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第28話 某国の王女

「着いたぞ!ポーコ市国!」


その一声に馬車から顔を出して見た6人は期待に胸を膨らました。 そこには高い塀に囲まれた小さな国があった。


「ここはエルトライゼ高原のど真ん中だ!」


「そうなの!?見渡しがいいのはそのせいか…!」


そう興奮するマリナを見てクロスとシエロは笑った。


「おい!見ろ!国の外にも街があるぜ!カエルムみてぇだ!」


そう叫ぶドロガにオズゾーは面倒くさそうに説明した。


「あのな、ここらの北方には魔族や魔物よけに塀を立てるの国々が多いんだ。そうすると自動的に関所が発生するわけだ。そこで弾かれた者たちが少しずつ固まって関所を通る為に止まるようになり街ができていくんだ。」


「そうなんだ!すげぇな!」


そう声を発したドロガに彼の肩に乗っていたクロスは「わかってねぇだろ」と顔にリス並の蹴りを入れた。


「ははっ!やっべぇ、お前、一生リスなんじゃね?」


そう笑うフリンにクロスは中指を立てた。


「あっれれ〜?リスさんは指が4本しかないからどれが中指かわっかんないでちゅねぇ〜」


「おまえ、ほんっと殺すからな。絶対殺す。本気で殺す」


ポーコ市国の兵の前に着いたオズゾーを含め7人はポーコ市国にて関所を通ろうとしていた。


「お前ら頭下げとけ。」


そういったオズゾーは大きな布を6人に被せた。


「…これは?」


そう疑問を呈すマリナにシエロは感激した。


「もしかして透明マントですか!?すごい!」


「13年貯金して買ったんだ!すげえだろ!」


「じゃあ、これをかけてたら」


「あぁ、関所をクリアできる!………だが…」


全員が関所のある門を見たが、全員が絶句した。


「カエルムの時と一緒じゃねぇか。」


そう呟くクロスはわざとらしく膝を着いた。


「まぁ、なんだ、1人並んでおいて他、6人が遊んでおけばいいんじゃねぇか?」


「じゃあ、お前が並べよ、馬車持ってんのお前だからな。」


そう言うフリンにオズゾーは煽るように言った。


「お?じゃぁいいのか?俺がいなければプロジェヴィルグまでたどり着けないだろう?」


「くっそ…」


そこでシエロは提案した。


「では、交代で並んだらたどうでしょうか。交代する人ととクロス様がお並びになり列が進んだらクロス様が知らせに行くと…」


「おい!なんで俺だけずっと並んでなきゃ行けねぇんだよ!」


「リスさんだからです。走るのも早いし自由自在でしょう?行動班と待機班を仲介するのに適任なのです。」


クロス以外の全員がそれに賛成した。


「よし!丸く収まったな!」


そう言うフリンにドロガの肩からフリンの鼻先目掛けてドロップキックをした。


「あぁぁぁ!いってぇぇえ!鼻潰れた!潰れた!!」


「これで今までのはチャラにしてやる。俺は優しいからな。」


「じゃあ、今度は俺が貸し5億だ。」


「強がんなよっ」


そう言言い合う2人を無視してシエロが話し始めた。


「行動班はできるだけでいいので依頼を受けていただけるとありがたいです。では私が最初に待ちます!クロス様私の肩にお乗り下さい。」


「くそ…シエロお前も覚えておけよ。」


「すみません」


軽く受け流されたクロスは舌打ちをした。


「では2時間後に!」


行動班と待機班は別れた後、シエロはポツリと話し始めた。


「あんなに賑やかだった馬車がこんなに静かになるのですね。」


「周りはうるせぇのに、ここだけ静かなの面白いこったな。」


「カクテルパーティー現象って知ってますか?」


疑問符を頭に浮かべたクロスは雑に「なんだそれ」と疑問を呈した。


「どんなにうるさくても特定の人の声だけしか聞こえない聴覚現象です。私はクロス様と一緒に話せて良かったですよ。きっとこんなこともうないから…」


「そうか?まだプロジェヴィルグに行くまで時間はあるし、喋るタイミングなんて沢山あるだろ?」


「そうはそうなのですが…」


そう言葉を濁すシエロにクロスはハッと何かを思いつくと町に走り出した。


「ちょ!どうしたんですか!行かないでください…!」


そう叫ぶシエロを無視して走り去ったかと思えばパンを加えて戻ってきた。


「はぁ、…おい、こっちがお前のだ。腹減ったろ?」


「ありがとうございます……」


「何だこのパン外側が硬すぎる。」


「 そう仰らずに。噛めば噛むほど味が出ます。良い麦を使っている証拠です!」


「おい、口に粉が着いてるぞ」


そう言いシエロの肩にのぼりクロスに手を伸ばして口の端を拭いた。すると、シエロは酷く赤面した。


「ちょ…やめてください!」


「なんだ?嫌だったか?悪ぃな」


「いや、嫌ではないんです!いや、ちょっと恥ずかしいのでダメです!」


「急にどうしたんだよ。」


そう笑いかけるクロスにシエロはますます頬を赤らめた。


「それにしても、あいつら。市場の喧騒に紛れて、自分たちの役割を忘れているんじゃないか?」


「そうですね……あくまで行動班ということを覚えていて欲しいのですが……」


「まぁ、あのバカご一行だからしゃーないな。」


「クロス様も人のこと言えませんよ。マシュマロ食べてりすになるなんて。」


「うっ。そんな辛辣な…てか、シエロも食べそうになってただろ!」


***


時を同じくして1回目の行動班のドロガ、マリナ、フリン、クルヴァは村の中の露店が並ぶ道を歩いていた。


「うお!このマントいいな!欲しい」


そう言って試着するドロガにマリナは「買わない!」とチョップをお見舞いした。


「おい!みんな〜!向こうにブラートヴルストがあったぞ!みんなで食おうぜ!」


そういうフリンに駆け寄るドロガとクルヴァは走っていってしまった。


「ちょっと!依頼受けろってシエロちゃんから言われたでしょ!」


それをも無視して言ってしまう3人を見て「まぁ、食べ歩きくらいならいっか」とため息を着いてしまった。


「ふはははは我が名はドロガ全ての頂点に至る勇者である!」


そう、ドロガはガントレットを付けて叫んだ。


「だせーな。ガントレットはかっこいいのにお前がダメだ。こうやるんだ見とけ!」


そう言ってフリンはドロガからガントレットを奪うと同じように叫んだ。


「ぐはははは!俺の名はフリン!この世界を統べる勇者である!」


「どっちも変わんないよ」


そうマリナに言われたドロガとフリンは、男のロマンを語り始めた。


それを見たクルヴァは呆れた顔で見つけた錆びた筒状の金属が着いた木の道具を見つけて。それを手にとった。


「あぁ、それか。それは俺もわかってねぇんだ。2つ前の持ち主が東リューゲ会社から盗んできたものらしい。この複雑な機構上すごいことができそうなんだが、使い方がまったく分からん。うちでは鈍器として売ってるよ。」


