第29話 テルースパーク
町を出るとそこには広大な自然広がり、魔法動物が点々と暮らしていた。
「すげぇ……ユニコーンなんて存在したのか……」
そう呟くクロスを横目にオズゾーは思い出に浸っていた。
「俺も昔ここへ来たことはあるが前とは進化してる。翼竜なんて居なかったもんな。」
「来たことがあるのですか!?」
そう聞いたシエロにオズゾーは答えた。
「あぁ。今みたいに冒険者を載せてな。しかし圧巻だな。塀で守るだけある。」
「こんな開けた場所だと魔法動物達は暮らしやすいだろうな…」
そう感銘を受けるドロガにフリンは答えた。
「まあエルトライゼ高原のど真ん中だからな。魔法動物の管理もしやすいんだろ。」
「おぉ!あんなとこに首長竜だ!」
「うおすげえでけぇ!」
そう興奮するドロガとクロスに他のメンバーはため息を着いた。
「でもホントすごいね…こりゃ楽園だわ」
そうマリナが大きなうさぎを撫でながら言った。その時だった「おい!」と全員を振り向かせる声を発した男がいた。
「ここには絶滅した種も暮らしている。あんまり大声で驚かしてしてくれるなよ。」
そう言い出てきたのは茶色いコートを来た男だった。
「俺の名はランヘル。生物学者だ。」
「セイブツガクシャ?なんだそれ。」
そう言うドロガにフリンに言った。
「動物について調べる人だ。わかるか?」
「あぁ。わかった。」
「じゃあお前らの名前は?」
7人は自分の名を名乗った
「しかしだ、生物学者が俺らに何の用だ?」
そう声を発したクロスにランヘルは驚いた様子で駆け寄った。
「なんでこんな可愛いリスが喋ってんだ?研究したい!触ってもいいか!?」
「良いけど彼は魔法でリスになっただけの一般成人男性よ。」
そう言うマリナに 「なんだ。魔法か。」と すんっと真顔に戻った。
そしてランヘルは話し続けた。
「まぁとりあえずようこそ魔法動物公園テルースパークへ!なんと驚き、この公園は国の4分の1を占めているんだ!ここを案内するランヘル…と言いたいところだが俺はなんせ忙しくてな。スタッフをつけることにした。ぺスカ。こちらへ。」
「皆さん!こんにちは!私はこの公園のスタッフのぺスカです!よろしくお願いします!今日は私について来てくださいね!」
そう声を張って言うぺスカにドロガとクロスは悪態を着いた。
「えー自由じゃねえのかよ…」
「えっあっあの……」
そう狼狽えるぺスカを見てマリナは叫んだ。
「ちょっと!2人とも!ぺスカちゃんの話も聞いてあげなさいよ!わざわざ、あーしたちのために来てくれたんだよ?」
「すみません…ありがとうございます」
そして向き直ったぺスカは「とりあえず歩きましょうか」と言い一行はランへルと一時的に別れた。
「まず、この公園は主に、陸上動物が暮らす”プラーヌス”、飛行動物が暮らす”ヴォラートゥス”、海上動物が暮らす”マリティヌス”そして危険な魔法動物が暮らす”カルニウォルス”この4つによって区分されています」
そう話すぺスカにマリナは手を挙げて「質問!質問!」と声を発した。
「はい!マリナさん」
「今日はどこまで歩けるの?」
「えぇ、今日はカルニウォルス以外の3つの地帯へ案内します!」
「「カルニウォルスは見れないのかよぉ」」
そう落胆するドロガとクロスに他の皆は笑った。
「カルニウォルスは高い塀の中ではありますが危険な魔法動物が飼育されています。上層部スタッフしか入れません。」
「”公園”って言うだけ結構人がいるんだな。」
そう呟いたフリンの言葉をすかさず拾ったぺスカは自慢げに答えた。
「えぇ!ここ一体でいちばん広く、そしていちばん魔法動物が集まる場所ですからプロシェヴィルグやカエルムからはもちろん、ラテオ大国から来て下さる方もいるのですよ!」
「へぇ、すげぇな。」
「では、まず、いちばん手前にある平原、プラーヌスから紹介します!」
皆の心はもう既に高鳴っていた。
「この平原は当公園内、いちばんの広さを誇る区域です。そしてこの子はスタチュリヌ。」
