~10花見会議
あれから、大通り公園の中央テント前にはパトカーや救急車、警察官や救急隊員、野次馬で溢れていた。
テントのパイプ椅子に座りながら回転灯の赤い光を眺めていると、パトカーの隙間を縫う様に三左さんと灰色のベストを着た男が此方に歩いて来る。
(…灰色の制服は確か、業務課だったから事件の調書かな?)
二人はテントの中に入ると辺りを見渡し、俺の処へやって来る。
「蟹、遅れてごめんなさい。詳細は三右から聞いたわ。お疲れ様…学園から直行しようとしたら業務課に捕まってね…此方は業務課の黒沢健人主任。捕縛課担当で狩りの後処理や、事務等の管理をしています」
「初めまして、黒沢です。何時もは業務棟で事務処理をしています。今回はSSSクラスの捕縛があったため、詳細を御聞きしたいと思い、夏目副課長に同行させて頂きました」
「そうですか…分かりました。何が知りたいのですか?」
「夏目副課長にも御聞きしたのですが、死角、村沢大介の目的です。三つの学園でS指定を受ける男の目的を知りたいのです」
「俺も詳しくは知りませんが、今回の集団の目的はエリスの誘拐です。誰に依頼されたかは司法課に引き渡した死角に聞くしかないですが、奴の性格から依頼が高額で、戦闘好きでムラがあるにも関わらず、生け捕りを指定出来る影響力を持つ人物が依頼者なのは確かですね…」
「無登録武装集団三十人と言うだけで依頼金はかなりの額になるはずです。しかもランク的にSSS一人、Bクラス七人、Cクラス二十二人(死亡五人)を雇うとなれば、余程お金に余裕があるのですね、此方に分けて欲しいです……それではまた、どうも有難う御座いました。」
そう言って黒沢はテントの外へ出て行った。
三左さんが黒沢が出て行ったのを確認して、俺の処へ近づき小声でエリスの容体を聞いて来る
「蟹、銀拳の容体は?」
「軽い刀傷と、打撲ですね、今、大剣に付き添われて救護班の治療を受けています。多分そのまま帰れると思います」
「そう、良かったわ」
「今の黒沢さんでしたか?何か有りそうでしたね」
「表面上は事務的だけれど、腹の中は違うのでしょうね…余りタイプじゃ無いわ……」
「今回の集団は多分、内通者がいると、思います。無登録の集団を囲える程の奴が……」
「少し心配ね…学園も一枚岩じゃ無いし、今は情報の共有をして、有事に備えましょう」
そんな事を三左さんと話していると、奥のカーテンが開き、大剣に付き添われたエリスが出て来る。手足に包帯が巻かれているが、一人で歩ける姿に安心する。
「蟹、お待たせ。後はもう帰って良いそうだ」
「そうか。それじゃあ三左さん、銀拳送ってきます」
「了解。大剣、蟹、お疲れ様。」
中央テントを出て南口を出ると杏子さん達と友一達が待っていてくれていた。
「おーっ、やっと来たな!」
「お疲れ〜志緒、エリスちゃん」
「翼もお疲れ」
「アープさん!白いお肌が包帯まみれに!許せない!」
「さあ、志緒君、帰えろう」
「みんな、待たせてゴメン」
「……アリガト」
色々あった一日だった……
笑顔で迎える仲間達と夜桜を眺めて家路に着く。
皆と笑顔でいられるなら、たまにはこんな日も悪くない。
死角捕縛の翌日、捕縛課のメンバーは公園の花見会場にいた……
「皆、昨日はお疲れさん。今日の経費は、警備課と業務課持ちや、追加注文は会計の錐ちゃん通さんと、自腹やで!沢山食べてや!かんぱ〜い!」
「うお―っ!!」
「やったぁーッ」
「流石、課長!」
