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第33話 ターンバックストリート

「しっかし、フリームス、なんかふつーの街だな。」


3人はプロシェヴィルグの最初の街フリームスを観光し途中で寄った酒場にて悠々とした時間を過ごしていた。


「でも、いいものばかりだし、古着も雑貨もかわいい!ご飯も美味しい!最高だよ!」


そうテンションが上がったマリナはピラフを口に運び話し始めた。


「でも、ここプロシェヴィルグには闇の街があるらしいぜ?」


そういうクロスに2人は向き直った。


「その名もターンバックストリート。興味ねぇか?」


「あるー!」


そう叫んだドロガの頭を沈めてマリナは言った。


「だめ!わざわざ危険な道のりを歩くのはバカのすることよ。断じて反対する!」


「いやだ!おれは1人でも行くぞ!」


そう浮き上がったドロガにクロスも賛成した。


「あのねぇ……」


否定を言いかけたマリナはため息を着いて「はぁ…行く?」と呟くように言った。


「じゃあ決まりだな!明日の朝ターンバックストリートへ!!」


そこにマリナが割って入った。


「待った!今日はペンダントを届けに行く任務があるでしょう?」


「あぁ…忘れてた……」


「そうだった……」


落胆するドロガとクロスを見てマリナは笑った。


「行くよ!クロス!何をどこまで届けるの?」


「これなんだけど…」


そうクロスが出したのは子供を抱いた女のエルフの写真が入った薄汚れたベンダントだった。


「ちょー美人!」


「宿の店主が少し前に冒険者から託された物らしい。プロシェヴィルグの北に向かった国の中心街の外れた位置にある村にいるらしいんだが…… 」


そう、クロスは店主に預かった地図を見せてバツ印に指をさした。


「何そのざっくりとしすぎた内容は。誰に〜とかは聞いてないわけ?」


「俺もそれが分からんのよ。酔ってるから思い出せねぇのか。普通にあのじいさんが言い忘れてんのか。」


「たちが悪いのはペンダントに魔力察知が引っかかる。ある程度の魔力が込められたものだってことは確かだよ。」


そう話すマリナは先の旅に不安を覚えていた。


「てか、そんな大事なもの宿の店主なんかに渡すか?それに少し昔ならもうこの国を出ているんじゃないか?」


そういうドロガにクロスは「やっぱそうだよなぁ…」と泣きごとを言った。そしてマリナはそれを無視するように言った。


「まぁ、とりあえず北の方角へ行こうか!」


「まって。北なら北東にあるターンバックストリートも寄れるんじゃないか?」


「そうだな!そうしよう!」


「ちょっと!その前に色々手続きを進めないと!………」


「よし!観光は終わりだ!明日ターンバックストリートへ向かおう!!」


***


翌日…


「おはよう。ドロガ。


眠たそうに挨拶をしたマリナはドロガの隣に座った。


「おう。おはよう。てか、もう11時だぞ?」


「いーの。正午までは夜なんだよ。 」


「馬鹿だな。」


そう言い放ったドロガにマリナは聞いた。


「そういけばクロスは?」


「タバコ買いに行った。予備が無くなったんだとよ。」


「そっか。」


1呼吸置いてマリナは呟くように言った。


「なんか、寂しいね。」


「やっぱマリナもか。おれも思ってた。」


「フリン達といたら耳障りなほど騒がしかったけど今となってはそれすらも愛おしいかったって思うよ。」


「さぁ、準備をしよう!ターンバックストリートまで行ったらもうここへは戻らねぇだろ?」


「うんそうだね。」


そして戻ってきたクロスが言った。


「店主に渡したって伝えなくていいのか?」


「フクロウでも鳩でもなんか使えばいいでしょ?」


「そんなことできるのか!」


そう驚くクロスにドロガとマリナはニヤリとした顔で言った。