『そうか。ありがとう。考えてみる』


「あ?お前話せねぇのか?」


『そうだ。昔が影響して話せない。』


「そうか。まぁなんだ。深いことは聞かねぇよ。あれとはなんだ、これを持っていけ。何かいいことがあるかもしれねぇ。」


そうクルヴァの手に持たせた袋には粉がやが入っていた。


「そいつはなぁ……」


***


「悪いなシエロ!少し遅くなっちまった!」


そこにはクロスを肩に乗せ走るフリンの姿があった。


「ほんとですよ…まったく。」


「あれ、お前は行かないのか?もう行動班だろう?」


「いいのです。なんだかここが落ち着くので。」


「そうか。まぁ、あまり治安のいい町ではなかった。平和なスラム街って感じだな。」


「そうですか。やはり行かなくて正解でしたね。」


「どうしたんだ?なんか怒ってる?」


「いえ。そんなことありませんよ?なんでですか?」


「いや、なんか気張ってるなって思う。」


「そりゃ張りますよ。あんな人達を私たち無しでエデンに行かせるなんて、危険極まりないです。」


「違うだろ?寂しいんだろ?悲しまないように自分に言い聞かせてる。違うか?」


そうしんみりした空気に嫌気が刺したクロスはトコトコと柱をのぼり馬車の屋根に乗り寝そべった。


「私はただ…あの人たちに死んでほしくないのです。」


「随分情が移ったようだな。」


「フリン様もでしょう?長くいる分あの人たちの平和を考えていらっしゃいます。」


「んなこたぁねぇさ。俺はシエロとクルヴァが元気ならそれでいい。」


「またまた。ご冗談を。フリン様がそんなドライな人間とは思いませんよ?」


「いや、そうさ。どんなに顔を合わせてても離れ難い訳じゃない。」


「うわぁ!助けてくれ!」


そう叫んだのはカラスに捉えられたリスの姿のクロスだった。


「うわ!ちょっと待ってください!」


少しずつ小さくなるクロスに一気に正気を失ったシエロは攻撃魔法をカラスに当てた。


「危ねぇ!」


そう叫んだフリンは人の波をかき分けてクロスをキャッチした。


「ごめんな…助かったよ…」


いきなりの魔法の轟音にパニックになった民衆は列を乱した。


「構えぇ!!」


そう衛兵に槍を向けられたシエロとフリン、そしてクロスは馬車ごと連行された。


***


「おい!助けてくれ!シエロとフリンが衛兵に連れてかれた!」


そう言って走ってきたのはのはクロスだった。


「「「なんだって!?」」」


「どうすんの!」


そこにある男が割って入った。


「あの馬車のやつの仲間か?」


「はい!そうなの!何か知ってる?」


食い気味に反応するマリナに男は真剣な顔をした。


「女の魔法使いが民衆の中で空へぶっぱなすもんだから関所の裏まで連れてかれちまったよ!」


「助かった!ありがと!みんな行くよ!」


そう急いで走る4人は群衆をかき分け関所までたどり着いた。


「あのー!ここに居る、シエロとフリン、いない!?」


「あぁ。テロリストの可能性があるため拘束させてもらっている。」


キッパリという衛兵にマリナは少し安心した


「彼女らに合わせて貰えない?」


「いや、全くもって却下する。」


「お願い!だめ?」


「断固としてこの先を通すわけにはいかない」


「じゃあ、他の道を探すしかないね…」


そうため息を着くマリナを横目にクルヴァが衛兵に小さな袋を持たせた。


「わかった。入れ。」


3人は先程とは売って変わって関所に入れた。


「クルヴァ何を渡したの?」


『賄賂だよ。銀貨2枚 』


「銀貨2枚!?そんなお金あるの?」


「少しだけな。」


***


「お前らな!なにやってんだよ!」


そう怒るドロガにシエロが経緯を説明した。


「あのですね…リスのクロス様がカラスにひったくられてしまい…それを助けるためにカラスを攻撃魔法で…」


「なるほどね…だいたいわかった。」


そうため息を着くマリナはゆっくり話し始めた。。


「あのね。衛兵に効くにシエロちゃん達はテロリストの可能性があるため拘束されてるの。」