昨日の警備依頼と死角、SSSクラスの捕縛の功績を早朝の会議中に業務課から感謝され、三右さんの交渉により慰労会を開く事になった。無登録武装集団が暴れた事を不安に思う市民に安心感を与えると言う名目の基、花見の飲食代を業務課に支払わせる事に成功した三右さんは上機嫌だ。
下は初等部から上は大学院までの生徒の食欲は半端な量では賄えない。一回の夕食付の会議でさえ、出費は馬鹿にならない。只でさえ捕縛課は狩りの最中に色々壊す事が多いので経費の三分の一は破壊した箇所の修繕費に消えて、会計担当を悩ませている。
「ねぇ、志緒君。私達もお呼ばれしたけど、良かったの?」
少し心配そうに尋ねる杏子さんはいつもの売り子スタイルだ。
「ええ、三右さんと、課のメンバーがどうしても呼べと…」
今日の花見会には、杏子さん達も避難誘導協力者として、捕縛課権限で参加して貰っている。
(……本当は昨日モニターで俺達の花見を見ていた鉄槌や斧や足枷が、俺と三右さんに懇願したからだ………)
昼休みに捕縛課は会議室に招集され、三右さんから今日の午後は花見会をする事を告げられる。皆、歓声を上げ、大喜びしたが、鉄槌が神妙な面持ちで手を上げる。
「三右さん、蟹の友達が避難を手伝ってくれたのでその人達もお呼びたいのですが宜しいですか?」
「昨日は避難が早かったから花見客の人的被害はゼロやし、そう言われると、確かにそうやね……良いんちゃう」
「有難う御座います。蟹!杏子さん達を呼んでくれ!」
「えっ?杏子さん達だけですか?クラスの友達も手伝っ……」
「「「杏子さん達だ!!!」」」
「…足枷と斧まで……あの…何故?」
「お話したいからに決まってるだろぉぉ!」
「テメェだけズリぃいんだよ!」
「戦斧で割るぞ!お願いします!」
「花見くらい、自分で誘ってください!」
「それが出来たら苦労しねぇぇんだよ!」
「持つべき者はモテない者の気持ちすら理解出来まい!ぶっ殺すぞ!」
「……タラシは死なない…年下好きだから…………」
「そっ、そうです!蟹さんを年上好きに引き込む輩は…吊るします!」
「くッ…鎖がぁ!ぎゃああぁぁー!巫女ちゃん!ヤメテェェー!」
「…皆さん、静かに……それでは我々捕縛課と避難誘導協力者の鈴木杏子さんと氷馬朝花さん、警備課を代表して佐々木楓さんでいいかしら三右?」
「それで、良いんちゃう?三左」
そんなやり取りがあった後で杏子さんに連絡を入れ、こうして花見をしている
捕縛課は昨日の出動メンバーと緊急招集されたメンバーの他にも課に余り顔を出さないメンバーもタダ飯に釣られ、三十人程が集まっている。
三右さんの乾杯の挨拶が終わり、準備された飲み物や料理に群がるメンバーを見ながら杏子さん達にに昨日の謝罪をしながら飲み物を勧める
「杏子さん、楓さん、朝花さん、昨日はすみませんでした。その代わり今日は楽しんで下さいね。後で課のメンバーも話したいそうなので紹介しますよ」
「えっ?本当?紹介してくれるの!」
「良かったな、朝花。捕縛課ならお前好みの男もいるだろうさ」
「…因みにどんなタイプが好みなんですか?」
「マッチョよ!筋肉よ!!私を守ってくれる鋼の肉体よ!!」
「フフッ。志緒君、朝花はね〜筋肉主義なんだよ」
「それなら期待に沿えると思います。うちは筋肉質(脳まで)な人、多いですから…」
「うおぉッ!期待しちゃうぞ!」
視線を朝花さんの後ろへ向けると鉄槌達が手招きしている………早く紹介して欲しい様子だが、取りあえず三右さん達の処へ行ってからにしよう。
三人を連れ三右さんの処へ行くと、三左さんと錐、四剣が集まっている
「課長さん、鈴木杏子です。今日は御誘い有難う御座います。」
