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第4話 水平線

オリエントを出てドロガとアルタンは高い木々が鬱蒼と生い茂る道をひたすら歩いていた。


「ソアリンド村は海のある村だ。見たことないだろう?海!」


ドロガは目を輝かせた


「初めてだよ!ほんとにしょっぱいのかな!」


太陽が及ばなく薄暗いジメジメとした湿気の中、ドロガとアルタンは目的地、ソアリンドへの夢を膨らました。が、結局2人はオリエントに1週間も滞在することになった。


2人がひたすら歩いていくうちに森が少しづつ開けてきた。歩き進めていくと辺り1面砂で埋め尽されたところに出た。2人は頭にはてなマークを浮かべた。


「ここか?ソアリンド村…海は…?」


そう聞くドロガにアルタンは固まった。


「砂漠…?砂浜には見えないな。」


よく見渡すと、小さな村のような建物の集合があり、タンブルウィードが転がっていた。


「やぁ」


「「わぁ!びっくりしたぁ!」」


唐突に現れた老人に腰を抜かした。老人の名はバン、村唯一の黒魔術の魔法使いだった。2人はバンの家に招かれ、服を着替えた2人はバンの前に座った


「いやぁ、久しいな。冒険者を見るのは。」


「俺もだ、久しいな。人間を見るのは。」


「おいアルタン、おれを人間に入れてないな。」


ここオエステ村はオリエントの北東に位置している。バンには弟子がおり、その中に魔法使いではなく、冒険者になりたいという弟子が居るとの事であった。そこで何もない村で冒険者は何たるかというのを教えるのは到底無理で、冒険者が来るのを待っていたのだったと言う。


しかしそんなことのよりアルタンは不思議に思うことがあった。


「それよりあんた、ほんとに魔法使いか?魔力探知に一切引っかからねぇ。」


「ほっほっほ、あんたビキナーだな。」


その物言いにアルタンは少し苛立った。


「抑えてるのだよ。魔力を」


「抑えてる?そんなことができるのか!?」


「基本的なことじゃ。」


バンはアルタンに言った。


「では、こうしよう。私がアルタンに修行をつける代りに、ドロガ、私の1番弟子、ドュームに冒険者としての武闘の稽古をつけてくれないか。」


「でもおれ、走ることすらままならないし稽古なんてたて……」


と自信なさげに言うドロガにアルタンは大丈夫だと諭した。


「おれはお前を見てきた。たてがみの時もブルージュの時も身体能力は尋常じゃないスピードで強くなってる。稽古をつけるにはもう十分すぎるくらいにな。」


そしてそれぞれのやる事に手を付け始めた。アルタンは魔法を教えてもらい、ドロガはドュームに稽古をつけた。


稽古の合間、掃除をしている時ドュームがドロガをふと見るとドロガのホウキが一瞬光って見えた。それは見間違いだとドュームは自分を納得させるのだった。


修行または稽古の傍ら2人は勇者クラウンの道標を知ることになった。


「勇者クラウンはセトリア村から出発し、ここから北東にあるフィンストン村を通過し、ずっと北上している。そして魔王城にて魔王討伐後、南下し諸国を回っている途中に身を追われ消極をたっている。お前たちはこのオエステ村から直でソアリンド村へ行くのが最短ルートだ。」