「へぇ。石像にも名前が着いているのね。」
そういうマリナにぺスカはニヤついた。
「いいえ。この子が石像なんていつ言いました?」
「え?どういうこと?」
そう問うマリナを横目にぺスカはスタチュリヌを続いた。すると「ヒヒーン」と雄叫びを上げて石像が走り出した。
一同が酷く驚くとぺスカは越に浸った様子だった。
「そしてこの子!ウィプネーク!ツタに擬態した蛇です!」
次々と出てくる魔法動物に心を奪われた7人はすっかり夢中になっていた。
「この子はダラビット。動きがゆっくりで絶滅してしまった魔法動物です。この子が通った場所は花が咲くんです。」
「あ!さっきの子だ!こんな1面があったなんて気づかなかった。綺麗……」
そういうマリナ達を連れてまた歩き出した。
「そしてこちら!アバジョリウム!」
「すげぇ、琥珀色の…甲羅持ってるけど……モグラ?」
そう悩むドロガの横をとおりすぎたぺスカは少しテンションをあげて言った
「そして見分けつけのこちら!首長竜コルムメンディスです!」
「こいつはデカすぎてずっと見えてたぜ。」
笑うドロガにシエロも「そうですね」と笑いかけた。
「ここの醍醐味の1つがこの子なんです。絶滅してしまった種ですが、国の全魔法使い総動員でなんとか魔法で再現して作った最強の動物のひとつです!」
「最強なのか…あんま強そうじゃねぇけどな。」
「ホントの最強はカルウィノスにいます。それが最強故に危険なんです。では、この馬車に乗っていきましょう!」
「うぅ…馬車………」
そうフラッシュバックするように思い出して落胆するオズゾーにマリナは背中をさすった。
カタカタと音を鳴らし、馬車は進んで行った。
「あそこにいるのは、ヒッポグリフです!」
「お!あれ乗った事あるぞ!」
そういうドロガに皆が視線を集め、酷く驚いた。
「まじかよ…一体どこで……」
「アルタンとふたりで旅してた時に乗ったんだ。」
「ちょっと羨ましい。」
そう素直に羨むマリナにドロガは笑いかけた。
そして透明な、まるで虹が写ったガラスのような蝶が飛んできて馬車に止まった。
「この子はメイトバタフリア。ガラスの蝶を意味します。その名の通り、この綺麗な見た目は暗い森の中だと、ほかの景色と同化するのです。」
「そうなんだ。でもなんでこっちに来たのかな?」
そう聞くマリナにぺスカはにこりとして答えた。
「元々メイトバタフリアは警戒心の高い虫さんです。だからこんなに近づいてくることは有り得ません。」
そしてぺスカはこう続けた。
「だから!多分、皆さんがとても優しいのを分かっいるからだと思いますよ!」
少し暖かい空気になるのを感じ取ったかのようにむっくりとしたクマが並走してきたのを見てドロガが「ぺスカ!あれはなんだ?」と聞いた。
「あの子はムクムス!背中にコケを生やし、光合成をすることができる動物です!」
また、カタカタと音が聞こえ初め、はしゃぎすぎた皆が疲れ始め、やがて眠ってしまった。
数十分するとぺスカがみなを起こすように話した。
「見えてきましたよ!この国の西部に位置する岩山のようになっている場所ががヴォラートゥスです!」
「おぉ!お前たち見ろ!色々飛んでるぞ!」
そう叫ぶドロガに皆が上体を起こした。
「うるせぇな見りゃわかるよ。」
そうドライなフリンに打って変わってクロスは大はしゃぎだった。
「翼竜だ!初めて見た!」
「タプラクティスですね。大きな個体だと翼幅4mに達することもあります!」
「うぇ!でけぇ!」
「向こうにはドラゴンもいます!」
「すげぇ!」
そう感銘を受ける一同をドロガ、クロス、マリナは「まぁ、見たことあるからな」といきなり達観したように見た
そして岩山の洞窟を通り過ぎようとした時、バサバサとオレンジの綺麗なコウモリが飛んできた。そしてシエロが驚いた心臓を抑えて聞いた。
「なんですかあれは!」