「あっ、店長さん〜今日は来てくれて有難う。此方に座って!嬉しいわ〜三左、楓さんも来たでぇ〜」
「楓さん、ご無沙汰してます」
「三左、久しぶりだな。お前が捕縛課に移動してから余り話せ無かったからな。呼んでくれて有難う」
「占術師の朝花さんですね。初めまして、会計を務める錐です。駅前の占い館の繁盛ぶりは素晴らしいです。此方は四剣。朝花さんのファンなんですよ。何時も占いに並ぶのにその度に出動して、まだ占って貰えないんです」
「ちょ、華ちゃん!…はっ、初めまして四剣、中町恋です。お会い出来て光栄です!」
「なっ、何か…照れるわね……よし!未だなら今日は特別に占ってあげるよ」
「朝花は照れ屋だからな」
「うっ…うるさい!楓ッ!」
「あっ…有難う御座います!」
朝花さんの占いが始まり、女性陣の華やかな空間に取り残れた志緒は、その空間を見詰める男性集団へ移動する。
「そんな処で集まって無いで、話し掛けたらどうです?」
「ばっ、馬鹿野郎!あの空間は無理だ!」
「早く、此方に呼んで来い!」
「何を話せば良いのだ!」
「……取りあえず…杏子さんにはパンの話題、楓さんには普段の生活の話題、朝花さんはマッチョ好きらしいので自慢の肉体でも披露したらどうですか?」
「それなら何とかなりそうだ!」
「パンは購買で買ってるから話し易そうだな」
「俺の自慢の筋肉で、虜にしてやるぜ!」
「…そろそろ、呼んで来ますね」
「蟹!頼んだぞ!」
「脱いで待ってるぞ!」
杏子さん達の処へ戻ると、四剣と錐が嬉しそうに、占いの結果を見せあっている。三右さんに断りを入れ、杏子さん達を鉄槌達の処へ連れて行くと花見シートの上に椅子が三つ並んでいた……
「杏子さん!楓さん!朝花さん!御待ちしてました!どうぞお座り下さい」
「あっ、有難う御座います」
姫をエスコートする騎士の様に三人を扱う男達に杏子さんは緊張気味だし、楓さんは平然として、朝花さんは大喜びだ。
そんな三人に、鉄槌が先頭に立ち、片膝を付いて自己紹介を始めると、次々と三人の前に出ては頭を下げる。
まるで王宮の謁見でも見ている様だった……
一通りの紹介が終わると、今度は個別に三つのグループに分かれて、各個撃破する作戦の様だ。
一番人気は杏子さんで、パン話で盛り上がっている。朝花さんには上半身裸の筋肉自慢がポージング大会を開催し、朝花さんは大興奮して筋肉を触り捲りだ……
(…茜がいなくて本当に良かった………)
以外だったのは楓さんだった……周りにいる男達は近寄っては離れて行き、少しすると近寄って行く。集まる男達は楓さんに何か言われ、睨まれると嬉しそうに何処かへ行って屋台料理を持って帰って来る。
多分これが昨日の大量の料理があった原因だろう……
暫く眺めていると、いきなり身体に鎖が巻き付き、引き寄せられる。その方向を見ると鉄巫女と投石機の後ろに手足に包帯を巻いたエリスがいた。
「蟹さんを捕まえました!」
「目標捕獲成功」
「…ご苦労様」
「コラーッ!兄ちゃんに何すんだよ!」
「円盾、助けてくれ」
「兄ちゃんに助けを求められるなんて!俺、頑張るよ!……おい!鉄巫女!兄ちゃんを離……ギャアアァ――ッ」
「……あら?こんな処にミノ虫がいますよ。投石機さん、的にしましょう」
「………鉄巫女」
「あっ…冗談ですよ!蟹さんとお花見したくて、銀拳さんと呼びに行こうとしてたんです」
「……もふもふ」
そう言えば綿菓子を奢る約束をしていたのを思い出す。