バンは2人の顔をじっと見て言った。


「お前たちになし得るには難易度の高い道のりだが、これが勇者クラウンが歩いた道標だ」


そういうバンにドロガは勢いよく言った。


「できる!必ず魔王城にたどり着いて勇者クラウンの歩いた道を歩く!」


そう意気込むドロガにバンは笑った。


「まぁ頑張れ!」


***


アルタンの修行開始並びにドュームの稽古開始からから3ヶ月が経った頃、アルタンはほとんど魔力を抑えることができ、その上いくつかの魔法を得ることができた。


「普通は1年はかかる量の魔法を3ヶ月で終わらすとはなかなか可能性を秘めてる男よ。」


そう豪快に笑うバンに対してアルタンは少し自信が着いたように言った


「ごめん、またせたな。ドロガ!」


「いいってことよ!」


旅の準備をした2人はバンに引き止められた。


「ここからソアリンドは遠すぎる。こいつに乗っていけ!」


「「ヒッポグリフ!!!!!」」


2人は鷲の頭部と前足、翼と馬の身体を持った聖物を見て大興奮した。


「普通は銀5枚でレンタルするとこだが今日は気分がいい。無料でレンタルしてやる」


「まじか!ありがとう!助かるよ」


そこにドュームは走ってやってきた。


「ドロガの兄貴!また、おれ強くなるから!だから!今度は旅に連れてってくれよ!」


「それはどうかな〜」


と、くしゃっとした笑顔で答えた。ドロガの運命を知っているアルタンは少し切ない気持ちになってしまった。



ドロガと、アルタンがヒッポグリフでオエステ村を後にした後、バンはふと呟いた。


「空が少し暗くなったな。」


***


それからソアリンド村までは一瞬だった。2頭のヒッポグリフのツバサで空高く飛5日も経たずにソアリンドが見えてきた。


「速えな。これだと丸3週間かかる道が5日だ!」


アルタンは興奮して言った。


***


ヒッポグリフが進行方向を変え真下のソアリンド村の門の前に降り立った。ふたりがありがとうなと撫でた後、ヒッポグリフは踵を返してオエステ村に飛び立っていった。


ネペロへの玄関口として扱われるこの村には市場やレストラン、宿屋など、冒険者にとってこれまでにないほど設備が充実しており、都市と遜色のない村だった。

ソアリンドは東側の頂点か、西側の麓まで8キロしかない。対して南北に長く世界でも有数の広い村だった。


西から東まで緩やかな崖になっておりそこに沿うように家がたっていた。その一番下には広大な海が広がっていた。

まず、入村者は村に入るとソアリンド村の最南端であり、いちばん高いところに出る。


「へぇーこれが水平線ってやつか!きれえだなあ」


感嘆するアルタンとドロガはピザを食べていた。



真っ白な石造りの建物が立ち並ぶ中、宿を取った2人は場違いに目立つ、赤いピザ屋にて2人はそこでピザを食べながら今後の行く末を話し合うところだった。


「やぁ、実はなバンの家で魔導書を………」


と、アルタンがいいかけた時だった


「なんや、あんたら冒険者かいな。」


男は唐突に話しかけてきた。仲間をお探しか?と聞いた男はドロガ達の返答も待たずに話し始めた。


「おれの名はタングル。そこら辺で酒場をやっているものだ。 ここいらに冒険者ギルドがあるさかい、そこに行ってみるとええわ。」


「「冒険者ギルドがあるのか!?」」


ドロガとアルタンは驚きを隠せなかった。


「せやで、コメンサール公国で3番目にでかいギルドや。」


「コメンサール公国?」


と考えるドロガにアルタンは、コメンサール公国とは、今自分たちがいる国でドロガの故郷でもあるのだと教えてやった


「ま、村にずっと住んでたら知らないのも無理もないな」


2人はピザを一気に飲み込ように食べ、店をあとにした。冒険者ギルドに行く間、2人はわくわくで心がいっぱいだった。


冒険者ギルドに着いた2人はパーティに誘う為の掲示板に自分たちで作った勧誘のチラシを貼り付けた。その時だった。


「そこの2人!勧誘書をはるには許可印が必要です!勝手に貼らないで!」

そうギルド職員の女に言われたドロガとアルタンは押してくれと頼んだ。しかし、彼女が言うには許可印には銀貨8枚が必要だった。


「そんなんぼったくりじゃねぇか!」


「規則は規則ですので。」


ドロガとアルタンは落胆した。しかし、職員の女は話しめた。


「でもギルドから仕事を依頼して報酬を渡すことはできますよ!」


そういう職員に目を見開いたふたりは仕事を貰うよう頼んだ。ここソアリンド村は依頼をこなしてお金を稼ぐことで財政を保っており、冒険者たちが落として行ったお金で村人は生活していた。


ドロガ達は手足を伸ばしたりして準備運動をしていた。2人は冒険者ギルドにて【魔洞窟 シンフォンド】の魔物討伐の銀貨35枚の依頼を受け今に至る。


「助けてくれえ」


魔洞窟から男が1人飛び出してきて、2人に縋った。


「頼む、助けてくれ……仲間がみんな死んじまった!追いかけられてんだ助けてくれ!」


と泣き叫ぶ男にアルタンは事情を聞いた。男の名はブラスト。どうやら中にいる魔物が強すぎて一味が全員死んでしまい、男だけ出てきたのだ。ドロガはブロストに魔洞窟の中の道案内を頼んだ。アルタンは空気が読めないヤツめ…と呆れてしまった。当たり前だがブロストは首を横に振った。