「できるんだなぁ〜それが」


「ちっちっち。そうだとしても、この計画通りだと国を縦断することになるだろう?足が必要じゃないか?」


「「足ぃ?」」


それに少し笑ったクロスは、「乗り合い馬車を手配したぜ!」と自慢げに言った。


「ほんと!?天才!」


そう褒めるマリナにクロスは満更でも無い顔をした。


「馬車があるなら早い話だ!すぐに向かうぞ!」


そういうドロガの一言にみながわくわくと心を踊らた。


そしてドロガ一行はフリームスを出て、ターンバックストリートに出向いていた。


「ここから先がターンバックストリートだぜ。」


そう言うクロスと、ドロガ、マリナは目の前の商店街とそこから街を囲むように有刺鉄線が貼られている光景を見た。


「ここがターンバックストリート……すげぇ。外界から拒絶されてる見てぇだ。」


「闇の街と言われるだけあるな。陰湿な雰囲気が漂ってる。」


「でもまぁ、ちっちゃめのグランドバザールだな。」


そういうドロガにマリナは「ほんとポジティブね。」とため息を着いた。


「じゃあ、入ろうか。」


そうドロガがターンバックストリートに足を踏み入れた時、ある男に止められた。


「ここには入っては行けない。人生を変えてしまう。」


「なんだ?大袈裟だな。」


「大袈裟じゃない。本当のことだ。」


「おっさん何もんだ?」


「ターンバックストリートで生まれた男さ。」


「「「ターンバックストリートで!?」」」


「あぁ、この場所はこの国最大の汚点だ。文字通り引き返したくなる街さ。」


「最大の汚点…?」


「そうだ。ここはギャングが蔓延り、実力だけが物を言う、文字通りの弱肉強食な世界だよ。」


マリナとクロスは息を飲んだ。しかし、ドロガは違った。


「いいな!ぜひ行ってみよう!」


マリナとクロスは呆れたように言った。


「しゃあねぇ。ドロガ様の言うことには従わないとな。」


「じゃあ行こっか」


そうため息混じりに言う2人に男は震え上がった。


「この街には最恐の男という異名を持つ、フェルーノがいるんだ。彼には誰も逆らえない。しかし顔は誰にも見せない不可解な男さ。」


「そうなのか。ますます冒険心が湧いてくるな!」


そうドロガがクロスの背中を叩く傍らマリナは男から情報を引き出していた。


「そのフェルーノはどこにいるの?それさえ分かれば……」


「グラディウスにいる…気をつけろ!問題を犯したら殺される。」


「殺されるっておめぇ、プロシェヴィルグには流石に警察とかいるんじゃねぇか?」


「ターンバックストリートは治外法権。何が起きようと自己責任。入ったが最後もう終わりだ。」


「ますます面白そうだ!」


そう言って入っていく3人に男が叫んだ。


「待て!行くな!二度と戻れなくなるんだぞ!!」


「出る時の楽しみだな。」


そう答えるクロスに男は絶句した。


「勝手にしやがれ。俺は止めたからな!」


「おう!ありがとうな〜」


そうドロガは言い、歩を進める3人に男は叫んだ。


「待て!これはアドバイスだ!」


そういう男にドロガ達は振り向いた。


「 何かあればターンバックストリートの守り神に匿ってもらえ。彼ならきっと助けてくれるはずだ。」


そして3人はターンバックストリートに足を踏み入れた。


「いやぁ、ほんと空気が澱んでるなぁ。」


ターンバックストリートの中心を貫くように大きな通りがありそこを囲むように歪な街が形成されていた。通りには当たり前のようにホームレスや小さな露店が佇んでいた。


「ほんとに…何があるかわかったもんじゃないよ……」


そう怯えるマリナにクロスは話した。


「まぁな。ここは聖域とも呼ばれているんだ。」


「聖域? 」


そう一瞬希望を見出したマリナはすぐにどん底に突き落とされる。


「あぁ。犯罪者の聖域だ。」


そこで血だらけの少女が倒れているのを発見した。


