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魔法とは魔術とは

「生きるなら来い」


人間がタオルでしっかりと顔の汚物を拭い、ついでに新しく入れ替えた水で制服の血を粗方落としたのを確認し、草を踏む。

木々が生い茂る中翼で飛ぶなど、寧ろ翼が引っ掛かって邪魔臭いので徒歩で進む。

翼は当に収納済みだ。


少し歩めば後方から人間が追って来た。


「なぁ、アンタ、誰なわけ?で、ここ何処?それからさっきの可愛げの欠片もないハイパースライムキング何。さっきの火は魔法でおk?てか、なんで俺ここに居んの。帰れるわけ?これからどうしよう」


どうやら吹っ切れた、というより、傷心の人間に対する俺の無体にとりあえず頭を切り替えたらしい。

人間は俺を相手に情報の搾取を始める。

俗にこれを質問攻めというのだろう。


「一つ、俺は魔王だ」

「は!?」

「二つ、ここは俗に胃世界と」

「いやいやいや、ちょっと待てぃ!何さらっと流してんだよ!なんだその重要ポジ!さらっと爆弾投下すんなよ!」


人が親切に答えてやろうとすれば、台詞を遮る。


「魔王ってアレだろ!?世界は俺様のものだ!蠅共よ!ひれ伏せぃ!ってやつだろ!」

「……随分と頭の悪い魔王だな。」

「いや、だって、魔王じゃん。王道的悪役じゃん。そんなどん引いた目で見んといて」

「魔王像など人の妄言だろう」

「そうですけども」


人間に溜息を吐かれた。

寧ろ溜息を吐くべきは、勝手に妙なレッテルを貼り付けられた俺だと思うのだがどうだろうか。


「あー、えっと、魔王、魔王な。アンタ、マジで魔王なわけ?」

「マジで魔王だ」

「……真顔でマジとか言うなよ……」


キャラにあってねぇと言われた。

そんなものは知らん。


「なんでその魔王様がここにいらっしゃるの?」

「他の質問はいいのか」

「こっちのが気になるんで、先にこっちの回答を願います、魔王様」

「魔物=悪方程式払拭の為、魔王という肩書の元、一日一善を」

「アンタマジで魔王?」

「しつこいぞ人間」


また遮られた。

さくさくと草を踏む音が心地良い。


「じゃぁ、魔王って何」

「人間の妄言に登場する、魔界の主、悪の化身」

「いや、そっちでなく、アンタのことだって」

「魔族」

「アッバウト」

「魔王に当て嵌められた魔族」

「アリガトウゴザイマス」

「構わん」


人間が溜息と共に項垂れた。

溜息を吐くべきは俺だというに。

ボケキャラがどうのと言っているがそれは俺のことか?

それならばよく僕達にも言われる。

そんなつもりはないのだがな。


「次の回答に移るぞ。ここはお前の居た世とは別の世。つまりは異世界。弱小国イルラド南端部、果ての森だ」

「異世界……イルラド……果ての森……ですよねー」

「何がだ」

「やっぱ異世界ですよねーって」

「そうだ」


何を今さら。

俺の翼もあのスライムも魔法も見たろうに。


「次は先のスライムについてだ」

「お願いします」

「アレは魔物、魔獣という。要は魔力を持った獣だ。人により魔力を持ち、なおかつ獣の姿をしたモノを魔獣、先のスライムのような獣とは言い難いモノ、植物型等を魔物、俺のように人の姿を持つモノを魔族とする者、魔に関するモノ全てを総称し魔物とする者、魔族を人型、他を魔獣、または魔物とする者など、そのあたりは大分曖昧だが、人間の間では最後の説が一般的だ」

「アンタらの間では?」

「さして拘りはない。悪魔、吸血鬼、龍、妖精等の種別意識がある程度だ」

「へぇ」


種別意識がある程度、とはいえ、多種族を悪魔と一括りにしている悪魔種や龍種、妖精種等には、悪魔種インキュバスやら、龍種ワイバーン、妖精種コロポックル等、更に細かい区切りがあるのだが、まぁそこまで詳しい説明は必要ないだろう。


「えーと、あと俺何聞いたっけ?」

「魔法、この世に居る理由、帰還手段、これ以降の動向についてだ」

「よく覚えてんね」

「人とはつくりが違うのでな」

「自慢か」

「事実だ」


どうにも抜けた会話が続く。

僕らと話しているようだ。

この調子であればおそらく僕らとも、被害者の会会員とも気が合うだろう。

先は安泰だな。


「人間では魔法の原理についての情報は処理しきれんので割愛するが、要はお前の世界にあるRPGと同じだと思えばいい。個々に宿る魔力を対価に発火等、対価に見合った現象を起こす。魔力が尽きれば魔法は使えん。生命力を莫大な魔力に変換し、魔法を行使することも可能だが、それをすれば死ぬ。逆にいえばそれさえせねば魔力が尽きようが死ぬことはない。倦怠感はあるがな」


そこまで述べ、人間が首を傾げる。


「火をおこす、水を生む、の違いはどうやんの?」

「起こしたい現象に沿い、原理を構築すればいい。要はイメージだ」

「じゃあ、原理の情報が処理できない俺には残念ながら使えないってわけか」


後頭部で腕を組み、少々不満そうな顔をする人間。

やはり魔法という概念がありながら魔法が使えない世界の人間というものは、一度でいいから魔法を使いたいと願うものらしいな。

幾人かの勇者もこの人間と同じ反応を示していた。

となれば、こののちの反応も等しいものだろう。


「我らは本能により原理を理解し、魔法を行使する。その脅威に対抗するため人がとった手段は一つ。自らが魔法を使うことだ」

「でもさっき使えないっつたじゃん」

「魔法はな。しかし何か術があるはずと、人は我らを捕え、研究し、情報を集めた。惨いものだったぞ。そしてついに人間は我らの手により詠唱という手段を得た。原理の一部を言の葉により構成し、魔法に近しい術を行使する。原理の一部のみを抜擢し構成するこれは、魔法に比べ相当の魔力を要するうえ、燃費も悪い。しかしそれでも人間にとっては大きな武器となった。それが魔術だ」

「……素直に喜べない言葉がちらほらあったんだが」


魔法ではないが、魔法に近しい魔術が使えるとわかったというに、どうにも納得のいかない顔の人間。

やはり他の勇者と同じ反応だ。


確かに魔族の中にもこれが原因で人間を毛嫌いするものは多い。

黄金はその代表だ。


しかし、俺は多くの魔族が犠牲になったからこそ、この術を無下にしてほしくはないと思う。


「魔術を戦の道具に使われるのは俺も好かん。しかし、人が何かを守るための術になるのなら、死した者達も浮かばれよう。使う、使わないはお前の自由だが、彼らの命を無下にすることはしないでくれ」

「……あぁ。分かった」


使う、使わないにせよ、この人間は魔術を無下にはしないだろう。

この顔は、あの勇者達と同じ顔だ。



未だ僕数人の名前しか出ていません。

何ということでしょう。


少なくとも少年の名前を出してやらなくては……!


そして続く謎のシリアスもどき。

何処へ向かっているのですか魔王様。


ふと思ったのですが、前話に関して、残酷描写警告は必要でしょうか?

作者としては微妙なラインだと思うのですが。

不快に思われた場合はご一報ください。

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