ひろし、飛び乗る
ダダダダダダダダダ……
ナミとお母さんは敵がパニックになっている中を走り抜けると、そのままハデスを追いかけた。
すると次第に火の粉は消滅していった。
その様子を見ていたロビは、何が起こったのかを理解すると、みんなに話した。
「あのララガは賢いですね。爆発すると見せかけてパニックを起こし、囲まれた敵を突破しました」
ロビは展開した防御魔法陣を消滅させると、後ろから突然大声が聞こえた。
「ベンドレさん、覚悟!!」
ドスッ!
「くっ」
なんとタケチが混乱に乗じて猛毒属性の剣をベンドレに突き刺していた。
しかし次の瞬間、
ズドッ!! ズバッ! ズバッ!
ベンドレの連続攻撃がタケチを切り裂いた。
「足止めは……、できたか……」
シュゥゥウウウ……
タケチは消滅していった。
ロビは慌ててベンドレに毒解除の魔法をかけたが、効果を低減させることしかできなかった。
「猛毒か……。動くとさらにHPが減る……」
ベンドレは全回復薬を飲みながらロビに言った。
「不覚でした。しばらく私は動かずに全回服薬を飲み続けなければなりません。申し訳ありません」
するとその様子を見ていたアーボンの手下の1人が大声をあげた。
「タケチさんがベンドレを足止めしたぞ! タケチさんの捨て身の攻撃を無駄にするな!!」
「「おおおお!!!」」
アーボンの手下たちは一気に士気を高めると、一斉に襲いかかってきた。
その頃、マユは時計台にリスポーンしていた。
「いたたたた! いったぁー!」
マユは痛がりながら立ち上がると、なんと目の前にメイがいた。
「あれマユ、どうしたの痛がって」
「あ、メイ! はは、敵にやられちゃって。それよりメイ、何でここに?」
「え、いまログインしたとこ。てか敵って?」
「うん、ベンドレさんたちとプレイヤーキラーのアジトに行ってたんだけど、ハデ……、なんだっけ? にやられちゃって」
「ハデな人にやられたの?」
「うん、ええと、まぁ、そんな感じ」
「そっか。とりあえずお店行こうよ。美味しいもの食べて元気になろう!」
「う、うん。そうだね」
マユとメイは一緒にお店に向かった。
2人がお店に着くとおばあさんと和代が店番をしていた。
「こんにちはー」
「あら、マユさんメイさん……。あら、マユさん元気無いわね」
おばあさんがそう言うと、マユは苦笑いしながらおばあさんに言った。
「敵にやられちゃって。はは」
「あら、それは辛かったわね」
「うん……。あ、ひろしさんも一緒の作戦で戦ってたんだけど……。でも、わたしはやられちゃって。ナミも頑張ってるんだ」
「まぁ……。今どこかで戦っているのね……」
おばあさんが心配そうな顔をすると、マユはおばあさんに説明した。
「ひろしさん、頂上決戦の試合が終わったらエストンレルトのダンジョンへ行く予定になってて、ナミは一緒にダンジョンで戦ってて……」
するとメイがマユに聞いた。
「え、ナミも戦ってるの?」
「うん。でもベンドレさんとか強い人たちと一緒だから大丈夫だとおもうんだけど……」
「でも強い人たちと一緒だったマユがやられたんだよね」
「え、あ、うん」
「それって、ナミもやばいよね?」
「あ、そっか……。そうだよね! やばいよね!」
「わたし、ナミ助けに行く! どこ?」
「え、本気!?」
「だって、わたし僧侶だよ。防御してあげられるし!」
「そ、そっか。場所はエストンレルトの東のダンジョンだよ」
「え? どこそれ?」
「どこ? えっと……。ごめん、わたしもモービルで乗せてってもらったから、場所わからないかも……」
「え、まじ?」
メイが固まっていると、おばあさんがメイに言った。
「もしかしたら猫ちゃんなら場所を知っているかもしれないわ」
「あ、そっか。さすが洋子ちゃん!」
するとそれを聞いていた和代がおばあさんに言った。
「洋子さん。洋子さんもひろしさんが心配なんじゃない? わたしが店番していますから、メイさんと一緒に行ってきてください」
「和代さん……」
「大丈夫よ、そろそろ哲夫さんも戻ってくると思うし、美咲ちゃんもそろそろ砂漠から戻ってくるわ」
「和代さん、本当に良いんですか?」
「もちろんよ。早く行って差し上げて」
それを聞いていたマユもおばあさんに言った。
「洋子ちゃん。わたし、やられてステータス0になっちゃったから代わりに店番するよ。行ってきて!」
「マユさん……」
こうしておばあさんとメイは転移魔法で黒猫が店番をしているシャームの2号店に転移していった。
そして黒猫に事情を話してドラちゃんに店番を任せると、メイと一緒に大きくなった黒猫の背中に乗ってエストンレルトの東のダンジョンへ急いだ。
◆
その頃、ハデスはダンジョンから抜け出し、アーボンの元へと向かっていた。
「アーボン様!」
「ハ、ハデス!! おまえHPが!」
「大丈夫です、アーボン様をお守りします! はやく毒属性無効の防具を!」
「わ、わかった!!」
アーボンが慌てて毒属性無効の防具を装備すると、ハデスは両手を上にあげて紫色の雨雲を呼び寄せた。
その時、洞窟から飛び出してきたナミは大声でみんなに言った。
「猛毒の雨くる!! ぁぶない!!」
紫色の雨雲を見たアーボンの仲間たちは申し合わせたように毒属性無効の防具を装備すると、ナミとお母さんもダンジョンの入口へと戻った。
おじいさんは紫の雨雲を見ると、みんなに向かって大声で言った。
「みなさん、モービルの中へ! 猛毒の雨が降ります!」
すると軽トラの近くで戦っていたアカネとめぐは急いで軽トラに乗り込んだ。
ゴーストは高級車のモービルを出現させると、イリューシュと黒ちゃんと一緒に乗り込んだ。
そしてゴーストはモービルを加速させると、少し離れたおじいさんの横に止めてスライドドアを開けた。
ザザァァアアア!
「はやく乗ってください!」
「はい!」
おじいさんはゴーストのモービルに飛び乗った。
するとその瞬間、
ザァァアアアアアア
猛毒の雨が降り注いだ。
その時、アーボンは残りの仲間たちに指示を出した。
「おい! あいつらはモービルから出れねぇ! 先にあのテイマーとララガを片付けるぞ」
「「おおぉ!」」
アーボンと仲間たちはダンジョンの入口にいるナミに向かって一斉に突撃していった。
それを見たゴーストはアーボンたちをモービルで追いかけた。
軽トラに逃げ込んだアカネとめぐは運転ができなかったが、アカネが運転席に座ってエンジンをかけようとした。
「たしか、家の車もこの鍵を回してたな」
アカネはエンジンキーを回してみたが、アカネの視界に警告が表示された。
『未成年者は運転できません[海外で取得した場合はこちら]』
「あ、だめだ!」
するとめぐがアカネに言った。
「とりあえず、雨が止むまで待ってようよ」
「そっか、しかたないな」
めぐとアカネは軽トラで待機した。




