でメイの投稿を見て大笑いしていた。
ーーーーーーーーーーーー
(アーボンの頭に斧が刺さった写真)
頭に斧が刺さってるって?はっ。君だってそんな日もあるだろう?
#シュール #斧 #ザ・フラウ
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「ちょ、メイの投稿!」
「ぅん。アーボン、なかなかやる」
「本当ね、アーボンさん大丈夫かしら」
「ちょ、ナミ、洋子ちゃん、前の投稿もヤバ!」
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(アーボンが頭を撃たれた画像)
え、撃たれてるって?はっ。撃たせてやったのさ。頭にな。
#シュール #撃たれた人 #ザ・フラウ
ーーーーーーーーーーーー
「「あはははははは」」
しばらくするとアーボンの画像はツイッタグラムでバスりはじめた。
その頃、メイとアーボンは順調に敵のゾンビたちを倒しながらヤームの街の中を進んでいた。
「アーボンさん、なんかさっきから一撃で敵倒してるけど、もしかして強いとか?」
「おいおい! おれは攻撃力6万5千以上だぞ!」
「え、それすごいの?」
「あ、そっか。僧侶は攻撃しないからな。ベンドレ師匠が6万くらいって言ってたぞ」
「まじで!?」
「でも驚くなよ……」
「え、なに?」
「おれは、めっちゃ弱い。まじで」
「はぁっ!? なにそれ!? 攻撃力あるのに?」
メイが驚くとアーボンは両手を頭の後ろに回して歩きながら答えた。
「いやぁ、なんか剣が当んないんだよね。攻撃もよけられないし」
「まじか! 剣士が剣当たらないってヤバくない?」」
「ははは、当たったら強いんだけどさぁ。だからベンドレ師匠と戦ったら速攻やられる。ははは」
「え、でも今まで敵を倒してくれたじゃん」
「だって、あいつら動きが遅いんだもん。でもこの街あんなヤツらばっかそうだし、楽勝だな」
「そっか、そうだよね。みんなゾンビみたいだし」
こうしてメイとアーボンは先に進むために橋の上にやってきた。