昨日はあの後、屋台は閉まってしまい買え無かったのだった……折角、前の学園から追っていた死角も捕まえた事だし、御祝いくらいしてあげたい。綿菓子では安過ぎるが……
「約束してたもんな。よし!買いに行くか。鉄巫女と投石機も一緒に行くか?」
「……もふもふ、楽しみ」
「はっ、ハイ!喜んで!」
「行くよ。円盾君、ちょっとイカ焼き買って来るから、待ってて」
「こら!眼鏡ブス!俺がイカ焼き嫌いなの知ってるだろ!鉄巫女!降ろせよ!」
「あら?ミノ虫が喋ってます。気持ち悪いです。蟹さん早く行きましょう」
「待って!兄ちゃん!助けて〜」
「…済まない、円盾。俺も縛られてる……」
「……行こう」
エリスに鎖を引かれ、吊るされてる円盾を置き去りにして四人で屋台に歩いて行く。
女の子三人に囲まれて歩くのは嬉しいのだが、鎖で縛られているのでどう見ても捕縛課のメンバーに連行されている犯人にしか見えない……
綿菓子の屋台に辿り着くとエリスは棒の先に巻き付く綿菓子を目を輝かせ見ている。
やっと鎖を外してもらい、身体を解して一息吐く。
「……おじさん、白とピンクお願い」
「わっ、私は青いのお願いします」
「私は白いの」
それぞれが注文をすると店主は手際良く綿菓子を作っていく
「兄ちゃん、彼女が三人もいると大変だな!ガッハハハ!」
「そっ、そんな〜彼女だなんて〜照れます」
「目標、一夫多妻」
「…タラシ」
「……ハハハ」
愛想笑いを浮かべ会場へ戻ろうとすると、投石機が鉄巫女の手を握り此方を見る
「イカ焼きを買うのでちょっと鉄巫女さん付き合って下さい。蟹さんは先に戻って円盾君を降ろしてあげてね」
投石機はそう言ってエリスに耳打ちをして鉄巫女を引っ張り屋台へ歩いて行く。エリスは綿菓子を食べながら、此方を見つめている。
「姫サン、何かあったの?」
「……ううん、行こう」
屋台の通りから離れ二人で並んで歩いて桜並木に差し掛かるとエリスは桜の樹の下で振り向く。
少しうつ向いたエリスは、何か言おうとしているのか、此方を見ては、またうつ向いてしまう………
暫くして、顔を上げたエリスは此方を見つめ喋り始める。
「………志緒に…御礼を言いたい……」
「……御礼?綿菓子の?」
「……昨日の事…」
「死角の事か?別に良いよ。」
「……でも、聞いてほしい…の…」
「……分かったよ。言いたい事…あるんだろう?」
エリスにしっかりと向き合い、視線を合わせる。
「……志緒、昨日、私が死角に連れ拐われる時に助けに来てくれて…アリガトウ。あの時私は、前の学園から追い掛けてきた死角を、捕まえる事しか考え無かった……B班の皆がいたのに……死角とこの街で出会った時、昨日の狩りの最中、捕まった時も通信機を使わなかった……私は一人で戦っていた…志緒も三右も大剣も鉄巫女も皆いたのに……………………………………初めて志緒に会って……戦ったあの日……志緒は言ってくれたよね………お前は一人で頑張り過ぎだ。誰を捕まえるか知らないが、今度は俺がいるから…二人で捕まえよう…………嬉しかった……前の学園では誰もそんな事言ってくれなかった…自分の事しか考えない人達ばかり………そして、私も……ゴメンナサイ……少しも志緒の言葉…わかって無かった……………」
エリスの白い手に握られた綿菓子が頬を伝う涙で溶けてゆく……
「………でも、あの時…志緒が…皆が来てくれた時……嬉しかった……凄く…嬉しかった……その時…わかった…志緒の言った…………前の学園…ではわからなかった……言葉の意味が………だから…アリガト…志緒………アリガト…ウ…………」
涙を流し、嬉しそうに笑う笑顔が志緒に向けられる。
