ひろし、満面の笑顔になる
アーボンは顔をこわばらせて槍の雨を見上げていると、突然光り輝く防御魔法陣が幾重にも展開された。
ブゥゥウウン!!
「あっ、あれは大司教の!!」
ガガガガガガガガガガガ……
なんと、ゴーストが杖を高く掲げてアーボンの頭上に防御魔法陣を展開させていた。
しかしゴーストは大声で言った。
「恐ろしいほどの攻撃力です!! 防御魔法陣が持ちません!!」
それを聞いたおじいさん、イリューシュ、ナミが火薬玉と矢で槍を落としていった。
シャァァアアアアア……、ドガァン!!
シャァァアアアアア……、ドガァン!!
シャァァアアアアア……、ドガァン!!
ヒュッ……、ガガガン ガガン!
ヒュッ……、ガガン!!
しかし、
パァァアアアアン!!
「「あっ!!」」
ゴーストの防御魔法陣は砕けてしまった。
ズドドド……、 ブゥゥウウン!! ガガガガガガガガガン!
槍は数本アーボンに刺さったが、走ってきたメイが慌てて防御魔法陣を展開した。
「ちょ、良くわからないけど! あ、やば! もう魔法陣持たない!」
パァァアアアアン!!
「うぉぉおおお!」
そこへ黒ちゃんが滑り込むと、アーボンとハデスを守るように盾で槍を受けた。
ズドド……、ガガガガガガ、ガキョッ!
「くっ! 盾の耐久値が!」
ガラン……
黒ちゃんの盾は一瞬で耐久値を超えると、真っ二つに割れてしまった。
黒ちゃんは咄嗟に両手剣を装備して、アーボンと一緒にガードした。
「うおぉぉぉおおお!」
「ハデス――!」
ガガガガガガ……、ガガ……、ガ……、ガン……
すると光の槍は少なくなり、槍を放った巨大な魔法陣は次第に小さくなって消滅した。
黒ちゃんは槍の雨を受け切ると、両手剣も耐久値を超えて2つに折れた。
……カラン
しばらく静寂の時が流れると、アーボンは突然大声をあげた。
「あああっ!!! あ、ありがとうございます!! ありがとうございます、みなさん!! もう、悪いことはしません!!」
アーボンはみんなに向かって土下座をすると、ハデスも一緒に土下座をした。
アーボンはさらに額を地面に擦り付けると、涙を流しながら謝った。
「本当にすみませんでした!! みなさんに……、こんなに、みなさんに助けられて! うわぁぁあああん!」
アーボンが泣き出すと、それを見ていたアーボンの仲間たちは顔を見合わせて、その場から逃げていった。
ヒュゥゥゥウウ……
そこへヴァルキリーがフラフラと空から降りてきた。
トンッ……
そして静かに着地すると膝をついて倒れそうになった。
ガシッ
黒ちゃんは慌ててヴァルキリーの腕を持ち上げると、そのまま抱え上げた。
するとナミが走ってきてヴァルキリーの手を握った。
「バルキリちゃん!」
「あ……、ナミさん」
「バルキリちゃん、だいじょうぶ?」
「うん。ちょっと疲れただけ。うふふ。止められなくて、ごめんなさい」
「ぅうん、ゎたしがもっと早くぃわなかったから」
「ナミさん……」
◆
その頃ダンジョンの北通路ではベンドレが動けなくなり、士気の上がった敵を相手に劣勢の戦いなっていた。
ドガン!! ガキョッ!
「あっ!」
海は必死に敵の攻撃を防いでいたが、なんと盾が耐久値を超えて割れてしまった。
「おらぁ、死ねぇ!!」
「うわっ! みなさん、ごめんなさい!!」
ババッ!!
「あっ!」
「えっ?」
なんとその時、キツネ面のプレイヤーが突然現れて、海の盾を割った敵の騎士を一本背負いしていた。
ブワッ……、ズバン!!
「うげっ!」
ドスッ!