「おい!大丈夫か!」


そう駆け寄った女は路地裏へ行きたいと言った


「 ねぇ、まずいんじゃない?路地裏とか人に殺されそうだよ…」


「路地裏っつっても普通の道だよ。大丈夫」


そういうドロガにマリナは呆れたようだった。


「なぁ、ドロガ。多分これは十中八九罠だ。わざわざ罹りに行くのか?」


「いや、おれがいるんだ。この3人が死ぬことはまずないさ。」


「まぁ、良い。じゃあこれを。」


そう言ったクロスはスっと左手を胸の高さまで上げた。


「アルマドゥーラ」


そうクロスが呟いた途端、ドロガとマリナの足元に緑色の円が浮かび上がり、そして2人にの体は緑色に光り、元に戻った。


「もし何かあっても3回までなら受け流せる。でも慎重に行こう。」


「あぁ、助かったぜクロス。」


依然、マリナは怯えていた。


3人が女を運んだ、その場所にそれぞれ剣と魔法の杖をそれぞれ持った2人の男が待ち構えていた。


「まずいかも」


そう呟いたマリナは踵を返して逃げようとした。しかし男たちに攻撃魔法を当てられた。しかしクロスのアルマドゥーラにより受け流すことができた。


「凄い!これ本当に無敵じゃん!」


そう感動させるまもなく2人は襲いかかってきた。


「おいマリナ!大事に使え!」


「だって攻撃してくる方が悪いじゃん!」


「お前の残機は後2回だぞ!忘れるな!」


「わかった!」


そして男は話し始めた。


「喧嘩腰で悪かったな。しかしだ。こいつをこんなにされちゃあ文句くらい言わせて貰えるかな?」


「悪いがそいつのことは全く知らねぇ。さっき助けを求められて連れてきただけだ。」


「はっくだらねぇ御託を並べやがって!」


そして少女は形勢を呼んだかのごとくクロスに縋った。


「私は彼らに暴行を受けたんだ。このキズもそうなの」


「まぁ、罠だったってことか。そうだろうと思ってはいたけどな。」


「うるせぇ!こいつの治療費出してもらうぞ!」


そう言う男にクロスは鼻で笑った。


「教会だろう?お布施ってのは自分の金で払うもんだぜ?」


「てめぇ、おちょくってんのか!?」


「いいや、違うさ。”その女の治癒なら司祭の俺がしてやらなくもないぜ?”と言っているんだ。」


「クソ。お前殺してやる!!」


そうクロスに切りかかった男にクロスは双牙刀を逆手に持ち剣を防いだ。


「マリナ!もう1人を!」


「わかった!」


「全員、魔族じゃねぇんだ!殺すなよ!」


軽く切りかかったドロガは剣使いの男に避けられ、切りかかった勢いのまま転がり倒れた。


「あの馬鹿!」


直ぐさま、クロスは男に切りかかった。しかし簡単にいなされてしまう。


「お前らみたいな単純バカのやることなんて大抵想像できるんだよ!」


そうクロスに叫ぶ男は後ろから寄るドロガに気づかなかった。


「後ろ〜」


そう言うクロスに男は後ろを見ようとしたが時既に遅し。ドロガは男に剣の面で殴られ失神した。


「よし。とりあえずこれで終了だな。」


クロスが手を腰でパンパンと払った。


「……強い。気持ち悪い魔力を放ってる…」


そういうマリナに男はニヤついた。


「そう言うなよ。でもな俺の方が確実に格上だ。君には到底来れない境地にいるんだ、」


「あんた…人を殺したことあるね…。」


そう言うマリナに魔法を使う男は、またニヤリと呟くように言った。


「あぁ。あるぜ?」


「やっぱりね。目でわかるんだよ。そういう奴は。犯罪者の聖域と言うだけあってクズの集まりね。」


「クソみたいに扱うんだな。俺たちを。何も殺したくて殺したわけじゃない。犯したくて法を犯したかった訳じゃない。」


そう話し始めた男にマリナは若干押された。


「お前らは何も分かっちゃいない!家族を、友達を、仲間を、それらを守るために成り下がったやつの最後の受け皿なんだ!ここをクズの集まりなんて言うことは俺が許さねぇ!」