「トワイラバットですね。少し刺激すると翼のオレンジを見せつけるように急上昇する習性があります。」
そうぺスカは微笑みながら答えた。そして少しニヤついて言った。
「さぁ!上層にいる動物とも触れ合いましょう!」
「待てよ!この岩山登るのか!?登れるのか!?」
そうパニックになるフリンにぺスカは笑いかけた。
「私の馬車テクニックを舐めないでくださいね。」
「そうじゃなくて翼竜と触れ合えってのか!?」
「え?嫌ですか?」
そういうぺスカにドロガとクロスは「嫌じゃなーい!」と答えた。
「では行きましょう!」
ガタガタと音を鳴らし馬車は岩山の上部を目指し反時計回りにぐるぐると登っていった。
「おぉ!翼竜がすぐそこにいる!」
そう興奮するドロガにぺスカは馬車を止めた。
「これ以上は彼らを不用意に刺激してしまうのでここまでにしましょう。」
「やっぱでけぇな。」
そう呟いたクロスを見て、ぺスカは喜びの笑みを浮かべた。
「タプラクティスは山の上層部に卵を産む生物で、先程のドラゴンやワイバーンなどの翼竜とは違い、子育てをする習慣が無い生物なんです。面白いでしょう?」
「へぇ、さすが公園長直々の案内人なだけあるな。」
ぺスカはクロスに急に褒められて頬を赤らめた。するとフリンが問いかけた。
「なぁ、ぺスカこれ、一方通行だよな。どうやって降りるんだ?」
「何言ってるんですか?飛び降りるんですよ。」
「飛び降りる?は?」
「皆さん!乗ってくださーい!山をおりまーす!」
全員が馬車に乗った事を確認するとぺスカは山から飛び降りた。
全員が悲鳴をあげようとした瞬間、馬車は落ちておらず坂を下るようにゆっくりと降りていっていることに気づいた。
「あれ?飛んでる?」
そう、馬車からシエロの様子を伺ったマリナは衝撃なものを見た。
「ペガサス!!!」
そう叫んだシエロを皮切りに全員が身を乗り出した。
「そうこの子はペガサスです!飛べはしないですが滑空は得意なんですよ!」
「やっぱすげぇわ。魔法動物…」
馬車でへたりこんだ7人を見てぺスカは微笑んだ。
「次ですね。この人口の海が広がっているのがヴォラートゥスのさらに西部に位置するマリティヌスです!」
「でけえ湖みたいだ!」
ドロガはとても興奮していた。
「海水の生物も淡水の生物も暮らしていけるようになっているらしいですよ。」
そう説明したぺスカにクロスは問いかけた。
「へぇ、すごい技術だな。ランへルが考えたのか?」
「いえ、ずっと昔からあるシステムらしいです。ランへルさんも多分分かってないと思います。でも、ここはあまり面白くありませんよ。水中を見ることもできないですし、人も全然いないでしょう?」
ザザーーーンと轟音を立てて姿を表したのは50メートルはくだらない巨大な鯨だった。
その場は一瞬、影を落とし、そして皆の全員の時間を止めた。
ザパーーーーンと着水し、全員の服を濡らした鯨の姿はもうなかった。
「すげぇ!!!見た見た!?」
「俺目あったぞ…?」
「いや、おれだろ!」
「圧巻でした!!」
そう大興奮な7人を見てぺスカも「私もこんなの見た事ないです!」と興奮していた。
「やっぱすげぇや、ポーコ市国。」
そう呟いたオズゾーをぺスカは見逃さなかった。
「でしょう!?私も実はプロシェヴィルグ出身で、父の仕事について行った時この公園に連れてかれたのが忘れられなくて、ここに根を張ったんです」
「この地に惚れたってことか。」
「まさにそうです!」
「いいな、ここはすげぇいいとこだよ。俺も惚れそうだ」
「惚れてもいいですよ。老人雇用もありますし。」
「誰が老人だよ!」
そうオズゾーが突っ込むのを横目にぺスカは手を挙げて声を張った。
「そろそろ街に戻りますよ!」
***
「ほんとに今日はありがとうな。ぺスカ。楽しかったよ。」
そうドロガが差し伸ばした手をぺスカは握った。
「私も楽しかったです。もし機会があればまた来てください!テルースパークに!」
そして7人はテルースパークを後にした。