シュゥゥウウウウ……
キツネ面のプレイヤーは短剣でトドメを刺すと、敵の騎士を消滅させた。
大熊笹はキツネ面のプレイヤーの一本背負いを見て嬉しそうに手を叩いた。
「お見事! 美しい一本背負いでしたな!」
「ふふふ。大熊笹さんに言って頂けるなんて光栄です」
「おや? その上品な話し方と、その笑い方……、もしや、あなたは……」
「ふふふ」
すると、後ろからルルの声が聞こえた。
「なによ、けっこう押されちゃってるじゃない!」
ルルはベンドレところへやって来ると、腕を組みながらベンドレに言った。
「もう、何やってんのよベンドレ。奥の敵たちはキツネちゃんとわたしで倒したわよ。あとは任せて」
「すまない、ルル……」
ルルは両手を広げると、大声で言った。
「みんな危ないわよ! わたしの後ろに下がって!!」
ダダダダダダダダッ
みんなは急いでルルの後ろへ下がると、キツネの面のプレイヤーもルルの所へやってきて並んだ。
「いくわよ、キツネちゃん」
「ええ」
2人は同時に詠唱を唱えると、敵の騎士たちの足元と頭上に巨大な光り輝く魔法陣が現れた。
ブゥゥゥン!
ブゥゥゥン!
ルルはニヤリと笑うと、両手を上にあげて言った。
「さぁ、ショータイムよ! 最高の光の魔法を見せてあげるわ!」
ビカァァアアア!!
ズドドドドドドドドドドドド!!!
敵たち騎士の足元の魔法陣が光を放ちながら騎士たちを包み込むと、頭上の魔法陣からは無数の光の矢が放たれた。
「「うわぁぁあぁあああああ!!」」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
そして光の魔法陣が敵の騎士たちを飲み込みながら、どんどん収縮していくと、
「「「ぎゃぁぁあぁあああああ!!」」」
チュンッ!
シーン……
HPを減らしていた敵の騎士たちは一瞬で消滅していった。
ルルは胸を撫で下ろすとキツネ面のプレイヤーに言った。
「よかった、みんなHPが少なかったみたいね」
「ふふふ、そうね。でも、あなたの光の魔法は素晴らしかったわ」
「あら、キツネちゃんの光の魔法も極悪だったわよ」
「ふふふ」
こうしてベンドレたちもダンジョンのプレイヤーキラーたちを一掃した。
ー それから数日後 ー
「なぁめぐ、1番目なんて聞いてないよぉ」
「なに言ってるのよアカネ、わたしだって緊張してるんだから」
「え、ええと、ド、レ、シ、ド……」
「ふふふ、お客さんも集まってきましたね」
おじいさんたちは、やっと開催されたバンド・フェスティバルのステージに立っていた。
観客席にはG区画の家のメンバーやおばあさんたち、バリードレの翠たちやゴーストや社長たちなど、たくさんの仲間が集まっていた。
そしてみんながステージの上のおじいさんたちを見守っていると、会場にアナウンスが流れた。
『みなさん、こんにちは! 運営のタックです! さぁバンドフェスティバルが始まります! 今日は盛り上がってまいりましょーーう!!』
「「「わーーー!!!」」」
会場のテンションが一気に上がると、イリューシュがおじいさんたちに話し始めた。
「ふふふ。最初にバンドフェスティバルにエントリーした時は、こんなに色々な事が起こるなんて思ってもいませんでしたね」
するとアカネが笑いながら答えた。
「ほんと! でも楽しかったよな、めぐ」
「うん。わたし、バリードレの戦いでアカネと一緒に芝居したのが楽しかったな」
「あはは、そうだ! 敵のやつら、まんまと騙されたもんな。じぃちゃんは、やっぱり野球の試合だよな!」
「そうですね。ベスト・ピッチャー賞が何よりの宝物です。ははは」
するとイリューシュは笑顔になってみんなに言った。
「みなさんと出会えて本当に良かったです。これからも、よろしくお願いしますね」
「もちろんっす! まだイークラトとの試合もあるしね」
「わたしも、もっと魔法覚えなきゃ」
「いやぁ、この歳になって、こんなに楽しい日々を過ごせるなんて……。本当に皆さんに感謝です」
おじいさんたちが満面の笑顔で答えると、イリューシュがドラム・スティックを振り上げてみんなに言った。
「さぁ、スタッフさんから開始の合図が出ましたよ。ライブをはじめましょう!」
「「はい!」」
「行きますよ、One two three four」
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