エリスの涙を指で払い、志緒も嬉しそうに笑うと、涙を払った指でエリスの頬を摘まむ。
「ひっ、ひお…!」
「やっと、わかったか…バカ。次は、ちょっとは頼りにしてくれ………ほら、綿菓子溶けちまったから、買いに戻るぞ!」
「……うん…アリガト。志緒…」
桜並木を二人で屋台へと歩き出す。
微笑むエリスを見ながら桜を見渡すと薄紅色の花は、さっきより綺麗に咲いていた………
「…プフッ……蟹さんは照れ屋ですね。心配無用でした」
「ヘタレ蟹さんです」
「蟹の奴、チューくらいした方が盛り上がるんちゃう?」
「ク~ッ!志緒君!押しが弱いのか、意思が強いのか分からないぞ!」
「銀拳さんの涙笑顔!恐ろしい破壊力です!」
「三右、錐ちゃん。余り覗くのは良くないですよ」
覗かれていた…………………桜並木の桜の陰に、鉄巫女達と、花見会場にいた杏子さんと三右さん達が幹から顔を覗かせている…………
「……何やってるんですか?」
「…蟹、そんなおっかない顔せんでいいやん」
「何故、此処へ?」
「買い出しです。最初に準備していた料理は食べ尽くしたので…」
「あの量がそんなに早く無くなる訳無いでしょ!」
「御一人心当たりありませんか?」
「…………大剣バカ!」
「まあ、蟹。あっち見てみぃ」
三右さんの指差す方向に目を向けると、桜並木の反対側の植え込みから顔を出した男達が泣いていた……
「健気だぞ!銀拳!」
「ポイント高いよ!」
「…凄く…嬉しかった……クッ!俺も言われてみたい!」
「押しが足りないぞ!この、チキン野郎!」
「リア充…死すべし!」
「俺も、ホッペ摘まみたいぜー!」
「この、ヘタレ野郎!」×6
「…あれッ?…蟹?何それ?何で腕輪とグローブ付けてんの!?……ギャアアァ―――!!」
「ぐぎ、ぎあぁーッ!しっ、絞まるぅー!」
「あっ…ナッ、何か!目覚めそうだ!」
覗き魔を吊るし上げ、志緒達は会場へ戻って来た。
覗き見に来なかったメンバーは不機嫌な蟹と、真っ赤になった銀拳を宥めている三右達を不思議そうに眺めていた。
「蟹?どうしたんだ?」
「くッ、お前のせいだ!底無し翼ッ!」
「楽しくご飯を食べてる私に文句があるとは……銀拳に…何かしたの?」
「なっ、何でも無い……」
「大剣のお陰で面白いもん見たっちゅう事や。アハハハ」
「……底無しバカ」
「銀拳!私ッ、何か悪い事したの!?」
「……しッ、知らない!」
「そんな…銀拳!このお好み焼きでも食べて機嫌直して!」
「お前は、もう食うな!」
「嫌だ!どんなに食べても文句を言われない機会なんて逃す訳にはいかない!」
「文句言ってるだろ!」
「例え、目の前に空腹で倒れた人がいても、私は食べる!」
「凄く酷い人がいる!!」
「……恐ろしい女」
「蟹さん、そんなエンゲル限界突破女なんて、放って置いて此方でイカ焼きでも、食べましょう」
「……エン破女」
「…上手い事言った、みたいな顔するな!」
「酷いよ!エリス!もう、ヤケ食いするしかない!」
「もう、食うな!」
涙目になって食べ始める大剣を放置して、円盾を降ろし、俺達もゆっくり食べ始める。 さっきのエリスとの話しから、やっと落ち着いて周りを見渡せば、杏子さん達やメンバーも笑顔で花見を楽しんでいる。
シートに転がり、満開の桜を見上げる。
「綺麗だな…」
「……うん…綺麗」
「ヤダッ、蟹さん!照れちゃいます…」
「おい、チビ。兄ちゃんは桜に言った…グフッ!」
「円盾君、大丈夫?」
捕縛課のメンバー達は舞い散る桜の下、賑やかな宴を楽しんでいた。