「無理だ。行けない。お前たちも行くべきじゃないあんたらがどんだけ強くてもあの魔物に勝てっこない」


そう全否定するブラストにアルタンは諭した。


「俺たちは魔洞窟の主の魔物の首を取りに来た。あんたがいないと魔物に会えずとも死んでしまう。本気だ報酬は渡す。おれたちの手助けをして欲しい」


「銀貨10枚は貰うぞ。」


そう、震えた声で交渉に乗ったブラストはドロガとアルタンと魔洞窟の中、同行することになった。


魔洞窟を奥に進んでいった時、宝が散らばっていた。ドロガが手を出した瞬間宝がぶわっと盛り上がった。その瞬間財宝が口を開けた。


「ぐあぶ」


「ミミックだ!逃げろ!」


と叫ぶブロストの首根っこを掴んで、逃げんなと阻止した。痛え…と言いながらドロガの腕に噛み付いたミミックを…引き剥がしたドロガは、しゃーないと笑って見せた。


鍾乳洞に差し掛かった時、ブロストは止まれと言った。


「ここだ。やつのねぐらは。」


「こんなとこに魔物がいるのか?」


「いや、ここだからこそいるんだよ。」


鍾乳洞という鍾乳石が入り組んだ場所で生きていける体を持つ魔物。2人は気づいた。もしかして……と言いかけた時に震えた声でブロストは言った


「蛇だ…大蛇の魔物だ。」


その時だった。大蛇の魔物は鍾乳石をすり抜けてブロスをめがけ襲いかかってきた。ブロストを蹴り飛ばしたアルタンは麻痺の魔法を詠唱した


「パラリシス!」


しかし大蛇の魔物は変わらず近づいてきた。アルタンは杖を構えながら、ドロガはブロストを掴んで、左右に分かれるように避けた。アルタンは魔力探知で大蛇の魔物の魔力を見た。そしてニヤリと笑った


「アルタン、塵だ!」


「いや、必要ない。ドロガ今回は余裕かもしれないぜ」


2人に向かって大蛇の魔物は鍾乳石間をスルスルとすり抜けてこちらへ滑り込んできた。


アルタンからの目配せを察したドロガは助走をつけて大蛇の魔物に向かってナイフを突き立てた。スパッと頭が割れて血血液が吹き出した。


「トロセアール!」


アルタンが杖を振って大蛇の魔物をとどめを刺さされか首を落とし、サラサラと消えていった。


ドロガとアルタンがタッチした音は鍾乳洞の中を響かせた。一方、ブロストは腰を抜かし失禁していた。


3人がソアリンドの中央街、冒険者ギルドに戻り、シンフォンドを攻略したことを知り女の職員は心底驚いた。


「私の名前はルージュ。あなたたちがドロガとアルタンですね。申告書は受理しました。おめでとうございます。」


ルージュは続けた。


「ちなみにと言ってはなんなのですが、ソアリンド村は今、ファクターという魔族によって犯されてます。食糧も、大切な人も、全て奪われてしまいました。」


と、涙ながらにルージュは言った。続けてブラストも切なく言った。


「おれも幼なじみが家族ごと殺されたよ…」


「なので良かったらファクターを倒してくれませんか!」


アルタンは落ち着いた表情で、ファクター


「おれが絶対にファクターを殺してやる!」


そう意気込むドロガをアルタンは、制したは。


聞くにファクターは500年以上生きた魔族で、誰も倒せずにいた。村の最北端、海沿いの15番地、に豪邸を立て、そこを根城にしているという。


闘志を燃やしたドロガはアルタンの辞めようという声を無視して、冒険者ギルドの依頼書にサインしてしまった。死を予感して絶望するアルタンを横目にドロガはシャドウボクシングをしていた。


***


ドロガはアルタンの魔力を上げるために魔力を一時的に伸ばす薬を調剤した。


「ファクターと出会ったらすぐ投与しろ。それからは制限時間10分だ。その間にケリをつけよう。」


「わかった。10分だな。」


***


10日後、冒険者ギルドからサーベルをもらったドロガと杖を磨いてもらったアルタンは他、装備を身につけてファクターの元へ歩き出した。


「待ってくれ!」


ブラストが2人を呼び止めた。


「おれも魔法使いの端くれだ!治癒魔法しか使えないが必ず役に立つ!」


「「治癒魔法!?」」


ドロガとアルタンは目を見合わせた


「おりゃあ、元はソアリンド村の汚点でよお、ずっと村に迷惑かけてたんだ。でも今退けばおれは汚点のまま終わっちまう。これだけで償い切れるとは思わねぇが、少しでも役に立ちてぇ。」


ブラストの同行に2人は快諾した。2人は治療者としてブラストを招き入れたのだ。そして2人改め、3人がファクターの元へ歩き出した。



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