そう熱くなる男にマリナは一息ついた。


「ごめん。でも今回の敵はあーしだよ。弁論大会してる程暇人じゃないんだ。始末させてもらうね。」


「パラリシス!」


麻痺の魔法を放ったマリナの前に男は倒れ込んだ。


「終了!」


そして3人は女の前に向き直った。よく見ると、彼女は右足と、左腕、を失っており、左目には眼帯をつけていた。


「どこでこんな体になったんだ。」


「さっきの…ひとの…グラディウスに…やられた」


「グラディウス……。それは場所か?組織か?」


「組織……」


「この街に消えた妹を追いかけるのでこ:んな体になっちゃった……」


そう言った少女をドロガは背負った。


「妹探すぞ。」


「馬鹿じゃないの!?まずそんな時間ないの分かってる?何考えてるの!?」


「あぁ。でもこれは助けてやらなきゃ行けないと思った。それだけだ。」


そこに口を挟むようにクロスが話した


「まぁいいじゃねえか!今回はリーダー様の意向に従おうぜ。マリナ。」


3人、改めて4人はターンバックストリートの奥へ歩き始めた。


「お前、名前は?」


「ロディア。妹はフィミア」


「いい名前だな。響きが好きだ。」


そうサラッと言うドロガにロディアは少し顔を赤らめた。


「 ロディアは何歳なんだ?」


そう聞くクロスにドロガとマリナも耳をそば立てた。それにロディアは唇を震わせ答えた。


「19歳……」


そういうロディアにクロスが笑った。


「おいおい。そのなりで俺とダメなんて有り得ねぇだろ。」


そう笑ったクロスに対してドロガは笑わずに聞いた。


「そう言わないと雇って貰えなかったんだろ?」


4人は、少し静まり返った。


「本当は何歳なんだ?」


そう聞くクロスにロディアは「14歳…」と声を震わせて答えた。


「そんな緊張しなくていいよ。ロディア。あーしたちは味方だよ!」


そういうマリナにロディアは少しだけ微笑みかけた。


4人はターンバックストリートの中心街のから少し外れた宿を取りロディアの治療に試みていた。


「身体中の切り傷、擦り傷は完全に直せた。目は光で失明させられてるだけで潰されている訳じゃなさそうだから復活可能かもしれない。試みてみる。だが…手足と耳は生やすような魔法はない。やるだけ無駄だ。」


そう話すクロスにロディアは少し顔が明るくなった。


「痛いとこ、もう…ない。帰る。」


「そんなことないだろう?あまり無理するな。しばらくは一緒にいさせてくれ。」


そういうクロスを横目にドロガは話した。


「しかしグラディウスか……少し興味あるな。」


「ほら!また!そうやってすぐ好奇心に乗っ取られる!ドロガの悪いとこ!!」


「だーって!ターンバックストリートに来るのも元々は怖いもの見たさだろ?それを追い求めてわりぃかよ!」


「悪いよ!1回入ったんだし、こんなとこもう出よう!」


そう言うマリナにクロスは黙ってちょいちょいとロディアを指さした。


「あーもー……わかった。ここを出るのはロディアの一件が終わってからにしよう。」


「でもまず妹のフィミアを探すにあたってどこから探しゃいいのか分かんねぇな。」


「ロディアはなんか覚えてないの?」


「グラディウスに、攫われた…かも……」


そういうロディアにマリナは大袈裟に「結局かぁ」と頭を抱えた。


「でももう夜だ。明日に備えてそろそろ寝ようか。」


そう言うクロスにみなが眠りについた。しかし眠れないロディアは涙を流した。


「フィミア…もうすぐ助けてあげるからね…」


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