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第7話 友達

「大丈夫か!」


病院にマリナをかつぎ込んだ2人は面会謝絶を言い渡され絶望した。


「お主ら、もう入って良いぞ」


その声を皮切りに思い切り病室へ飛び入った2人にマリナはごめんごめんと、手をひらひらさせた。


「なんじゃ。頭を打っていたがその他骨折を多数しておる。はっきり言って大怪我じゃよ。」


医者は続けた。


「しかし、命に別状はない。あと病院じゃから静かにしてくれ」


そういう医者に、不安と安堵が同時に訪れた


***


時は3人が病院に到着する1時間前に遡る。


魔洞窟アンドンを後にした、ドロガ、アルタン、そしてドロガにおぶわれたマリナは飛行し最短ルートで道案内をし、2人は全速力で走っていた。


「きぃぃぃぃぃ!!!!」


突如、モグラの魔物が雄叫びを上げ地面から飛び出してきた。


「くっそ、こんな時に限って…」


そう焦りを見せるアルタンにドロガは叫んだ。


「アルタン!塵だ!」


「無理だ!魔力が残ってない!」


おれが行く!剣を構え飛び出したドロガはモグラの魔物から飛び出る爪の連続攻撃をひらりひらりと交わした。


「ザクッ」


ドロガは硬い毛ごと剣をモグラの魔物に突き立てた。


「未だ!麻痺を!」


その瞬間ドロガは巨大な爪で引っかかれ血を舞わせた。


「くっそ…」


とアルタンが舌打ちを鳴らした時、


「トロセアール」


そのひとつの詠唱だけでモグラの魔物は横1文字に切り落とされた。その頭は惨い音を立て落ちていった


「無事か?」


「誰だおっさん!」


そう聞いたドロガは杖でしばかれた。


「老兵には敬意を示せ」


「…はい」


「名はガルート。黒魔術の魔法使いだ」


「塵の魔法と言ったな。お前もも黒魔術の魔法使いだな?」


あぁと答えたアルタンにガルートは杖でシバいた。


「老兵には敬意を示せ」


「…はい」


そして、おもむろにアルタンの頬に触れた。


「アルタンというのか。」


「え?なんで!?」


「昔からの特技でな」


そういうガルートに2人は少し恐れを感じた。続けてガルートは話し始めた。


「アルタン、わしは大魔法使い ダイレンの居場所を知っている。」


「そうか。」


意外と冷静なアルタンにガルートは驚きつつ言った。


「これを逃せば二度とチャンスは訪れないぞ。きっと誰も知らない話だ。」


その言葉にアルタンは決意した。


「ドロガ、わりぃ。先にマリナを連れて行ってくれ。必ず追いつく。約束する」


その言葉にドロガは、にかっど笑うとマリナを連れて走り始めた


「教えてください。ガルート。」


「よしっ!」


ガルートは近くの切り株に腰を落とし、話し始めた。


***


そして今に至る。


「ふざけんな!俺らの足を引っ張るつもりか!そもそもお前は無計画すぎるんだよ!」


そう怒鳴るアルタンを横目にドロガはマリナに小声で


「あいつ、本当はいちばん心配してたんだぜ」


と言った。ドロガは続けてアルタンとマリナに言った。


「おれらは仲間である前に友達なんだ。助け合って当然さ!マリナ、気に病むなよ!」


カッコつけて言ったドロガは急に照れくさそうに赤面した。


マリナは3ヶ月して退院した。若いからか、驚くようなスピードで回復したのだとか。


退院したその日の昼前、3人はダメ元で冒険者ギルドへ向かうと何と魔洞窟アンドンでの依頼は完遂していたらしく報酬を得た3人は少し早い昼食を取ることにし、パエリアを食べながら話し始めた。