「なっ!そんなの心外です!」


「逆に言うと拘束ってことはまだ逮捕はされてないってこと。だから、まだ救出することはできる! 」


「なるほど……でも私たちがここから出る術など…」


「終わりだ。そろそろバレてしまう。戻れ。」


「待って。番頭さんに合わして貰えない?」


「それはさすがに無理だ。」


「じゃ!あーしを某国の王女だと伝えてよ。どんな国でもいいからさ!」


「わかった。」


「あとはシエロちゃんが言った通り冤罪だからその旨も伝えてね〜」


「金はあるんだろうな。」


クルヴァは黙って銅貨の入った袋を渡した。


「言ってくる。」


「クルヴァ様!そんなちゃらちゃらお金を使わないでください!」


「全部僕のへそくり。」


「だとしてもです!」


「おい、女。お前だけ来い。」


「「女!」じゃなくてマリナ王女」


ガチャりと観音開きの扉を豪快に開けるとそこには髭面の男が立っていた。


「リューゲ王国から、わざわざこんな小国に足をお運びいただき幸甚に存じます。我が名はエドワード。番頭でございます。よろしくお願いいたします。」


「いいわ。座ってちょうだい。」


「いいや、これはこれは王女様。どんなご要件で?何か貿易の話でしょうか。」


「いえ。ただの偵察よ。」


「それはそれは。大役をなさってさぞ責任が重いでしょう。」


「いえ。そんなことないわ。本題なのだけど、拘束されている2人の家臣を返していただきたいの。」


「えぇ。衛兵に聞いております。すぐにでも手配させます。」


少しの沈黙の中エドワードは話し始めた。


「しかし…リューゲ王国の王女様…だいぶ若返りましたなぁ」


「ヤバっ」と危機を感じた時にはもう遅かった。


「リューゲ王国の王女様とはお会いしたことがある。10年程前に。19歳のお姿でな。」


そうニヤつく番頭は剣を抜いた。


「俺は退役軍人だ。たかの知れた小アマに何ができる?」


「いえ、私が本当の王女です。あなたは自分の記憶違いで無礼を運ぶのですか?」


「いいや!そんなことはない。お前のような小娘が王女様なわけがない。」


「残念。ここまでみたいね。」


そう笑ったマリナから攻撃魔法が放たれた


***


「なんか騒がしいな」


ガタガタと机が揺れ始め、皆が異変に気づいた。


「鍵を盗んできたから開けて!」


そう走ってきたマリナに鍵を投げられたフリンは錠の鍵を開けた。その瞬間7人は5〜6人の衛兵がマリナを追ってきていることに気づきた。


「逃げて!」


慌てふためく一行は関所の外に出ようとした。


「はい!これ財布銀貨5枚入ってるからここ通して!」


「あっ…はい!え、でもこれ番頭さんの財布……」


そう言いかけた衛兵は財布を服の裏ポケットにこそっと隠した。


「この門通ったらすぐに閉めて!」


走る7人はもんをくぐった。


「この門が開くとすぐにポーコ市国へたどり着く!」


門が開くとカラフルな街並みが続いていた。


「追えぇ!!」


そう叫ぶ衛兵はドロガ達が立ち止まるいとまもなく門が開け追いかけてきた。しかし7人は路地に隠れて受け流した。


「もう行ったか?」


そう、細い声で言うオズゾーにかチャッと剣を構えた衛兵が一人立っていた。


「おぉお前ら…殺すぞ!」


ボゴッ


「危なかったな。」


裏拳で衛兵を気絶させたオズゾーは笑って言った。


「で、俺の馬車はどうなった。」


そう問うオズゾーにマリナは「ごめん!」と手を合わし謝った。


「ここがポーコ市国……」


ドロガらは感嘆した。


一行は街の中心に向かって歩き出した。


「ポーコ市国は国の4分の1以上が国営の魔法動物が住む公園になっている。それにちなんで楽園の地と呼ばれているんだ。」


「魔法動物の公園!楽しみだね。」


「あぁ、すげぇな!」


7人は興奮を抑えられずにいた。

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