番外編 石の上にも
「外に結界か……」
「ハ! イカガイタシマショウ?」
我に跪く同胞に視線を落とす。
こやつは動きはいいが知性の伸びがイマイチだな、側付きとしてはちょうどいいが。
「放っておけ、どうせしばらくは待ちの一手だ」
そう言って肉を丸めた団子を口にする。
腐ってきているが、肉体維持にはあまり関係ない。
「しばらくはこのスマートフォンなる板で時間を潰すさ……」
そう言って以前攫った人間の持ち物を同胞に見せる。
「結界、同胞、あの神に味方する同胞か……ふむ、一体だけならば敵ではないな……」
あの結界はおそらく我々の動きを察知する為のもの、新たな人を調達すればすぐにバレるだろう。
そんなことを考えながら、スマートフォンにあったアプリケーションの将棋を起動する。
全く、人間という生き物は面白い。
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動かなくなったな、この建物には電気も来ていないし、モバイルバッテリーも底をついた。
「貴様、将棋のルールは覚えたか?」
「ハ! ワカリマセン!」
今から外に出て警戒心を煽るのは良くない。
「暇だな……」
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外で何やらうろちょろしている人間どもが見える。
「部下どもには手を出すな、と厳命しておけ……どうせ中には入って来ない、入ってくるならば生け取りにして構わん」
用意したバリケードの隙間から外を覗く。
〈如月〉と書かれた服の連中が敷地の境にフェンスを立てている。何と読むのかはわからんし、そもそも我々にとってあの程度意味はない。
「一匹ぐらいもらってもバレないか……?」
一瞬よぎった邪念を首を振って祓う。
そういう考えなしの行動が後になって響くと将棋で散々学んだだろう。
「あの青い女が厄介なのだ、補給源になりうる人間を手元に置いておきたくない……」
あれは我々と同じ、食ったものを力に変える手合いと見ている。
前回のように非常食が手元にある状態の奴に仕掛けるにはリスクが高い。
だからこそ、こうして我々は食糧を減らしながらあいつ自身が乗り込んでくるのを待っているわけだが。
「来ないな……」
いつまで待てば良いのだろう、すぐ来るかと思っていたのだが。
一匹ぐらい人間が残っていれば話し相手にもなったのだが、アイツらは時間が経つと許して、助けて、ごめん、帰して、帰りたい、しか言わなくなるのでそうなるとすぐ処分するから在庫は随分前から無いのだよな。
「お前達、しばらくは食事無しだ」
ザワつく同胞達を無視して動かないスマートフォンに視線を向けるのだった。
せめて電気があれば。