「いやぁ、なんか、最終目的地だったネペロについて一区切りついた気がするなぁ」


「おい、ドロガ。お前は勇者クラウンの道を辿るんだろ?旧魔王城は3倍くらい北だぜ?」


「おう頑張ろうぜ!」


そういうアルタンは少し困った顔をした。そして話題を変えた。


「そういえば結局アンドン攻略したのマリナ扱いだよな。ちょっと違くね?」


ドロガがケチか、とチョップをお見舞いした。


「アルタンは結構恩着せがましいとこあるよね。」


とマリナが言った。それにアルタンは逆上した。


「誰が恩着せがましいだ?お前のこと誰が助けてやったと思ってんだ!おれと!ドロガ!だぞ!」


「ほらそういうとこ〜」


「まぁまあ2人とも、あ!ピザきたぜピザ!ピザ食おうぜ!」


「え、ピザ?無いわー、どんな神経してたらそんなパンの成れの果てみたいなの食べるわけ?意味わかんないんだけど」


というマリナにドロガの火は着いた。


「お・ま・え・なぁ!!そういや出会った頃、煽り倒してくれたよなぁ!アルタンに杖持たそうとしたよな!」


「そんな昔の話するの?サイテー」


「下手したらあそこでアルタン死んでたんだぞ!まずおまえは礼儀ってものがねぇんだよ!親しき仲にも礼儀ありってことわざ聞いたことないのかよ!?」


今度はアルタンがドロガにどうどうと、抑えようとした。


その日の夜グランドバザール路地の宿にてアルタンは唐突にドロガとマリナに招集をかけた。


「なんだよ〜」


そう言いつつ、重い空気を感じた2人にアルタンは向き直って神妙な面持ちでアルタンは話し始めた。


「病院につくまでの間、魔法使いのじいさんに黒魔術の大魔法使いダイレンの居場所を教えて貰ったんだ。」


ドロガはその言葉で察した


「ここから真っ直ぐ東に行くらしい。それに対しドロガは北上して魔王城まで行く。」


ドロガとマリナは淡々と話すアルタンに追いつけないでいた。しかしアルタンは続けた。


「おれはそれを蔑ろにして着いてこいなんて烏滸がましいことを言うような男じゃねぇ。」


ドロガは着いていこうと話そうとするとアルタンは止めた。


「おれはおれの道をお前はお前の道を歩く。離れても大丈夫。」


そしてあの時をとドロガを思い出して言った。


「だって俺らは仲間である前に友達なんだろ?」


泣きながらアルタンに飛びつくドロガにマリナは笑っていた。


「きっとまた会えるさ」


***


アルタンの宣言から数週間が経過して、宿屋を出た3人はどこか悲しげな空気を放っていた。そしてマリナに対して唐突にドロガは聞いた。


「で、どっちについて行くんだ?」


マリナは出発までの時間、ずっと考えていた。自分はどこへ行きたいのか。何をしたいのか。


「あーしはドロガの旅の果てを見たい。」


勇気を振り絞り言った言葉だった。


アルタンは少し寂しそうに


「そうか。それが一番いい。」


と言った。


一行はそれぞれの道をゆくためコメンサール公国とラテオ王国の国境に沿って立つフロンティア境界に向かっていた。


「ここで別れよう。」


フロンティア境界に着いた分かれ道、アルタンはそう言った。ドロガは止めようとしたが出来なかった。お互いの夢のための別れだとわかっていたからだ。だから、最後にアルタンの手を握って言った。


「ありがとう。」


「今生の別れじゃあるまいし」


「またな。」


手を振るドロガに、そっと左手を上げた。その時だった。何を思ったかマリナはアルタンの元へ走っていった。


そしてマリナはアルタンを自分に手繰り寄せキスをした。


ドロガは驚きを隠せず赤面した。


マリナはアルタンに涙目になった顔を見せて笑った。ドロガの元に走ったマリナはドロガと、アルタンに手を振って別れを告げたのだった。


「馬鹿野郎…」


そう笑顔で呟いたアルタンは自分の夢のため、黒魔術の大魔法使いダイレンの元へ歩みを進めるのだった。


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